ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2017/12/31/000000)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

5.5後期の物語から解釈する、マデサゴーラ芸術

1.ダークレアリズムと5.5後期の関係の再確認

 本章は5.5メインストーリーの最後の記事の分析の再確認で~す。

 「マデサゴーラ芸術のスーパーダーキズムからダークレアリズムに至る流れが、5.5後期の物語に似ている」というのがその骨子で~す。

1-1.スーパーダーキズム ≒ 異界滅神ジャゴヌバ

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 スーパーダーキズムとは「万物の混沌を表す暗黒の美を探求」する運動で~す。のちに昇華されてダークレアリズムが始まりま~す。

 「全部の色を減法混色の手法で混ぜていった結果として暗黒になる」というのは、異界滅神ジャゴヌバの別名の「大いなる闇の根源」に似ていますね。

 マデサゴーラは未来の敵を知るため、まずはこの原理を芸術を通して探求し、その上でそれを乗り越えるためのダークレアリズムへと足を踏み入れていったと星月夜は考えておりま~す。

 そしてそのダークレアリズムがファラザードの体制・理念をヒントにしている可能性が高いことは、過去記事「偽の魔幻宮殿のマデサゴーラの作品群の紹介と考察」で書いたとおりで~す。

1-2.『森の秘密』 ≒ ルティアナ

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 ダークレアリズムの作品群の中で確認される限りもっとも古い作品番号であるのが、この『森の秘密』で~す。

 ルティアナの第一形態は人間風であり第二形態は蝶でした。かつ銀の森で光の河のチカラを女神像に使うと、黄金の蝶が道を教えてくれました。

 だから人間族に蝶の羽が生えたような形状の妖精は、ルティアナを象徴するのにピッタリで~す。

 しかも偽の魔幻宮殿に最初に入った時点ではこの絵はイバラで覆われており、スーパーダーキズムを倒すと妖精が全面に出てくる仕組みになっていました。これもルティアナがイバラの巫女の中に隠れていたことを表現しているといえましょう。

 スーパーダーキズムの昇華としてルティアナを象徴する『森の秘密』が描かれたのは、5.5後期でグランゼニスの子孫がルティアナの助力によって異界滅神ジャゴヌバに勝利した段階に対応しま~す。

1-3.『森の番人』 ≒ 絶対滅神ジャゴヌバ

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 しかし八本脚のクモがそんなルティアナを食べてしまいました。

 一時的に劣勢になった異界滅神ジャゴヌバがルティアナまたはその後継者のマデサゴーラのチカラを食べて、八本の手を持つ絶対滅神ジャゴヌバになって再起するという計画は、マデサゴーラにはお見通しだったというわけで~す。

 上司の掌の上で踊っているふりをしながら、さらにその先を見据えていたのがマデサゴーラなので~す。

1-4.『森の神性』 ≒ 創造神マデサゴーラ ≒ ユシュカ+ナジー

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 そんな森の番人とやらも、絡み合う二匹の蛇には敗北する運命なので~す。

 二匹の蛇は混沌でありながらも、スーパーダーキズムのように単純に混じり合って暗黒になるのではなく、森の番人のように一方が一方を食べて少しだけ強くなるのでもなく、個性を保ったまま協調しているからこそ最強なので~す。

 この「二匹の蛇」作戦は、可能ならば自分が創世神として遂行し、それが失敗に終わった場合には次の希望として混沌の国の王たちにやってもらう予定だったというわけで~す。

 だからこそ自分でデザインした創造神マデサゴーラの容姿*1には、羅刹王バラシュナに似せて蛇の頭が二ヶ所についていたというわけで~す。

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 さらに想像をたくましくすれば、羅刹王バラシュナこそ、魔祖となったシュナが命と引き換えに遺してくれた対ジャゴヌバ必勝兵器の生きた設計図だったのかもしれませ~ん。

2.この説を支えるゲーム内設定

 偽の魔幻宮殿では魔界の三国に対応する芸術はほぼ対等に配置されていま~す。

 でも創造神マデサゴーラの「創世の力」は、ゼクレス的な「加速する世界」でもバルディスタ的な「不浄なる世界」でも勝てない相手にファラザード的な「混沌たる世界」を用意するというものであり、彼が混沌を奥の手として一番大切にしていたことは明らかで~す。

 またマデサゴーラは「出征の辞」でも、「古だぬきのゼクレスや 暴れ馬のバルディスタ」だけを警戒し、ファラザードへの警戒はありませんでした。

 またマデサゴーラも所持していたであろう「魔仙卿のカギ」で秘蔵された物資の大半は、ファラザードの管理下にありました。これについては過去記事「魔仙卿のカギが必要な扉の配置の偏りに込められたメッセージとは?」で指摘しました。

 そしてマデサゴーラは下の写真のとおり、ファラザードの「協調」の原点であるラウルとリィンには敬意を払って偽のレンダーシアを創造したので~す*2

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 芸術作品のみならずこういった設定からも、「マデサゴーラはファラザードをヒントにジャゴヌバを倒す方法を考え、しかも自分が仮に志半ばで死んでもジャゴヌバを倒す者はファラザードから生まれると予見していた」という星月夜の説は支えられていま~す。

3.「かさ」の登場時期にも注目

 「ルティアナは蝶でジャゴヌバは蜘蛛。5.5後期が蝶と蜘蛛の戦いであるのは、マデサゴーラの予言どおり」というこの説は、5.5後期に配信された「かさ」によっても支えられていま~す。

 5.5後期が始まった7月の「冒険者のおでかけ超便利ツール ふくびき所更新情報」では、「フェアリーウィングの箱」・「幻想蝶のウィングの箱」・「モンシロウィングの箱」という蝶に関連するかさを入手できる箱が一度に三種類も登場しました。

