星月夜「暁月夜に国立国会図書館を案内する日が来るとはね」
暁月夜「一族で一番腕っぷしが強いからおバカなキャラ扱いをされやすいが、これでも博論執筆中の学生だ。専門書に限れば多分毎月の読書量は姐御を超えているぞ。あまり見くびるでない。」
星月夜「そうね~。かの湯川秀樹も兄弟の出来が良すぎて、若き日には親から学問の道を閉ざされかけたという。未来の才能を潰さぬよう、気をつけよう」
暁月夜「ところでここから一駅移動したところに、私の行きつけの酒場がある。今日の礼に奢るからついてきてほしい」
星月夜「国家の中枢の隣駅のバーだなんて、お高そう。いくら実家が太いといっても、一介の学生に二人分のゴールドが出せるものなのかしら?」
暁月夜「やれやれ、物知りの星月夜先生も、巷だけは疎いと見える。心配するでない」
暁月夜「ここだ」
星月夜「むむ、噂では聞いたことがあった、あの店!」
星月夜「ひゃ~! 超有名冒険者たちの書置きメモがズラリ!」
暁月夜「値段も昭和の地方都市級に良心的だろう」
暁月夜「身バレ回避のため、メニューの写真はビールだけにしておこうな」
星月夜「こんなに安くて美味なのに、もったいないにゃ~」
星月夜「にゃ~、大いに酔ったわ~。暁月夜く~ん、今日は一駅戻って泊まってこ~。実は二人分の宿の予約ももう取っててさ~」
暁月夜「あざとっ! 国家の中枢付近の宿での二人分の宿泊費なんて、少し前まで一介の学生だった姐御に出せるのかよ?」
星月夜「ふふふ、チミが陋巷に詳しいがごとく、お姉さんはそっち方面の謎の節約術に長けているのだよ~。安心して身を任せよ」
暁月夜「くっ、愛欲には負けなかったが、好奇心に負けて結局ついてきてしまった。それにしても一時間前まで100円のメニューを注文していた学生が、衆参両院の議長宅をはるか上空から見下ろしているとは、最近のジパングは本当に不思議な国になったな。気分はまるで以下のコラ画像のようだぜ」
暁月夜「いやそれどころか、以下の画像のような気分だぜ」
星月夜「う~ん。1000年前の比叡山の学生(がくしょう)も、大内裏を見下ろしていたかもよ」
翌日
星月夜「さて、ちょうど一年前に暁月夜を北海道に連れていかなかったこと*1について、私は罪悪感があったのだ」
暁月夜「別に気にしてないさ。それにゆうべはお楽しみできたし」
星月夜「まあそう言わず、私の償いを受け入れてくれたまえ。今年こそ連れて行きたかったのだが、今年の末の私は別の地方にどうしても行かなければならない。そこでせめてバーチャル北海道に連れていくことにした」
暁月夜「バーチャル北海道?」
星月夜「まずは東京ドームホテルへと向かう」
暁月夜「今度は昼間から宿への連れ込みかい?」
星月夜「三階のブッフェでは北海道フェアが開催中だ。食べ放題なので、しっかり食べていきな、学生さん」
暁月夜「これは助かる!」