1.今までの研究の復習
マデサゴーラが5.5後期でジャゴヌバが死ぬまでの展開を予見しきっていたことは、過去記事「5.5後期の物語から解釈する、マデサゴーラ芸術」で書きました。
自身が予言者だったのか優秀な予言者を雇ったのかは不明ですが、「この時代の大魔王が創世の力で異界滅神を追い詰め、相手が絶対滅神に進化したあとは雷で葬り去る」が歴史の確定事項であると知っていたのでしょう。
創生番号016の「大魔王様は 光の河の奥底より 出でしとき 創生のチカラの破片を発見し 手中に収めた。 偶然か それとも必然かは 定かではない」というセリフからも、「歴史には確定事項と不確定事項がある」と意識していたことが伺えま~す。
そしてマデサゴーラ芸術における黄金の翼は「勇者を媒介とする人々のパートス」の意味だったわけですが、これに似た翼を『自由なるラ・テート』と同じような形で頭部につけていたアシュレイ兄弟が登場し、6.3でその翼がジア・クト艦隊を葬ったので、5.5後期どころか6.3までの展開まで予見していた可能性が出てきました。その件については過去記事「6.3メインストーリー その3 ワルスタットという暗号の解読 & マデサゴーラ芸術の奥深さ」で発表したとおりで~す。
2.6.5前期まで予見していた可能性も
6.5前期のメインストーリーを終えてすぐに思い出したのが、創生番号039の「次に 自らの創りあげた 偽りの世界で 真の世界を塗りつぶすことに 乗りだされる。 そう。偉大なる 大魔王マデサゴーラ様は かの女神の創りし 大地を消し去り 自らを 創世の大神たらんと欲されたのだ!」というセリフでした。
創生番号443はルティアナを「創世の女神」と呼んでいました。そしてその地位とチカラの簒奪者にして男性版である近未来のマデサゴーラについては「我らの主こそ 新たなる創世の神なり」としており、決して「創世の大神」などとは呼んでいませんでした。
称号でも「ゴールド女神」・「まもの女神」・「福の女神」の男性版は、それぞれ「ゴールド神」・「まもの神」・「福の神」で~す。
だから創生番号039の語る「創世の大神」とは、創生番号443の語るルティアナに取って代わっただけの「創世の神」と同一物を指していたのではなく、6.5前期に登場した「創生巨神」を指していた可能性が非常に高いで~す。
なお「創世」と「創生」とが厳密に使い分けられていない世界観であることは過去記事「「創生のチカラの破片」と「創世のチカラの破片」」で書いたとおりですし、「大神」と「巨神」もほぼ同じ意味で~す。
おそらくマデサゴーラは「ジャゴヌバ没後、程なくして大魔王が創生巨神になる」という歴史の確定事項を知っていて、その時代の大魔王の担当者たらんと欲していたのでしょう。
3.「全世界塗りつぶし」も達成されていた
創生番号たちの未来予測の発言が、歴史の確定事項という大枠では正しいことを示す証拠は他にもありま~す。
創生番号218は「すべての世界が 大魔王様の望む姿へ……。 その時は すぐそこまで 近づいているのだ」と語っており、これは創造神マデサゴーラのまめちしきの記述「創生の霊核を手に入れたら 大魔王はアストルティア全土を 偽りの世界で塗りつぶし 創世の神となるつもりだった」に対応していま~す。
主人公もまたこれとほぼ同じ業績をすでに成し遂げていました。
4.5メインストーリーで、創生の霊核の成れの果てである時元神キュロノスを倒してその力を永久時環に回収しました。これは「創生の霊核を手に入れたら」に当たりま~す。
そしてキュロノス打倒後の荒廃した世界が気に食わなかったので、キュルルの手を借りてキュロノスから回収した力を活用し、全世界を自分にとって都合の良い状態に戻しました*1。これは「大魔王はアストルティア全土を 偽りの世界で塗りつぶし 創世の神となる」に当たる業績で~す。
4.一部の天使との接触も確定事項?
マデサゴーラと魔勇者アンルシアの魂の一部は、破界篇でメドナムの手によって「滅びの手」と「滅びの剣」の担当者となりました。
この滅びの手のマデサゴーラは、かつてジャゴヌバを裏切ろうとしていたようにメドナムを裏切ってシドーを私物化してしまいました。
当時の星月夜は「こういう謀反好きの人物を採用したら裏切られるのは当たり前。メドナムは人を見る目がない」という感想を持ちました。
散り際に「やがて このチカラは レンダーシア全土をも包み込む」と語り偽のレンダーシア全土の壊滅を目論んだ魔道士キルギルのほうが、ずっと滅びの手に相応しいと思いました。
しかし「マデサゴーラは、天星郷の天使と接触する」が歴史の確定事項だったと考えれば、その復元力がメドナムの判断力を狂わせたと考えることができま~す。
5.マデサゴーラ勝利ルートの推測
以上により、マデサゴーラの目標の多くは「大魔王がこのような行動をする」という確定事項の形で予見されており、2.4で死んだために達成できなかったことの多くは仮面の大魔王に受け継がれたと考えま~す。
ここで創生番号たちの発言や芸術作品や仮面の大魔王の活躍などを総合的に参考にして、2.4でマデサゴーラが勝利していたルートの歴史を再構成してみま~す。
4-1.創生の霊核入手
2.4の戦いに勝利し、奈落の門の向こう側に見えていた創生の霊核を入手しま~す。
これでナドラガの力を吸収し、3.5後期の仮面の大魔王と同じく「神殺し」を習得できたことになりま~す。
オルストフとキュロノスは計画を達成できず、一気にバージョン4.5最終戦ぐらいまで話が進みま~す。
時渡りの専門家である兄弟姉妹が3.0~3.3にかけてしきりに「この冒険はスルー推奨」と忠告してきたのも、このあたりの物語が本来は余計なものであったことを示していま~す。
4-2.全世界塗りつぶし
次に4.5終盤の仮面の大魔王と同じく、全世界を自分にとって都合の良い状態へと塗りつぶしま~す。
これで七邪神のうち六柱までが消失しま~す。
4-3.ジャゴヌバ討伐
まずは魔界に残っていた邪神ダビヤガを神殺しの力で倒しま~す。
次にジャゴヌバを計画通り『雷葬』しま~す。
4-4.対ジア・クト戦
当然ながら天星郷の天使の多くからは「自分の計画に利用するためにルティアナ様を殺したのはあいつだ」と批判されまくりま~す。
6.0でアルビデが扇動したこれと同じ内容の主人公批判が多くの天使に受容されたのも、マデサゴーラ勝利ルートの歴史では正当な批判だったために、「アルビデによる大魔王批判は広く受容された」が歴史の確定事項だったからなのかもしれませ~ん。
それでもめげずにメドナムなどの一部の理解者との交流を続け、『自由なるラ・テート』の計画どおりにアシュレイとレオーネを捨て駒にしてジア・クトによる攻撃を二度防いだり、創生番号039のセリフどおりに第二形態の「創世の神」から第三形態の「創世の大神」へと進化して念晶巨人を倒したりしま~す。
4-5.ここから先は予言が見当たらず
肝心の6.5後期以降の物語については、創生番号たちのセリフからは予測できませ~ん。だからすべてが不確定で~す。
すなわちマデサゴーラ(または仮面の大魔王)にとっての「冒険」の本番は、始まったばかり!