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 同じく5.5後期から、防衛軍で「崩撃将のクモ脚」がもらえるようになりました。

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 しかも蜘蛛関連の景品なら他の部位でもいいはずなのに、わざわざフェアリーウィングらと同じ「かさ」枠にして、かつ八本の脚の位置を絶対滅神ジャゴヌバの八本の手の位置に近づけるデザインにしていま~す。

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 これらの符合を全部偶然と言い張るのは、相当難しいで~す。

4.以上を前提に考える、他の作品の解釈

 本章では以上で語った説を仮に正しいとして、それを前提にした他の作品の解釈も語っていきま~す。

4-1.『雷葬』

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 『マデサゴーラ絵画の歴史』によると、ゼルドラドに臣従を決意させた作品で~す。

 ゼルドラドが激情家であったならば単なる美しいだけの絵を見せられて一気に傾倒するということもあるでしょうが、クエスト「剣魔と芸術家」でゼルドラドが極めて冷静な人物であったことが明らかになりました*3

 だからこの絵のメッセージを理知的に理解してその思想に共鳴したと考えるべきで~す。

 マデサゴーラの最終的な目標はジャゴヌバをファラザード的な協調の理念で葬り去ることだったわけですから、『雷葬』とは5.5後期の最終決戦のように「最後はミナデインでジャゴヌバを葬る」という計画を意味する暗号だったと考えるべきで~す。

 なお右側に描かれている黄金の翼は、他の作品にも頻繁に登場するので、注意が必要で~す。

4-2.『影と光の抱擁』

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 異界滅神ジャゴヌバといえば「闇」であり「手」なのですが、本作では手の一方が光となっていま~す。

 本作は大魔王即位直前の作品らしいですが、異界滅神ジャゴヌバの光をも包括する絶対滅神ジャゴヌバへの進化という計画は、もうこの時点でマデサゴーラは見抜ききっていたことになりま~す。

 そうなると創世の女神への羨望が「妄執的」と周囲に評価されるほどわかりやすかったのも、ジャゴヌバに「ルティアナを食べるまで時間がかかりそうだから、こいつを代用食品として創造主の座に据えよう」という気分にさせることで、その力を利用しようという計画だったのかもしれませ~ん。

4-3.『虚無』

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 解説文によると、中央の王冠を被ったキャラについては、マデサゴーラは自画像説を明確に否定したそうで~す。ところが創造主への羨望がモチーフだという説にはあいまいな態度をとったそうで~す。

 ある説は明確に否定して、別の説は曖昧な態度というのは、やや不思議な態度で~す。

 しかし『森の~』三部作を理解して、右側に描かれている蝶の羽が「ルティアナだ」と気づけば、曖昧な態度も理解できま~す。

 中央で光の鳥に圧倒されて斜め後方に倒れかけている闇の王は異界滅神ジャゴヌバであり、こんな者と自分が同一視されるのは我慢がならなかったので明確に否定したというわけで~す。

 そしてそれに勝った時点の創造主は、まだ『森の秘密』の直前程度の状態であり、マデサゴーラにとって一応の目標ではあるものの、強烈に羨望するほどの最終目標なんかではなかったというわけで~す。

4-4.『自由なるラ・テート』

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 自分をモデルとした顔の右半分は、蝶すなわちルティアナの力を得たことを意味していま~す。

 しかしルティアナの力を得て『森の秘密』になるだけでは、『虚無』の異界滅神を倒せても『森の番人』の絶対滅神には勝てないと理解していました。

 そこで『雷葬』にも登場した例の黄金の翼の力も得ることを構想していたのでしょう。

 この二つの力を得てこそ、魔族は「自由」を勝ち取れるというわけで~す。

4-5.『目覚め あるいは 祈り』

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 「2本の茨が 大きな目玉に 絡みついている」と説明されていま~す。

 「茨に拘束されていて」、「目覚める存在であり」、「祈る存在でもある」とは、つまりイルーシャそのもので~す。

4-6.『したたる欲望』

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 下から伸びている手は、当然ながらジャゴヌバを意味しま~す。

 それに引きずりこまれまいと浮いているオブジェの翼の一方は、例の黄金の翼で~す。

 『目覚め あるいは 祈り』からの類推で眼球がイルーシャを意味するならば、やはりこれも「ルティアナの力に黄金の翼が加われば、ジャゴヌバに勝てる」を意味しているのかもしれませ~ん。

4-7.『パートス』

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 今までキーアイテムとして語ってきた黄金の翼そのもので~す。

5.まとめ

・マデサゴーラは大魔王就任前から、異界滅神ジャゴヌバを倒して魔族を自由にすることを模索していた。

・そしてジャゴヌバが創世の神の力を食らって絶対滅神に進化しようと計画していることまで、見抜いていた。

・だから単に創世の力を得るだけではジャゴヌバに完勝できないことにも気づいていた。

・そこで意図的に創世の女神への妄執的な羨望の部分だけを明らかにし、ジャゴヌバから大魔王、さらには創造神になるための後押しをしてもらった。相手の掌の上で踊るふりをしながら実は相手を自分の掌の上に乗せたのである。

・絶対滅神に勝つには、創世の力の他に人々のパートスの力を結集すればいいということもわかっていた。

・しかしこの最終的計画については大々的に明かすわけにはいかないので、芸術の形で遠回しに表現した。

・作品群に込められた理念を理解した上で同志になった人物の代表例がゼルドラドである。

※11月3日追記

 かさについて、実験により本稿の主張がさらに少しだけ強まりました。詳細は本日の記事にて。