ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

6.3メインストーリー その3 ワルスタットという暗号の解読 & マデサゴーラ芸術の奥深さ

 結晶の塔の内部はレオーネの心域となっていて、彼の人生を見せつけられました。

 ここで判明していった事実を箇条書きにしていきま~す。たまに感想なども書き加えま~す。

※レオーネは養子に出されるときに、親に捨てられたような気分になった。

 「レオーネ」って地球では女性の名前ですからね。よって「捨てられた」というのは満更単なる僻みというわけではなく、最初から他家にくれてやる候補だった可能性もありま~す。

 そして「アシュレイ」は男女どちらにもつけられる名前なので、「レオーネ」の命名の意図をうまく誤魔化した感がありま~す。

※そのせいか、この心域では実の両親は「ゼドラ族長」「ゼドラ族長の妻」という名前にされていた。

※幼少期にアシュレイとレオーネは当時レアなモンスターだったスターキメラを初見で倒し、その羽根で頭部のあの飾りを作った。

※レオーネは「勇者」だったころはその称号を重荷としていたが、復活して「勇者」でなく「盟友」になったときはその立場に納得がいかなかった。

雨月「かなり我儘なやっちゃな~。何になりたかったんや?」

※盟友になったレオーネにとってアジール「拠り所」であった。

 運営がここであえて「拠り」という場所にこだわった比喩表現を使ったのは、「アジール」の語源を強調する姿勢だと思いま~す。ドイツ語"Asyl"は「避難所」や「聖域」などの場所を意味するからで~す。

 そしてアジールがヴァルザードとの戦いで死に、レオーネのそばには賢者ワルスタットだけが残りました。

 元ネタの「ワールシュタット」は時代や地域によって表記に多少のズレがありますが、過去記事「心層の迷宮 断罪の森 内容紹介と攻略記」で書いたように意味は「戦」で~す。やはり「場所」が意識されていま~す。

 なお「ワール」の部分が「戦」や「戦死者の屍」などを意味し、「シュタット」の部分が「場所」を意味しま~す。鎌「ワルキューレ」のレシピの名前が「戦死者を選ぶもの」であることから、地球のドイツだけでなくアストルティアでもそういう意味である可能性が高いで~す。

 そしてこの「ワル」は現代ドイツ語では「ヴァル」と発音しま~す。前述の「ワルキューレ」について、正確には「ヴァルキューレ」であるという指摘を見た経験のあるかたも多いと思いますが、あの「ヴァル」で~す。

 女性の冒険者が短剣スキルを100にすると得られる称号「ダガーヴァルキリー」には、「ワルキューレ」の英語読みが構成要素になっていま~す。そしてこの短剣スキル100で覚えるのはギリシア神話で「死」を神格化した「タナトス」を名に冠する「タナトスハント」なので、この「ダガーヴァルキリー」の「ヴァル」にも「戦死者の屍」の原義がしっかり込められているといえま~す。よってアストルティアでも「ワル」は「ヴァル」にもなり得るといえま~す。

 そして大魔王ヴァルザードの「ザード」の部分は特定の場所を意味する地名だったので、本人固有の名前は「ヴァル」なのでしょう。

 すなわち賢者ワルスタットの名前は、「戦場」・「ヴァルザード」・「屍」を印象づけるものだったので~す。

 つまり「ダフィアの陰謀ですべてを失ったあと、避難所を得た。しかしそこもすぐにヴァルザードとの戦場になってしまった。やがて目の前にはだけが残り、自分も生きるのような状態になった」というレオーネの立場を、「敵はヴァルザード」・「死んだ味方はアジール」・「生き残った味方はワルスタット」とすることで、過度に説明的にせずとも見事に伝えることができたというわけで~す。

 今年のお月見イベントで"Vollmond"(フォルモント)にちなんだ「フォルモンティ村」が登場したのも*1、「ドイツ語では"v"と綴られていても発音は"f"音である」と伝えることで「では"v"音はどう綴るのか?」と調べるプレイヤーを増やし、ワルスタットの「ワル」が実は「ヴァル」であることを気づかせようという、粋な計らいだったのかもしれませ~ん。

夕月夜「なんという美しい暗号!」

暁月夜「こじつけっぽかったが、お月見イベントのせいで一気に説得力が増したな」

 塔の頂上ではジア・ルミナとレオーネが待ち構えていました。そしてこの塔が誘導灯であり、やがてジア・クト本隊も到着するという絶望的な話も聞かされました。

 そこに他の英雄より先に治療を終えたアシュレイが駆けつけ、レオーネを相手に戦ってくれました。まだ本調子ではないようですが、「アシュレイの治りが一番早そう」という伏線が回収されました。

 星月夜とユーライザは、残ったジア・ルミナと戦うことになりました。

 今度こそ本気という雰囲気を出してきたジア・ルミナは6.2ラスボスのときと比較して大して強くなっておらず、それどころか今回は神剣レクタリス無しで傷をつけることができました。

 この大手柄にはテトラルの「レクタリス」というつぶやきが多分関係してそうで~す。

 その様子を見たレオーネはジア・クトにも失望し、下剋上を起こしてジア・ルミナを破壊して彼女のジア・クト原石を食らい、「ジア・レオーネ」に進化しました。

 ジア・レオーネは人類もジア・クトも両方滅ぼす予定のようでした。そういうことならもうすぐ来るジア・クトの大軍とやらを倒すまでしばらく共闘したかったのですが、その交渉の前にいきなり襲いかかってきました。そのように猪突猛進だからこそ、レオーネはいつも不幸なんだと思いま~す。

