0.はじめに
中一日文法解説に手間取りましたが*1、本稿こそが一昨日の記事の真の続編で~す。再登場希望ボスのその2で~す。
今回再登場を希望するボスは3.5メインストーリーに出てきた黒蛇鬼アクラガレナ*2で~す。
1.第一の理由「退場の仕方」
1-1.生存の可能性
主人公が戦闘で勝ったあとも実はアクラガレナは生きていて、直後のムービーで主人公を巻き込んで翠嵐の塔から投身することは、説明するまでもなく広く知られていま~す。
そして実はそのムービー中でも、アクラガレナの死の描写は入念に避けられていました。
本当に後腐れなく倒したことにするならば、主人公だけがエステラさんに助けられてアクラガレナはそのまま地面まで落下して紫の霧になったことにすればいいはずなのに、アクラガレナはほとんど落下しないまま塔の上層のどこかにひっかかっていました。
そしてその瞬間に主人公の視界から消える形での退場でした。その後どうなったのかは不明で~す。
生きているかもしれない形で退場したボスは、再登場をさせやすいですよね。
1-2.主人公側の動機の問題
アクラガレナが生きていた場合、ほとんどの主人公にとってアクラガレナとの戦いは「試合としては判定負け」みたいなもので~す。塔から落とされたのに無傷ですんだのは、エステラさんの救助のおかげでしたから。
エルフなら多少飛べるので何とかなったと思いますが、それでもせいぜい「引き分け」で~す。
こういう敵はプレイヤーのほうにもリベンジの動機がありますよね。
そして『ドラゴンクエストVII』のスイフーという例外もありますが、ドラゴンクエストシリーズでは主人公に一時的に勝ち逃げをした敵キャラをあとでしっかり倒させてくれることのほうが一般的で~す。
本作中の先例としては怪獣プスゴンがあげられま~す。ムービーでは何となく主人公のほうが負けそうな雰囲気だったのに、フウラちゃんによる賄賂で見逃してもらえました。そしてその後は「怒りのプスゴン」として再登場し、成長した主人公と全力での勝負をしました。
2.第二の理由「第二形態の存在の可能性」
2-0.総論
他に再登場させやすいボスの類型として、「第二形態がありそう」という特徴がありま~す。
以下、アクラガレナに第二形態がありそうな理由を書いていきま~す。
2-1.学名からの類推
アクラガレナの命名の元ネタを長年探していたのですが、蛾に"Acraga"(アクラガ)という属があることを最近知りました。
不勉強のため"Acraga"のたしかな語源は発見できませんでしたが、シチリア島の都市アグリジェントが古典ギリシア語で"Ἀκράγας"(アクラガス)と呼ばれていたらしいので、ひょっとしたら何か関係があるのかもしれませ~ん。いつか判明したら追記しま~す。
蛾は親戚の蝶に美しさで負けているイメージがありますが、"Acraga"属には美しい蛾も多いで~す。"Acraga"属が所属する"Dalceridae"科は幼虫である芋虫すら美しく、「ジュエルキャタピラー」とまで呼ばれていま~す。
雨月「そういえばアストルティアでもキャタピラーは緑の宝石を落とすな~。元ネタか~?」
"Acraga"に分類される種の一覧は、英語版のwikipediaが一番充実していました。
残念ながら"Acraga lena"という種はありませんでしたが、蛾の親戚である蝶に"Aemona lena"という種を見つけたので*3、架空の蛾の名前として"Acraga lena"は不自然ではないと思いました。
なお平嶋義宏著『蝶の学名 その語源と解説』(九州大学出版会 1987)の61ページによれば、学名における"lena"とは「媒介者」や「誘惑する女」という意味だそうで~す。
蛾や蝶といえば、芋虫から成虫へと形態を変えることで有名ですよね。
地球生物の学名からの印象どおり、アクラガレナが蛾や蝶のモンスターだった場合、あの多脚で這う形態は芋虫であり、他に第二形態が存在しそうで~す。
2-2.他の蛾に似たモンスターたちからの類推
アストルティアには外見や生態が蝶に酷似していながら実はドラゴン系であるフェアリードラゴンなんてのもいま~す。
またその色違いのイーブルフライには幼虫時代はどくイモムシであるという公式設定もありま~す。
だからドラゴン系とされる黒蛇鬼アクラガレナもまた、虫とドラゴンの中間的生物の第一形態であった可能性が十分にあるわけで~す。
2-3.学名の観点と類似モンスターの観点の統合
アクラガレナも所属する「異界の獣鬼」シリーズには、フェアリードラゴンやイーブルフライの色違いの桜蝶鬼メイガというモンスターもいました*4。
学名ではないものの和名として現実に存在する蝶の「螟蛾」科の名前がそのままとられていま~す。
だから「異界の獣鬼」シリーズの、とりわけ蝶や蛾に関しては、地球生物の名前を大いに参考にした可能性が高いので~す。
3.おわりに
以上、「黒蛇鬼アクラガレナは実は生きていて、しかも第二形態が存在する可能性が高いから、再登場の可能性も高い」ということを論じてきました。
だから星月夜は、魔鳥の頭目の次ぐらいに、アクラガレナの再登場を待望しているので~す。
暁月夜「私は納得したぞ~。蛹の中から"lena"の名にふさわしい、妖精風の羽を生やした蠱惑的な美少女が出てきてくれるのを、強く待望するぜ!」
雨月「下の写真は阿倉河麗奈ちゃん成虫態の想像図や~」
暁月夜「ああ、飼いたい。猛烈に飼いたいぞ!」
夕月夜「きゃ~、変態!」
暁月夜「なんだと~。おまえこそ姐御と毎日いちゃいちゃしやがって。二番地から聞こえてくる淫猥な嬌声の近所迷惑具合ときたら…」
夕月夜「あらあら、誤解させてしまいましたわね。暁月夜さんの願いが叶うよう、アクラガレナが無事に美しい成虫に変態するよう、声に出して祈って差し上げたというのに」