ブルーノーさんの雑貨屋に勤めるダボックさんから、クエスト「暮らしを支える錬金術師」を依頼されました。
ゼフ・メルクル・ガンダックが運営する三つの店に届けるはずだった三本の「アルケミ水」のビンを二本割ってしまい、そのうえヒザを痛めたので、運送と弁解とを代行するよういわれたので~す。
この内容から考えるに、「ダボック」の語源は「打撲」ですね~。
メルクルは前に紹介したネロリーさん*1が所属している店のオーナーで~す。語源は、ヘルメスと融合して錬金術の神ともみなされるようになった"Mercurius"(メルクリウス)。さらには後述する孫との対比から考えるに、錬金術の影響から作られた英語における「水銀」の呼称"mercury"(マーキュリー)も関係してそうですね~。
メルクルの近くにいる若い錬金術師は、メルクルの孫のモリュブで~す。語源はおそらく、古典ギリシア語で「鉛」を意味する"μολυβδος"(モルブドス)だと思いま~す。水銀ほどではありませんが、鉛もまた錬金術では重要な素材で~す。
余談になりますが、この"μολυβδος"という単語は原子番号82の本物の鉛の現代における正式名称の語源の座をラテン語に奪われ、原子番号42のモリブデンの語源になるという、数奇な運命をたどりました。
メルクルは、はやり病の予防薬のため一本分のアルケミ水が必要であり、待てないといって譲りませんでした。
ガンダックの語源はおそらく古ノルド語で魔法や精霊を意味する"gandr"ですね。
ガンダックは種まきの時期が近いので、肥料を作るため一本のアルケミ水が必要であり、待てないといって譲りませんでした。
もう一人の注文者である、ゼフの店のルオンは、事態を上手に解決する方法を思いついたようで、星月夜にガニラスのよだれを集めてくるよういいました。
これをアルケミ水と偽ってモリュブに渡すと、「百年セミのハネ」と融合させて「魚くさいドロドロ」を作ってしまいました。
そしてこの魚くさいドロドロはメルクルにとってはただのゴミだったようで、ツボにいれて押しつけられてしまいました。
でもガンダックは、アルケミ水を使った肥料よりも上質の肥料を作る素材だと見抜き、これを使って「すばらしい堆肥」を作りました。普段こちらのほうを作らないのは、百年セミのハネが高価なので、採算がとれないからなのだそうで~す。
これで満足をしたガンダックは、アルケミ水を快く諦めてくれた上に、すばらしい堆肥を分けてくれました。
このすばらしい堆肥をベースにして、ルオンさんは「強毒性ザラキール液」を作りました。これは危険なのでエテーネ人の所持は違法とされているそうで~す。
この「強毒性ザラキール液」をメルクルのところにもっていくと、いやし草と融合させて、予定以上の量の予防薬を作ったようでした。
そしてアルケミ水を快く諦めてくれました。
こうしてメルクルとガンダックがアルケミ水を諦めた結果、残っていた一本をルオンが平和的に独占し、パンケーキの材料にしました。
ちなみにこれが、普段暗室の中にいるルオンを撮影した貴重な写真で~す。
ルオンは不測の事態の中にあって、老練なメルクルを凌ぐ知識を用いて、どこからも抗議の声があがらない形で問題を収拾させました。メインストーリーでいち早くドミネウス王が異形獣の黒幕だと気づいたあの能力*2は、単なる偶然ではなかったようで~す。
そしてこのクエストも、プレイヤーから抗議がこないように、入念に計算されていましたね~。
「そんなに凄い肥料ならなぜ普段から作らないのか?」という抗議は、あらかじめ「採算がとれない」という形で潰されていました。「結果的に両方の店がより幸福になるのならば、毎年こうすればよかったのではないか?」という抗議は、あらかじめ途中の素材が違法だという形で潰されていました。
実に見事な設定でした。ほれぼれしましたよ~。