 ジア・レオーネの一撃で星月夜もアシュレイも塔から落ちかけましたが、ユーライザが対冥獣王ネルゲル戦のときと同じ光輪を作ってくれたので、戦うことができました。

 アシュレイはジア・レオーネへの止めを刺しましたが、思い出のスターキメラの羽根はなぜか星月夜に押しつけてきました。

 そのとき空間の裂け目からジア・クトの艦隊が攻めてきました。

 艦隊にはジア・デーモンやジア・メーダに似たモンスターも混じっていたので、あの連中は元々結晶化に適応しやすかったのかもしれませ~ん。

 そして大量のアスタロトの姿も見えました。過去記事「アスタロト関連の予言を、昔より深く考えました」で、「この世の終末に 地の底から アスタロトが大挙して現れ 世界を無に帰す」という言い伝えは、本来はもっと長ったらしいものであり、6.1時点ですでに一部は成就したがまだ終わっていないという説を提唱しました。この説がそこそこ当たったといえましょう。

 ジア・クト艦隊は強大でしたが、ちょうど天星郷の六英雄の治療も終わったところだったので一気に壊滅できました。

 さらに追加の艦隊も来ました。そのとき星月夜にはレオーネからのメッセージが聞こえ、その指示に従って遺品のスターキメラの羽根を投げました。すると羽根は自滅と引き換えに艦隊からの攻撃を防いでくれました。その隙に六英雄は空間の裂け目を塞いでくれました。

 レオーネによるジア・ルミナ殺害といい、レオーネの遺言と遺品によるジア・クト艦隊撃退といい、過去記事「主人公とレオーネには共通点が多いで~す。その構造を基に未来を予測しました」の未来予測は正解でした。

 なお過去記事「5.5後期の物語から解釈する、マデサゴーラ芸術」では、『雷葬』・『自由なるラ・テート』・『したたる欲望』・『パートス』に登場した翼を「絶対滅神ジャゴヌバを倒すミナディン」と解釈しました。今でもそれは基本的に正しいと思っていま~す。

 でもこうして『自由なるラ・テート』のように人の頭部の片方にだけついていたキメラの羽根がジア・クト艦隊の攻撃を防いだのを見ると、マデサゴーラは対異界滅神ジャゴヌバ戦の次の段階として対絶対滅神ジャゴヌバ戦を見据えていただけでなく、さらにその次の段階として対ジア・クト艦隊戦まで考えていたのではないかと思いました。

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 また過去記事「続・マデサゴーラの太陽と月 今明かされるガウシア樹海とムーンキメラの秘密」では、「キメラはバラシュナの原型または再現として作られた」という解釈をしましたが、ジア・クトからの侵略を防ぐ目的でも作られたのかもしれませ~ん。

 思い起こせば初代『ドラゴンクエスト』のころから「キメラのつばさ」が登場し、キメラは単なる敵ではない不思議な立場を維持してきました。

 さてジア・クト艦隊の脅威が去ると、アンルシア姫とガートラント兵の結晶化が解除されました。

 ユーライザはこの現象をジア・ルミナの死のせいだと推測していました。それが本当に正解の可能性もありま~す。

 でも結晶化解除のタイミングを素直に評価する限りでは、ジア・ルミナの原石を継承したジア・レオーネが最後の羽根まで失って完全消滅したからだと考えたほうがよさそうで~す。

 なおマップのジア・デーモンとジア・メーダは結晶化の解除もなく、相変わらず物質系のまま徘徊していました。よほど適応したんですね~。

 以上を見ていたアシュレイは弟の死を美談に仕立てて「ありがとう レオ。 結局 最後には助けてくれるなんて お前らしいよ」とつぶやいていましたが、そもそもジア・レオーネの目標は人類とジア・クトの両方の滅亡だったわけですから、「単に最期の瞬間においてより大勢殺せそうな選択をした」という解釈も可能で~す。

 こうしてジア・クト艦隊との戦いは勝利に終わりましたが、勝利の報告をミトラーにしていたところ、ジア・クトの総大将のジア・レド・ゲノスが「魔眼の月」を空中に浮かべ、アストルティアの滅亡を予告してきました。

 ミトラーやテトラルによると、とこしえの揺り籠が滅んだときもこの月が昇ったのだそうで~す。

 集まっていた天使たちはミトラーの檄を聞いたあと、持ち場に帰っていきました。

 ユーライザは、冥獣王ネルゲル戦で光輪を作ったのも自分であり、それが地上での戦いへの介入とみなされ禁忌違反で罪つきとなったという話をしてきました。過去記事「ユーライザの犯した罪の内容の大胆推測」は完全に正解でした。

 ここで6.3の物語は終わり、「英雄を導く者」の称号を得ました。

(2023年1月26日追記)

 「ワルキューレ」のレシピ名を主張の根拠の一つとして文中に書き加えました。

(2023年2月25日)

 称号「ダガーヴァルキリー」を根拠の一つとして文中に書き加えました。