0.はじめに
本日の記事の前半は、『ドラゴンクエストVI』の考察で~す。でもそれは後半の本題を語るために不可欠な内容なので、『ドラゴンクエストX』にしか興味がない人も、我慢して読んで下さ~い。
1.ライフコッド村民超人説の否定論
『ドラゴンクエストVI』では、ライフコッドの村が、「まおうのつかい」率いるモンスターの部隊に襲われるイベントがありま~す。そしてこのとき、画面の様子だけを見ていると、ただの村人がボストロールと互角に戦っているようにも見えま~す。
このため、ライフコッド村の村人はアークボルト城の兵士よりも強いという説が根強くありま~す。
しかしストーリーをしっかり理解し、村長との会話も怠らなければ、この部隊の目的が二つに分離した主人公の片割れを殺すことであったことがわかりま~す。彼らは村人を主人公より先に殺すつもりはなく、それどころか殺してしまうと主人公に関する情報を引き出しにくくなるという状況にあったので~す。
隊長のまおうのつかいは部下に対して「私が許可するまで村人は一人も殺すな!」と命令したことでしょう。だからみんな、村人を傷つけなかったのでしょう。
それに村人が本当に互角の戦いをしていたなら、モンスターたちは一定のダメージを負っているはずで~す。
でも部外者であるプレイヤーたちがモンスターに挑むと、この連中はフィールド上で遭遇する場合と同じHPで挑んでくるので~す。つまり村人の攻撃はほぼノーダメージであったことがわかりま~す。
以上により、星月夜は強く「ライフコッド村民超人説」を否定いたしま~す。
2.XのまおうのつかいとVIのまおうのつかいが別人であることの証明
さて、ここからがそれを踏まえた『ドラゴンクエストX』の話題で~す。
まおうのつかいの「まめちしき2」には、「はじめての任務は 村ひとつ滅ぼしてくることだった。それを果たすと はじめて魔王の側近に任じられる」と書かれていま~す。
前半が過去形で後半が現在形なので、初任務をまだ果たせていないことがわかりま~す。
このまめちしき2について、VIの世界でライフコッド村を滅ぼす任務を指していると解する人があまりにも多いで~す。たとえば『ドラゴンクエスト大辞典を作ろうぜ!!第三版 Wiki』の「まおうのつかい」の「Last-modified: 2016-01-06 (水) 17:58:44」の記事*1では、「また、DQ10の討伐モンスターリスト(まめちしき2)によれば、どうやらこのライフコッド襲撃が初任務だったらしい」と解釈されていま~す。
しかしながらこの記事の前半で指摘したとおり、VIの世界のまおうのつかいの任務はあくまで主人公の半身の破壊だったのであって、もしも主人公に逃げられてしまったのでは、村をどれだけ丹念に破壊したところで魔王の側近に任じてもらえるとは到底思えませ~ん。
よってこのまめちしき2は、無理に他の作品を巻き込んで解釈をするのではなく、素直にXの世界の内部設定として読むべきであると思うので~す。
3.まおうのつかいの初任務の検討
では、まおうのつかいの初任務とは、いったいどこの村についての話なのでしょうか? 「村をひとつ」ではなく「村ひとつ」という表現が使用されていることから考えるに、村であればどこでもいいというわけではなく、一応は特定の村が対象となっていそうで~す。
最初に思いついたのは、エテーネの村の襲撃で~す。
このとき、大魔王から冥王に「チカラ」が貸し与えられたといわれていま~す。
先発隊としてまおうのつかい部隊が編成され、「先発隊だけでエテーネを滅ぼせたら、全員を参謀本部直属のスタッフに採用。冥王の本隊をわずらわせる結果となったら、今後も同盟軍への派遣要員とする」という内容の試験が行われた可能性がありま~す。
しかしこの説には弱点がありま~す。それは、まめちしき2の後半部分が現在形であるということで~す。
もしもエテーネ村の滅亡が昇進試験であり、しかもここで昇進できなかったのであれば、すでにエテーネ村が冥王によって滅ぼされた以上、不合格が決定したことになりま~す。諦めて次の別の試験を待つしかありませ~ん。そしてその場合、まめちしき2の後半は「それを果たしていれば はじめて魔王の側近に任じられるはずだった」という表現になるはずで~す。
初任務はまだ成功していないけれども、さりとてまだ不合格と決まったわけでもないということは、「かつて襲撃を受けてまだ存続している村」こそが、まおうのつかいの初任務の対象ということになりま~す。エテーネはもちろんのこと、ガケっぷち村もこれで候補から外されま~す。
ここで思い出したのが、魔法戦士団のクエストで語られた、モンスターによる全世界同時の襲撃事件で~す。かつての記事ではこれを「約20年前の事件だと思われます」と書きましたが、『アストルティア創世記』によれば14年前のことだそうで~す。
このとき、まおうのつかいたちにも特定の村を滅ぼしてくるという任務が与えられたと仮定し、魔法戦士団のせいで一度は敗退を余儀なくされたものの、いつか何らかの手段でその村を滅ぼしさえすれば昇進できるという約束だけは残ったと考えれば、過去形と現在形が混じったまめちしき2の内容との矛盾もしませ~ん。
4.結論
以上により星月夜は、「まおうのつかいのはじめての任務とは、アストルティア内の特定の村を滅ぼしてくるというものであり、それは成功もしなかったが失敗とも決定づけられないまま、ずるずると続いた」と考えました。
(以下、2019年2月23日追記)
書いてから三年経過して、急に注目されアクセス数が伸びました。
内容については三年経過した今でも立場は変わっていませ~ん。
でもこの三年で、記事を書く技量は随分と伸びました。
そうした視点でこの記事を読み返すと、話題が頻繁に変わるわりには単調に思考が語られていて読みにくい文章だという感想を持ちました。
そこで本文はそのままにして、章を分割し、章ごとに題名をつけるという、最低限の加筆をしました。
これだけでかなり読みやすくなったと思いま~す。
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