ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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「ルベランギス」には通説"ruber anguis"の他にも、伝統に沿った語源"Landsbergis"があるかもしれませ~ん。

0.はじめに

 本稿では「ルベランギス」の語源を考えていきま~す。

1.通説"ruber anguis"の紹介と称賛

 「ルベランギス」の語源としては、検索するとラテン語で「赤い蛇」を意味する"ruber anguis"がしばしば見つかりま~す。誰が言い始めたのかまでは確認できませんでしたが、現在ではこれこそが通説であるといえま~す。

 第一の根拠は、当然ながら発音の類似性で~す。

 第二の根拠は、同じコンテンツに「レクスルクス」や「ラクリマ」といったラテン語由来の単語が頻出することで~す。

 第三の根拠は、「赤い蛇」が堕天使とされるサマエルの異名であり、天星郷がらみの敵キャラクターとしてふさわしいことで~す。

 第四の根拠は、ルベランギスが落とすラクリマの色が赤いことで~す。

 この第四の根拠は、ルベランギスの実装当時はやや弱い根拠でした。『ドラゴンクエストIV』に登場した「ルビーのなみだ」が「赤のラクリマ」とほぼ同じ意味なので、その単なるセルフオマージュの可能性すらありました。

 でも昨年末に配信が始まった第二の咎人の語源がラテン語「金色」を意味する"aurum"のようであり、しかも橙のラクリマを落としたことで、ルベランギスが"ruber"だからこそ赤のラクリマを落とすということが決定的となりました。

 星月夜も第四の根拠が強大化した現在では、この通説を100%支持していま~す。よって以下の章で語る内容は、通説に刃を向けるものではなく、「同時に別の意味も込められていたのかもしれない」という主張で~す。

2.ダブルミーニングの可能性を高める「ルクス」の伝統

 過去記事「ロシアによるウクライナ侵攻を運営は予言していた。「ルクスガルン大空洞」の第二の語源と「自由地区」」で指摘したことですが、このゲームで「ルクス」という言葉が出てきた場合、ラテン語「光」だけでなく、共産主義を唱えた思想家マルクスの影が感じられました。

 おさらいをしておくと、まず「兵士ルクス」が盲信していた「時の指針書絶対主義」と自由人の集落との対立は、マルクス主義国であるソビエト連邦ウクライナの自由地区との対立にそっくりでした。

 次に「ルクスガルン大空洞」は、直訳の「光の糸」だけでなく、かつてのソビエト連邦領を回復しようとするプーチンウクライナに攻め込むときに軍を通過させることになる「ルガンスク州」のイメージが投影されていました。

 今回も舞台が「レクスルクスの楔」なので、この伝統の一環である可能性がありま~す。だから「ルベランギス」に、ラテン語以外にもマルクス主義絡みの暗号が込められていないか、念のため考え続けていました。

3.Mr.Landsbergis

 そうした中で昨年末のジパングで『ミスター・ランズベルギス』という4時間以上の上映時間の映画を見つけました。この映画の主役である"Landsbergis"氏はリトアニアソビエト連邦から独立させた英雄的政治家で~す。

 その瞬間、「閃いた!」という気分になりました。いやはや伝統通りでしたよ、「ルクス」と「マルクス」の結びつき。

 ルベランギスが「クリムゾンペナルティ」を撃ってくることについて、「咎人のクセにこちらを罰してくる!」という不満の声をしばしば見聞きしましたが、ソビエト連邦と対峙した独立運動家の姿が投影されているのであればこれも自然で~す。ソビエト側から見ればランズベルギス氏は咎人であり、ランズベルギス氏側から見れば「アカ」(クリムゾン)はペナルティを加えられるべき敵だというわけで~す。

 『ミスター・ランズベルギス』は2021年に製作されており、プーチンウクライナ侵攻が2022年2月に始まったので、ルベランギスの配信が始まった2022年5月はちょうど国際的にランズベルギス氏への注目が高まっていた時期でした。この時事性も「ルベランギス」と「ランズベルギス」の結びつきの根拠といえま~す。

 そういうわけで星月夜は「ランズベルギスも語源である」仮説を提唱しま~す。

4.今後の展望

 「ランズベルギス」説が正解である確率は、自己評価ではまだまだ60%程度で~す。

 とはいえ"ruber anguis"説も発見当初から100%支持していたわけではなく、前述の通り第二の咎人の語源とドロップアイテムの内容とが根拠を強めたのが100%の支持のきっかけでした。

 ならば第二第三の咎人たちからもマルクス主義ソビエト連邦絡みの暗号を発見できれば、自分の中で「ランズベルギス」説の支持も同様に高まっていくことでしょう。

 そういうわけで今後はその方向で探求を進めてみま~す。