1.ゲルヘナ幻野は魔界の辺境
1-1.総論
魔界でプレイヤーがコマンドから「今いる大陸」の地図を見ると、ゲルヘナ幻野が魔界の中心にあって、三大強国が周囲を取り囲んでいるように思えてしまいま~す。
しかしそういった世界観は完全に間違いで~す。
1-2.公式設定
デモンマウンテンやゲルヘナ幻野の地図を開くと、地の文で「魔界辺境エリア」と出ま~す。
地の文なので強固な公式設定で~す。ゲルヘナ幻野とその周辺が魔界の辺境であることは公理なので~す。
1-3.レイダメテス等の情報の欠落という補強証拠
5.2までにプレイヤーに解放された地域では、500年前のレイダメテスの戦いを話題にする者が一人もいませんでした。1000年前のネロドスの話題や3000年前のヴァルザードの話題はたまに出ているというのにで~す。
やはりあの計画は別の地域の魔族が首班となっていたのでしょうね~。
旅費などの観点から大魔王選定の儀で毎回ハンディを負わされている地域の魔族が、大魔王制度への反発もあって冥王を生み出したのかもしれませ~ん。
他にもジウギスが取締役をやっている会社など、魔界にあるとされていたのにいまだに魔界ではその情報すら登場しない設定が多数ありま~す。
こういう点も、「ゲルヘナとその周囲が魔界の一部にすぎず、かつ中央でないこと」の裏付けになりま~す。
2.ゲルヘナ幻野は中央から見て南南西方向の辺境
2-1.西寄りであることの証明
では「今いる大陸」で見える部分が魔界の中央から見て具体的にどの方向にあるかですが、おそらく西寄りで~す。
『バルディスタ戦記 下巻』で、ヴァレリアが活躍した地域が「魔界西域」とされており、また文脈上その魔界西域は「この地」とされたバルディスタ要塞を含んでいるからで~す。
辺境であるゲルヘナ幻野から少し西に行っただけで魔界全体の西域の一部ということは、ゲルヘナ幻野自体が魔界の中央から見て西方にありそうですね。
2-2.南寄りでもあることの証明
では西寄りは西寄りでも、真西なのか北西なのか南西なのかですが、南西の可能性が高いで~す。
5.0のムービー「魔王ユシュカの野望」では、ユシュカが文脈上ジャリムバハ砂漠一帯を魔界の南方とみなしていたからで~す。
プレイヤーが見られる魔界の一部の地図の南方地帯が魔界全体の南方ということは、この辺境は西寄りであると同時に南寄りでもあるのでしょう。
2-3.東寄り情報の欠落
一方ゼクレスについては、管見の限りではまだ「魔界の東方」などとはいわれていませ~ん。
アマンダが「東に 悪意の都 ゼクレス」といっていましたが、これは本人から見て東という意味だと考えました。
やはりゼクレスはプレイヤーの見ている地図の上では東方でも、魔界全土から見れば南西の辺境から少し東北方向に戻った地域であり、むしろ中央に近そうで~す。
なお「魔界の東方のゼクレス」という表現を発見されたかたがいらしたら、本稿の内容は根底から覆るので、是非ご一報くださ~い。その場合、「魔界の辺境」とは東西南北の観点での辺境ではなく上下の観点での辺境ということになるでしょう。
2-4.『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』でより正確に
5.2で登場した『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』も、「南西」説の裏付けになるどころか、さらにより正確な表現への架け橋となりました。
この書ではネロドスの統治したネロディオス覇王国の支配領域が「魔界の西域全土」とされていま~す。
ネロドスは最後は大魔王にもなったので、「西域」に限定されている本書の「支配」とは、間接支配を含まず直接支配だけを意味しているのでしょう。これが「西域」の範囲を定めるヒントとなりま~す。
そしてネロドスの死後は魔界の西域ではひたすら権力争いの内戦が続いたそうで~す。
