1.クエスト「天才と凡人と」の内容紹介
『優美なる夜明け』の作者であるヌッジォ・ラ・ヌァグータさん*1発見!
老化のためか記憶もあやふやなようでしたが、落としたバッジを拾ってきてほしいというクエスト「天才と凡人と」を依頼してきました。
拾ったバッジは汚れていたので、学芸大臣のゲルメデさんに修復してもらいました。
すると修復後にこのバッジがマデサゴーラが即位直後に作った『混沌の瞳』であり、別名「マデッサンスバッジ」であることが判明しました。
ちなみにゲルメデさんによると、マデサゴーラはデビュー直後に保守的なヌッジォ派の影響力を一掃したのだそうで~す。
これを渡すとヌッジォさんは記憶を取り戻しました。
マデサゴーラに名声を奪われ、しかも自身がマデサ芸術に惹かれてしまったために新作を描けなくなり、ひそかにマデッサンスバッジを入手して自分の宝にしたのだそうで~す。
2.ヌッジォ派の主な思想とは?
ではその保守的なヌッジォ派とは具体的にどんな思想を持ったグループだったのでしょうか。
マエサゴーラ芸術においても、魔界の伝統的なヘルデモニスムの系譜は「後期マジックデモニスム」・「エビルキュビズム」として受け継がれていることは、「偽の魔幻宮殿のマデサゴーラの作品群の紹介と考察」という記事で紹介したとおりで~す。
ヌッジォ派は保守的でありかつての主流派なので、おそらくこの系譜のどこかに位置づけられま~す。
そしてマジックデモニスムについて「前期と後期で表現技法が異なり 後期の代表はマデサゴーラ」というまめちしきがありま~す。
よってマデサゴーラの活躍の直前まで主流派だったということは、おそらくヌッジォ派の主な思想とは「前期マジックデモニスム」なのでしょう。
3.ヌッジォ派のマデサゴーラ芸術への影響は?
前期マジックデモニスムに基づくヌッジォさんの『優美なる夜明け』と、偽の魔幻宮殿でその系譜の先にあるエビルキュビズムが守っていた区域の作品群とを比較すると、たしかに一種の連続性が感じられま~す。
『優美なる夜明け』 ヌッジォ・ラ・ヌァグータ 画
『楽園』 マデサゴーラ 画
『辺獄』 マデサゴーラ 画
『此岸』 マデサゴーラ 画
いかがでしょう。どれも写実的であるのみならず、横一本引いた線によって上下が分断されているという特徴に共通性が見られますね~。
あと『楽園』だけが妙に明るいですが、エビルキュビズムを倒す前はかなり暗い絵でした。
よってヌッジォ派の系譜はマデサゴーラ芸術のエビルキュビズムの中でしっかり生きているといえましょう。
ただし「前期マジックデモニスム」と「エビルキュビズム」の中間である「後期マジックデモニスム」については、その極致とされた『虚夢』や『パートス』にこうした特徴は見られませ~ん。
『虚夢』 マデサゴーラ 画
『パートス』 マデサゴーラ 画
よって「後期には衰退していたマジックデモニスムの前期的要素は、エビルキュビズムに至ってから一部復活した」という可能性が高いですね。
ヌッジォさんもゴーラで『虚夢』や『パートス』ばかり鑑賞していないで、アストルティアまで行って偽の魔幻宮殿に飾られたエビルキュビズム三部作を見れば、少しは自信を取り戻せるかもしれませんね。
それが無理でも、せめて魔幻園マデッサンスに行ってそこを警備するモンスターの名前が「後期マジックデモニスム」ではなく「マジックデモニスム」であることを知れば、マデサゴーラが前期マジックデモニスムにも敬意を払っていることがわかるでしょうね~。
(2020年4月9日加筆段落)アストルティアやマデッサンスに行かなくても、魔幻宮殿の天井に偽の魔幻宮殿の絵と同じものが飾られていたようで~す*2。ただし作者の紹介や思想の解説が付されていないので、誰かがそれをヌッジォさんに丁寧に説明しない限り、やはりコンプレックスは消えないでしょうね~。
4.ヌッジォおよびヌッジォ派の現在の真の影響力
さて、このクエストではゲルメデさんもヌッジォさん自身も、ヌッジォおよびヌッジォ派がマデサゴーラに完敗したと思い込んでいるようでしたが、星月夜はその評価には異論がありま~す。
ゼクレス魔導国では、わがままだけど芸術に関しては他人の意見も尊重するリンベリィも、芸術にうるさい客のベルントも、マデサゴーラの『朝食 その悲しみ』とヌッジォさんの『優美なる夜明け』を、ほぼ同等の価値の作品とみなしていました。
よって「ゼクレス魔導国においては、マデサゴーラの名声とヌッジォさんの名声の比は、ほぼ1:1の引き分けだ」ぐらいに見ておくべきでしょう。
ただし「マデザゴーラ派」と「ヌッジォ派」となると話は違いま~す。あのベラストル家の宴会に飾られていた6枚の絵のうち、ヌッジォさんのような写実的な絵は本人のものだけであり、マデサゴーラのものでもヌッジォさんのものでもない他の4枚の絵はマデサゴーラっぽい絵でしたから。
なお魔界でも伝統的で古風なヘルデモニスム・前期マジックデモニスムが写実主義的であり、それを崩すデスロマニズムやスーパーダーキズムの運動がマデサゴーラを中心とする新風であったということは、今までの記事で証明したとおりで~す。
よって「ゼクレス魔導国においては、マデサゴーラ派の影響力とヌッジォ派の影響力の比は、5:1ぐらいだ」と考えておくべきでしょう。
以上の「個人としては1:1で、派閥としては5:1」という評価すら、極端に保守的なゼクレスでのもので~す。マデサゴーラのお膝元であったゴーラにおける、「マデサゴーラ個人対ヌッジォ個人であれ、各派閥の勝負であれ、影響力は1:0」という評価を一方の極とすれば、ゼクレスはゼクレスでもう一方の極でしょう。よって魔界全土の平均は、とりあえずその中間ぐらいと考えておくべきでしょう。
以下は上述の考察に基づく当座の推定で~す。
※現在の魔界の芸術界におけるマデサゴーラとヌッジォの個人としての名声の比は、約2:1である。
※現在の魔界の芸術界におけるマデサゴーラ派とヌッジォ派の影響力の比は、約10:1である。