0.はじめに
本稿では魔導鬼ベゼブーと大魔王マデサゴーラの間の微妙な関係を掘り下げてみました。
1.初登場時からあった疑惑
メインストーリー2.3で登場したベゼブーですが、マデサゴーラとの関係は最初から疑惑まみれでした。
断末魔のセリフはマデサゴーラへの謝罪であったので、この時点のベゼブー本人はマデサゴーラと利害対立があるとは思っておらず、またマデサゴーラ軍に正式に所属していた可能性も高いで~す。
しかし何十年間もしつこく主人公の兄弟姉妹を追っていたのに、主人公が研究室を見つけた直後にちょうど追いついてきたのは、かなり不自然でした。
何しろマデサゴーラの侵略が10年以上前には始まっていたことは、2.0で見たガーゴイルによる襲撃のムービーで明らかでしたからね。しかもマデサゴーラがレンダーシア大陸の隅々まで知悉して模倣できていたことも当時からほぼ明らかでした。
よって、マデサゴーラが本当に最初からテンスの花を怖れていたのであれば、オフラインモードの時期ではなく10年以上前に「太古の泉」のテンスの花を焼き払っていたはずであり、また兄の研究室の存在も知った上で成果を破壊しつくしていたことでしょう。
またベゼブーのまめちしきにも「この世から すべての テンスの花を消し去ることを 使命としている魔導鬼一族」と書かれており、マデサゴーラの配下になったのも所詮はその使命を果たすための手段にすぎないという雰囲気は、すでにありました。
つまりこの2.3の時点で、ベゼブーとマデサゴーラの同床異夢疑惑はかなり深かったので~す。「ベゼブーは兄弟姉妹が再生したテンスの花を焼きたくて仕方がなかったのに、マデサゴーラはその隠し場所を知っていながら長年教えなかった」という可能性が、当初からかな~り高かったというわけで~す。
2.疑惑が深まり続けた過程
2ー1.魔導鬼ベズールの立場
この時点ですでに『蒼天のソウラ』に登場していた従兄弟の魔導鬼ベズールは、3巻の94ページで「今一度 ネルゲル様に 取り立てて いただく目も あろうというもの…!」と語っていました。
つまり元は冥王ネルゲルに仕えていた者であり、罷免または左遷されたあとも冥王軍での立場の回復ばかりを目指し、大魔王軍への転籍は考えていないキャラだということで~す。
だから、「魔導鬼一族の使命と本当に利害が近いのはネルゲルのほうであり、ベゼブーはネルゲルが死んだから仕方なくマデサゴーラに仕えた」という可能性が深まりま~す。
2-2.創生番号087
同じく2.3の物語を進めて、魔幻宮殿に入り創生番号087と会話をすると、マデサゴーラとネルゲルの関係が語られ、エテーネの村を速攻で滅ぼしたがっていたのはネルゲルだけだったと判明しました。
オフラインモードではベゼブーの従兄弟の魔導鬼ベドラーが、テンスの花とエテーネの民への強い憎しみを語っていたので、やはり彼ら一族と本当に利害が近かったのはネルゲルのほうだということになりました。
2-3.奈落の門
2.4で奈落の門を開こうとしているマデサゴーラに追いつきましたが、実はマデサゴーラとしては門を開くために勇者に自然な形で追いついてきてほしかったのが本音だと判明しました。
つまりテンスの花によるペガサスの復活もマデサゴーラの計画通りであり、もしもベゼブーの計画通りに研究室のテンスの花まで絶滅したのでは、本当に困るのはマデサゴーラのほうだったというわけで~す。
2-4.クエスト「人生で大切なもの」
クエスト「人生で大切なもの」*1にて、偽のゼドラ洞にいたアルゴングレートが、980年前に一度は真のゼドラ洞で絶滅したものの再現だったと判明しました。
マデサゴーラは真のレンダーシアの設定の細部まで詳しかったのだと、改めて判明しました。
もともと相当低かった「数十年前の兄の研究成果をマデサゴーラは知らなかった」という可能性は、さらに低下してほぼゼロとなりました。
2-5.未完の風穴の研究室
破界篇第3話では「未完の風穴の研究室」が登場し、しかも将来の部下の未完成体まで配置されていました。これについては過去記事「破界篇第3話「破魂の審判」 & 5.2新作モンスターコンプリート & 今度こそ5.2時代の宝箱をコンプリート」に詳細を書きました。
この直前までは「マデサゴーラはラゼアの風穴付近は正確にはコピーしきれなかったため、兄弟姉妹の研究をよく知らなかった」という可能性がゼロではなかったのですが、これで完全にゼロになりました。
このときをもって、「マデサゴーラはテンスの花の存在を知った上で放置していたので、数十年間テンスの花を探していたベゼブーとは同床異夢だった」説は、完全に確定したので~す。
3.唯一の難点潰し
この「マデサゴーラはテンスの花の存在を知った上で放置していたので、数十年間テンスの花を探していたベゼブーとは同床異夢だった」説の唯一の難点は、破壊篇の第1話*2に登場した「未完の魔導鬼」のまめちしきで~す。
そこには「ご神体の間の守護のほかに 何かの花を消し去る使命を 帯びていたような気もするが きっと 気のせいだろう」と書かれていました。
これは、マデサゴーラが偽の魔導鬼にもテンスの花を消し去らせようとしていたかのようにも、読めなくはないで~す。
ただし本当にそうであれば「ご神体の間の守護」と使命感に極端な差が生じることは考えにくいので、これは過去記事「クエスト「淡い記憶を紐解いて」で、脳の機能の研究が進みました。おかげで未完の魔導鬼と未完の破戒王に残る記憶・感情の正体も判明しました」で書いたように「オリジナルの記憶の名残」か、またはマデサゴーラの「一時の気の迷い」程度の反映だと考えるべきでしょう。
4.では対ベゼブー戦とは何であったのか?
4-1.「陽動」説 自己評価80点
「陽動」説とは、前掲の破界篇第3話の記事で主張した「マデサゴーラはベゼブーに適切なタイミングで研究室の場所を教えて適度な障害を設けることで、主人公に2.3以降の物語のすべてが壮大なワナであることを悟られまいとしたのでしょうね~」という説で~す。
当時はこれは100点の説に思えたのですが、少しだけ問題点もあることに気づきました。
それは「ベゼブーが本当に研究室のテンスの花を絶滅させてしまうケースもありえた」ということで~す。
その場合も「密かに別の場所に保存していたテンスの花を自然な形で渡す」などの計画があったのでしょうけど、よほど自然に渡さないと、かえって陰謀が見抜かれやすくなりそうで~す。
また史実では3.1に完成したドルワームの飛行装置の開発を待つという手もありますが、活動期間に限界のある黒仮面の寿命が迫ってきま~す。
4-2.「抜け駆け」説 自己評価20点
そこで対抗馬として、自己評価は低いものの一応「抜け駆け」説も作りました。
元々同床異夢であったのならば、マデサゴーラの待機命令を無視して、ベゼブーが独断で襲ってきたという可能性もありま~す。
しかしベゼブーは、何十年間も成果を出せなかった上に、兄弟姉妹に近づきかけるたびに一般の町民にすらその活動を察知されてきたマヌケなキャラで~す。
だから偶然にも主人公に一歩遅れて研究室の位置を独力で見抜いた可能性は、ほぼゼロで~す。
そして「今回だけは運よく誰にも察知されないまま、主人公を尾行できた」という可能性は、ゼロではないものの、かなり低そうで~す。自己評価ではせいぜい20%程度といったところでしょうか。