さて、ゲルヘナ幻野から見て西方に位置するバルディア山岳地帯でそうした戦争が続いていたことは、『バルディスタ戦記 上巻』で明らかで~す。
またゲルヘナ幻野から見て北西に位置するゴーラでも内戦が続いていたことは、マデッサンスの『魔幻宮殿』の解説文から明らかで~す。
一方でゲルヘナ幻野から見てさらに南西に位置するネクロデアでは、そうした戦乱の記録もなければ、1000年前に西域全土を支配したネロディオス覇王国に一度は支配されたという記録もありませ~ん。ユシュカの手記に「数千年前に起きた 大戦争の直後 ネクロダイトの採掘場で 不意に産出した」命のルビーに関するネクロデアの伝説の記述があるので、数千年間独立を保っていたようで~す。
ゲルヘナ幻野から見て西と北西が「魔界の西域」である可能性が高く、南西のネクロデアがそれに含まれないということは、やはりゲルヘナ幻野は魔界の中央から見て南西方向の辺境である可能性が高いですね。
のみならず、ネクロデアが完全に「魔界の南西のゲルヘナ幻野のそのまた南西」ならば、単純計算で領土の半分ぐらいは「魔界の西域」になってしまうので、ゲルヘナ幻野はより正確には「南南西」とみなすのが最適で~す。
3.辺境の戦争が「魔界大戦」と呼ばれた理由の説明
3-1.総論
では中央から遠く南南西に離れたそんな辺境での戦争が、なぜ「魔界大戦」と呼ばれたのでしょうか?
これについては、「ゲルヘナ周辺は、ジャゴヌバなどの神々の眼からの俯瞰では魔界の辺境地域に位置していても、現在の魔族にとっては政治・経済・文化・軍事の中心地であるから」と考えればいいと思いま~す。
その根拠は、アマンダのセリフ「魔界には 特に大きなチカラを持った 3つの国があるの」で~す。5.0から聞けるこの発言は、ゲルヘナの周辺国が魔界のビッグスリーであることの根拠として使えるのみならず、他の地域に弱小国が存在していることの根拠にも使えますね~。なおゴーラは5.0時点では滅んだと思われていたので、やはり現在プレイヤーが閲覧できる地図の範囲の外部にも、弱小国家群があるのでしょう。
またラズバーン軍では大幹部の扱いであった「じごくのもんばん」が、ゼクレスでは魔王の部下の某大貴族の部下の巨戦鬼ゴルゴンザのそのまた子分程度の扱いでした。これもゲルヘナ周辺以外の地域の「弱さ」の根拠で~す。
3-2.地球の類似例の紹介
地球史で一番の類似例が、第一次世界大戦だと思いま~す。
あの戦争は、地図だけを見るとユーラシア大陸の辺境中の辺境で起きた小競り合いでした。現に「欧州大戦」という別名もありました。
でも当時のヨーロッパ諸国は全世界に植民地を持ち、政治・経済・文化・軍事のすべての面において、全人類に与える影響力は非常に強かったわけで~す。だからこそ「世界大戦」とも呼ばれたので~す。
3-3.アストルティアの類似例の紹介
そしてアストルティアで一番の類似例を探すならば、ウルベア地下帝国とガテリア皇国の抗争でしょうね。
これについては「3000年前のアストルティアの状況を推測してみました。そしてそこから考えたグルヤンラシュの功罪」という記事でも多少書きました。
アストルティアの地図だけを見るとあれは世界の中心のレンダーシアから見て辺境のドワチャッカ大陸の内側で起きた二国間の抗争であり、ドルワーム王国と併せた「三国時代」の一局面にすぎないように見えるわけで~す。でも当時のドワーフの世界的な影響力は傑出していたため、「帝国対皇国」という事実上の世界大戦になったわけで~す。
だからドワーフ以外の種族も繁栄している現代で仮にガテリアを再興したところで、それはせいぜい「王国」なのであって、決して「皇国」ではないので~す。
この現実を、夢見がちで少し頭のおかしなギスマイヤーですらわかっていたので、自分の目指す新ガテリアを「死霊の王国」と呼んだというわけで~す*1。
※2020年9月17日追記
5.3でゼクレスは魔界の東方である可能性が高まり、本稿の主張の主要部分は間違いである可能性が高まりました。詳細は5.3メインストーリー記事にて。