0.はじめに
マデサゴーラがジャゴヌバから少なくとも独立し、あわよくば勝利したいと考えていたということは、「マデサゴーラの太陽と月」という記事で書いたとおりで~す。
しかし創生の霊核を得ただけではジャゴヌバと引き分けることすらできないというのは、イコッサさんの「反逆の大魔王マデサゴーラ」という記事にあるとおりで~す。本稿でも確認のため多少触れま~す。
かといって平和的な君臣関係を続けていくには、両者の目的があまりにも違いすぎるということも、イコッサさんの記事に書かれていま~す。これも本稿で確認のため多少触れま~す。
そこで何とかマデサゴーラの反逆に勝機がないかを考えてみました。勝算がゼロであった場合にはあまりにもマヌケであり、それは彼が地方統一戦争や政治や芸術や選定の儀で一定の成果を挙げ続けてきたという設定と、実質的に矛盾しますからね。
そして一応勝算を発見できたので、ジャゴヌバ側の対抗策も考えてやらねばなりませんでした。反逆をする気満々でしかも本当に自分に勝ててしまうかもしれないマデサゴーラを最後まで馬鹿正直に支援し続けたとすれば、今度はジャゴヌバがマヌケすぎますからね。
なお本稿はあくまでマデサゴーラの計画上の話であり、現実にはそもそも創生の霊核を入手できないこと自体が初めからほぼ確定していたというのが星月夜の説で~す。それについては「【悲報】主人公が世界を救ったのは一回だけだったのかもしれない」という記事をご覧くださ~い。
1.「創生の霊核」の弱さの確認
創生の霊核は、バージョン3.5前期まではさも御大層なもののように描かれていました。
でも3.5後期では、中身はナドラガの心臓にすぎないと判明しました*1。そしてこれとナドラガ神の器とナドラガの骨とを全部そろえて儀式までしても、せいぜいナドラガ神にしかなりませんでした。
そのナドラガ神の強さたるや、ホームグラウンドで戦ってもブオーンよりほんの少し強いという程度でした*2。おそらくはブオーンと同程度でしょう。
しかもクエスト「竜神の遺産」*3で、ナドラガ神は内側からさらに魔瘴魂ナドラグルが支援していてやっとあの強さであったということまで判明してしまいました。ネルゲルにたとえるなら、最初から冥獣王モードだったわけで~す。
また4.5冒頭*4のパドレの独白で、創生の霊核には中ボスの原獣プレゴーグを四体孵化させる程度のチカラしかなかったことまで判明してしまいました。
ルティアナとその七子は封印されたり眠ったり肉体を失ったりしている状態なので、この力を得た程度でもマデサゴーラは「創世の神」になれた可能性はありま~す。
しかしそれはあくまで現代のアストルティアにおける相対評価で一位になったというだけであり、現役時代のルティアナには遠く及ばないでしょう。のみならず、今は寝ているグランゼニスがやがて目覚めたときに一位を維持できるかどうかすら不安ですね~。当然ながらジャゴヌバには、勝つどころか引き分けによる独立すら不可能ですね~。
2.平和的な君臣関係の永続は困難であることの確認
すでに何度か紹介したとおり、「大いなる闇の根源の 分け身たる者」である魔瘴魂ナドラグルが「我の欲するは 創生のチカラにより 創られしものの 一切の消滅!」と宣言していました。
今後新しい設定が語られるまでは、ジャゴヌバも同じ目標を持っていると暫定的に考えておくべきでしょう。
だから二代目の創世の神になりたがっていたマデサゴーラとは、最終的な目標が違いすぎるわけで~す。
実はドラゴンクエストシリーズでは、すでにこれに酷似した君臣関係が破綻で終わった事例が語られていま~す。
それは『ダイの大冒険』のバーンとハドラーで~す。バーンが地上世界を消し飛ばしたかったのに対し、ハドラーは地上を支配したかったので、やがて齟齬が決定的になるので~す。
余談になりますが、バーンのライバルで地上の支配を目指していたヴェルザーがバーンよりも早くハドラーと接触していたら、ドラクエ史上最高の名コンビが成立していたかもしれませ~ん。
3.太陽と引き分けた月に学ぶ
マデサゴーラはこういう立場なのに、ジャゴヌバにどうやって対抗する予定だったのでしょうか?
