ほしづくよのドラゴンクエストX日記

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「大盗賊の伝説」における『竹取物語』の影響の検証 その1

夕月夜「前々回前回の記事、とっても面白かったで~す。「カンダタ」という名前以外ほとんど影響がないと思っていた原典の影響があれほどあるとは~!」

星月夜「おほほ、自分でも自分の最高傑作だと思っているのよ~」

夕月夜「ところで「大盗賊の伝説」って、後半から「カグヤ=ムーン」なる人物が出てきましたけど、『竹取物語』のほうは大盗賊の伝説への影響はどの程度なんでしょう? 採用されたのは「カグヤ」という名前だけなのでしょうか、それともやはり物語の内容に強い影響を与えたのでしょうか?」

星月夜「とってもよい質問ね~! 「星月夜」の名と月の民のコスプレにかけて、『竹取物語』の影響も検証しちゃいま~す!」

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夕月夜「あ、でも私、『竹取物語』の知識は素人レベルなので、解説は丁寧にお願いしますね」

星月夜「その点は心配しなくていいよ~。私の見るところ、「大盗賊の伝説」の一人のキャラクターが『竹取物語』の複数のキャラクターの役割を演じていたり、逆に複数のキャラクターで分担して一人のキャラクターを演じたり、ある瞬間に突然立場を入れ替えたりしてるのよ~。このすっごく複雑な影響関係の説明をするので、どうせ『竹取物語』の達人に対しても簡便な説明は無理だから、丁寧に論じていくよ~」

夕月夜「具体的にはどう丁寧にして下さるんですの?」

星月夜「「大盗賊の伝説」の全四話を一話ずつ区切り、影響関係を丁寧に説明するのよ~!」

夕月夜「全四話? 第三話までカグヤ=ムーンさんは名前すら出てこないのに、一話から『竹取物語』の影響があるんですの?」

星月夜「あるんだな~、これが」

1.「大盗賊登場」における『竹取物語』の影響の検証

1-1.カンダタこぶんは竹取の翁だった!

夕月夜「何ですかこれは? 閲覧数を増やそうと極論を書いてませんか?」

星月夜「ふふふふふ~、以下の論証を読んでもそんな口が叩けるかしら?」

 『竹取物語』の竹取の翁は、当初は質素な暮らしをしていました。それが、かぐや姫を養子にしてからは、竹から黄金がどんどん出るようになり、大金持ちになりました。でも、やがて物語の進行にともない、かぐや姫にふりまわされつづけたこともあって、心身ともにやつれ果てて、悲惨な死を迎えるので~す。翁の物語は、いわば、「幸せは黄金では買えない」という教訓物語の一種なので~す。

 このように最終的には悲惨なほど弱体化する翁ですが、それでも彼にとってかぐや姫姿をみるだけで一時的に元気になるという、麻薬のような存在でした。

 この翁は、名前も同じ本の中で「さぬきのみやつこ」だったり「みやつこまろ」だったりしま~す。年齢も七十余歳を自称したかと思えばその数年後に五十歳になっていたりして、色々と正体不明の翁で~す。実は複数名いたのではないかという説もありま~す。

 カンダタこぶんは、カンダタの気前のよさのおかげで、黄金の鎧に身を包むことができていま~す。でもそういう目先の利益に目がくらんだせいで、主人公との戦いで苦しみ、カンダタから金以外の面で徹底的に理不尽な扱いをうけま~す。

 そういう扱いを受けていても、カンダタこぶんにとってカンダタは、そのマッスルポーズを見るだけで元気になれるという、不思議な麻薬のような存在でした。

 そしてキラキラ大風車塔の戦いでは、戦闘中の仲間呼びのせいで人数がどんどん増えるわりには、戦闘後のムービーでは一人しかいなかったかのように描かれま~す。

 以上、黄金に目がくらんだせいで別の意味で不幸になる」「身体美を見ると一時的に元気になる」「一名なのか複数名なのかよくわからない」という共通点から、カンダタこぶんには竹取の翁のイメージが色濃く投影されていま~す。

夕月夜「わーお!」

1-2.カンダタに投影されたかぐや姫

 カンダタかぐや姫における、黄金と身体美を代償にして誰かに散々迷惑をかける」という共通点は、すでに前節で紹介したとおりで~す。

 さらには「頑固に押し問答をする」という特徴も共通していま~す。

 かぐや姫は「結婚もしたくないし、宮仕えもしたくない。わかってくれよ! な! な! な!」という意味の発言ばかりして翁を悩ませま~す。そして根性勝負の押し問答で勝利するのは、いつもかぐや姫のほうなので~す。

 カンダタとの押し問答の最中は、カンダタこぶんではなく主人公が竹取の翁役をしていることになりま~す。

1-3.大伴御行とその部下たちのコンビも再現

 カンダタカンダタこぶんは、「かぐや姫と竹取の翁のコンビ」を演じていただけでなく、「大伴御行とその部下たちのコンビ」も演じていました。

 大伴御行というのはかぐや姫から世界の五大秘宝の入手を課題として出された五人の貴公子の一人で~す。彼に与えられた課題は、竜の頸部にあるという五色の宝玉でした。

 当時まだ「武士団」と呼ばれる集団はいなかったのですが、大伴氏のような軍事貴族とその部下が、似たような役割を果たしていました。親分に服従する子分を多数率いて、疑似血縁的な武力集団をなしていたので~す。

 大伴御行はこの子分たちを使って、力づくで秘宝を入手しようとしたので~す。具体的には、「ドラゴンを倒して虹色オーブを入手せよ。それを達成するまで帰ってくるな!」という理不尽な命令を数名の子分に下しました。

 すると子分たちは出張に行くふりをして逃亡し、裏で散々親分のことをけなしたので~す。

 いくら待っていても部下が戻らないので、大伴御行は自分でドラゴンを討伐にいきま~す。でも、ドラゴンに触れることすらできずに敗北し、千回謝罪してようやくドラゴンに許してもらえました。

 そしてやっと帰還したときには、ショックのせいか腹は膨れ、目はスモモのようになっていました。

 以上、「子分への理不尽な命令」「敗北後に相手が根負けするまで謝罪」「腹が出ていて目はスモモのよう」という共通点から、カンダタには大伴御行のイメージも投影されているといえましょう。

 この観点においては、「今すぐ 55ページを見つけてくるか 俺様に ブン殴られるか どっちか選べ!」という「理不尽な命令」を受けて「逃亡」をしたカンダタこぶんが演じているのは、当然ながら大伴の子分~す。

 そして主人公がドラゴンを演じていることになりま~す。

1-4.まとめ 「大盗賊登場」のキャスト

かぐや姫・・・・・・カンダタ

※竹取の翁・・・・・・カンダタこぶん 主人公

大伴御行・・・・・・カンダタ

※大伴の子分・・・・・カンダタこぶん

※竜・・・・・・・・・主人公

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夕月夜「はう~、感服しました~。第一話だけでも、到底偶然とは思えない符合ですね~」

星月夜「次回以降もお楽しみに!」

※以下は続編へのリンクで~す。

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