0.ファラリスの雄牛
「ファラリスの雄牛」という処刑道具がかつて存在しました。
現在はイタリア領であるシチリア島は、紀元前六世紀ごろはギリシア人が住んでいてシケリアと呼ばれていました。"Φάλαρις"(ファラリス)とはそのシケリア島の"Ἀκράγας"(アクラガス)の支配者であり、雄牛の形をした処刑道具を作らせました。中に死刑囚を入れて外から火で炙ると、焼け死んでいく死刑囚から雄牛のような大声が発せられたそうで~す。
星月夜はこの「ファラリスの雄牛」がファラリスブルの元ネタだと考えていま~す。以下、諸影響を挙げていきま~す。
1.名称への影響
「ファラリスの雄牛」を英語に訳すと"bull of Phalaris"(ブル・オブ・ファラリス)で~す。
「ファラリスブル」と、相当似ていますね。
2.初登場時の立場への影響
ファラリスブルは3.5前期の新作モンスターであり、翠嵐の聖塔の最初の試練の内容としてデビューしました*1。
翠嵐の聖塔のラスボスは本来は嵐魔ウェンリルですが、主人公が体験する物語では黒蛇鬼アクラガレナももう一体のラスボスとして参戦しま~す。
すなわちアクラガスで作られたファラリスの雄牛を元ネタとするモンスターが、アクラガレナの前座という立場で登場したということになりま~す。
影響関係は明らかで~す。
3.仕事への影響
ファラリスブルは「荒野の死刑執行人として 恐れられる獣人」で~す。
「シケリアの死刑執行用品として 恐れられる獣型器具」であるファラリスの雄牛と、何と似ていることでしょうか?
4.「獣」設定への影響
前章で引用した文にあったとおり、ファラリスブルはまめちしきによると「獣人」で~す。
そしてファラリスの雄牛は獣型器具で~す。
ファラリスブルは獣系ではなく怪人系であり、外見も獣の印象が弱いで~す。そして色違いのネクロバルサも魔創兵ゲゾラも武闘魔ガウラドもバリクナジャもバリクナジャ強も凶将バリクナジャもファラオ・ナジャもみんなまめちしきには「獣」の字がないで~す。それなのにファラリスブルが「獣人」とされたのは、やはりファラリスの雄牛からの強い影響があったからだと考えるのが自然で~す。
5.特技への影響
ファラリスブルは「おたけび」を使ってきま~す。
ファラリスの雄牛も、雄牛のような大声を発しま~す。
6.呪文への影響
ファラリスブルはジゴデインを使ってきま~す。
対してファラリスの雄牛による死刑囚への攻撃は火属性で~す。
ゆえに一見すると呪文は元ネタと違っているかのようにも見えま~す。
しかしファラリスブルの色違いのネクロバルサは、「かつて 禁断の呪文 ジゴデインを 神から盗みだした」せいで「神の怒りを買い怪物にされた 哀れな英雄」で~す。この元ネタはギリシア神話で神から火を盗んで半永久的な責め苦を与えられた"Προμηθεύς"(プロメーテウス)であると考えられま~す。
よって「このゲームにおけるネクロバルサ型モンスターのジゴデインは、古代ギリシアにおける火だ」というメッセージは、1.0の時点で運営から与えられていたというわけで~す。
それを勘案すれば「ファラリスブルは古代ギリシアにおける火に相当するジゴデインで攻撃をしてくる。ファラリスの雄牛は古代ギリシアにおいて火で攻撃をしていた」ということになり、やはり影響関係はほぼ確実といえましょう。
(翌日追記)
旧第3章を、新3章と新4章に分割し、大幅に加筆しました。