1.魂について
地球では、昔は記憶や思考をつかさどる「魂」というものが、多くの民族で信じられていました。
しかし、脳に死なない程度の損傷を受けた人が、性格が変わってしまったり、何らかの記憶障害を受けたりというケースが積み上げられることで、脳の部分に記憶と思考の中核をなすものが存在するという説が有力になっていきました。
一方、アストルティアの知的生命には魂が厳然として存在しま~す。このため、肉体が死んでも魂が死なずにすんだ人と、逆に魂だけが先に死んだ人とをかけあわせて、一個の心身ともに健康な個体を作成するという、「生き返しの術」という高度な技術までありま~す。
2.魅了や混乱や睡眠の最中に普通にチャットができる理由
この「魂」さえ理解していれば、地球人には不思議な現象である「魅了や混乱や睡眠の最中に普通にチャットができる」ことについても、簡単に理解ができま~す。
アストルティアの民においては、記憶や思考の大半は魂がつかさどっていま~す。そして魂が肉体に10~20種類ぐらいの簡単な指令を下すと、肉体の方で走ったり殴ったりという様々な動作をほぼ自律的に行ってくれるというわけで~す。
だから肉体が魅了や混乱や睡眠状態になっても、魂には状態異常は発生せず、テレパシーで会話ができるわけで~す。
逆に肉体のほうが健全でも、魂だけ睡眠状態になってしまい、立ち尽くし続けたり、一つの方向に走り続けたりしてしまう場合もありまして、こういうのは「寝落ち」と呼ばれていま~す。
3.単細胞生物が高度な思考力と言語力を有する理由
この件からの類推で、単細胞生物であるという設定*1のスライムたちが、高度な思考力と言語力を持つ理由も、おわかりいただけたかと思いま~す。
彼らの魂は七種族とほぼ同等の性能を持っていて、肉体の機構だけが単純なのでしょう。
NPCとして登場するスライムに話しかけたとき、口が動いていないのにメッセージが伝わってくるのは、彼らの発言は音声ではなく、テレパシーを使ったものだからなのだと思いま~す。
4.白チャットが音声でも結論は基本的に同じ(2021年3月27日追記)
「たとえ口を動かして出すタイプのセリフであっても、各人のノドの構造とは無関係に、発言者の魂によってその音質が変わる」ということを思い出しました。
「真実に気づいた男」の儀式でテグラムの魂の成分が変化すると、文字送りの音が変わり、「その声は……まさかアンルシア姫さま!?」とキッパーが驚いていました。詳細はこの記事をご覧くださ~い。
緑チャットや青チャットや桃チャットや橙チャットとは異なり、白チャットは遠隔地まで届かない上に死んでいると使えないという特質があるので、本稿を書いたあとも「白チャットも本当にテレパシーなのか? 白チャットだけは音波ではないのか?」という疑いが晴れませんでした。
しかし「白チャットが肉体経由で出す音波であれ、どうせ肉体のもたらす影響は微々たるものである」とこうして気づけたので、本稿の主張の中核部分には一層自信を持つことができました。
さてそうなると、「しばらく前より 死んだ者の肉体に 別の場所で死んだ人間の魂が 入り込み 生き返るという事件が あちこちで起きておる」という世界観であるのに、メインストーリーの冒頭の初期村で主人公の魂が人間族の死者のものに入れ替わったことについて、周囲の村人の大半がその可能性すら考慮しなかったのは、「たまたま声が似ていたから」ということになりますね。
5.極論の修正(2021年4月29日追記)
脳にも思考力に関して一定の機能があったようで~す。詳細は本日の記事で。