それについては、彼が最も感情移入をしたリンジャーラから手法を学んだと星月夜は考えておりま~す。
リンジャーラはそのままではパドレにかなわなかったわけですが、自身が「魔人リンジャーラ」になり、さらに異界の魔人たちまで召喚したところ、ほぼ引き分けに持ち込めました。
これをマデサゴーラにあてはめると、まずは創生の霊核でナドラガ程度の実力の「創世の神」になり、さらに援軍まで呼び寄せれば、なんとかジャゴヌバに対抗できた可能性が出てきま~す。
と言っても、援軍のアテがなければこれは机上の空論で終わりで~す。
そこでアテについて二通り考えてみました。
4.援軍のアテその1
実は「大魔王軍に頼もしい援軍がいた」という事態は、すでに前例がありました。
キングヒドラについて、まめちしきに「本来の主に命じられるがまま 魔軍にチカラを貸している」という設定がありま~す。
さらにプチキングヒドラとキングヒドラ強のまめちしきに「魔法の迷宮に 不死身のまま 封印されし キングヒドラ」とあるので、封印される前から不死身であったことも判明していま~す。不死身の能力を与えられる立場なのは今のところネロドスぐらいしか判明していないので、キングヒドラがネロドスの生前からの援軍だったのはほぼ確実で~す。
この「本来の主」についてですが、やはりジャゴヌバかその部下であるという可能性もあるにはありま~す。キングヒドラ強のまめちしきに「魔界に一大アカペラブームを 巻き起こしたことすらある」とあるので、キングヒドラは所詮はジャゴヌバの魔界に所属している考えることもできま~す。
しかしこのゲームで「魔界」と表記される世界は、5.0以降に行けるようになった魔界のみではない可能性が高いことは、「5.0メインストーリー その2 大審門まで & クリスモスブロスさんのセリフについて」という記事で書いたとおりで~す。
のみならず、キングヒドラのまめちしきに「かつて偉大な勇者を 葬ったという逸話を持つ」とあるので、アレフガルドでオルテガを倒した功労者と同一個体である可能性も示唆されていま~す。その場合「本来の主」とは、ゾーマだったことになりますね~。
そして魔軍十二将ではないのに「魔法の迷宮に 不死身のまま 封印されし」という表現をされた迷宮ボスはキングヒドラ以外にもかなり多く、その多くがネロドスの客将であった可能性もありま~す。
先駆者の一人であるネロドスのこうした前例に倣って、マデサゴーラが異世界から援軍を求めた可能性は十分にあるでしょう。
5.援軍のアテその2
もう一つの援軍のアテは、アストルティアの現地勢力で~す。
大魔王としてのマデサゴーラの先駆は前章で見たネロドスだったわけですが、「太陽に面従腹背の月」としての先駆が魔公王イシュラースであったことは、前掲「マデサゴーラの太陽と月」で検証したとおりで~す。
そのイシュラースは、「自分は侵略者だがラズバーンよりマシな存在だ」と六種族の有力者に理解させることで、密かに独自路線を歩むことになかば成功していました。
この真似を考えていた可能性があるというわけで~す。
具体例の筆頭は、六柱の種族神で~す。
「お前たちの創った世界は、このままでは異界滅神によって完全消滅するぞ。それよりは原作をそれなりに尊重した新世界を創った、この義理の兄と組んだほうがマシではないか?」と呼びかければ、味方になってくれたかもしれませ~ん。
また交渉が可能かもしれない有力な現地勢力としては、他にも魔神族のブオーンなどが考えられますね~。
トップの頭の中が空っぽの災厄の王軍あたりは、援軍のふりをした「まおうのつかい」を一人送り込めば、逆に全軍を内側からコントロールできそうで~す。
6.ジャゴヌバ側の対抗策
「マデサゴーラがジャゴヌバに勝つ」という筋書きが、上述したように単なるマデサゴーラの誇大妄想ではないとなると、ジャゴヌバ側でも何らかの対抗策を練っていなかったのはおかしいということになりま~す。
考えられるものとしては、「紅衣の悪夢団」がありま~す。
かつて「紅衣の悪夢団の目的を、活動場所や裏切り者の登場時期に着目して考えてみました」という記事で、紅衣の悪夢団が自分たちをも滅ぼすダークドレアムを降臨させようとしたそもそもの動機は、大魔王と引き分けたり交渉したりしようとしたためであり、降臨自体を自己目的化したのは最後まで活動を続けた一部の過激なグループだけである、という内容の主張をしました。この考えは今でも変わっていませ~ん。
しかし当時はダークドレアムによるアストルティア全体の消滅は、「大いなる闇の根源」とやらにとってもマイナスだと思っていたので、他に黒幕がいるとまでは思っていませんでした。
その後、ジャゴヌバの分身の魔瘴魂たちが「創世のチカラにより 創られしものの 一切の消滅」を目指していたと知りました*5。こうして少なくとも「アストルティア消滅」という点では、ダークドレアムとジャゴヌバの利害は一致していたと判明しました。
ジャゴヌバが「マデサゴーラを一定程度支援する」→「マデサゴーラに怯えたアストルティア原住民が、紅衣の悪夢団を強化したり再建したりする。場合によってはジャゴヌバが黒幕として密かな援助までする」→「ダークドレアムが降臨し、目標達成」という流れを狙っていたと考えれば、反逆心が強くてしかもその反逆構想が単なる夢物語ではないマデサゴーラを最後まで支援していたことも、説明がつきま~す。
7.まとめと次回予告
こうしてマデサゴーラの切り札は創生の霊核に限られず、ジャゴヌバに立ち向かうための援軍のアテも存在することが明らかになりました。
しかしジャゴヌバは強いですし、ジャゴヌバ側にも頼りになる戦力がアストルティア内にいることが判明しました。
だからマデサゴーラが創生の霊核と援軍という二枚の切り札を使ったとしても、ジャゴヌバに勝ったのか負けたのか引き分けたのかは未知数で~す。
ギャンブルが大好きなマデサゴーラにはそれでもよかったのかもしれませんが、実は「ジャゴヌバと確実に引き分ける堅実な案」という堅実案も存在しま~す。これさえ採用すれば、絶対勝てなくなる代償として負けることもなくなるので~す。そしてこの案はすでにゲーム中で明かされていま~す。
その答えは、ツイッターではすでに軽くつぶやいてしまいましたが、まだ星月夜の当該ツイートを読んでいないかたは、明日を楽しみにしていてくださ~い。考察の同好者のみなさまには、明日までの宿題という挑戦状として受け取ってくださ~い。
(2021年7月13日追記)
そもそもジャゴヌバは、マデサゴーラがルティアナ二世になってくれたほうが好都合だったようで~す。よって本稿第6章はほぼ意義を失いました。詳細は本日の記事にて。
*1:https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2017/08/16/055352
*2:https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2017/08/17/203641
*3:https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2018/04/15/001420
*4:https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2019/04/05/180000
*5:https://hoshizukuyo.hatenablog.com/entry/2020/03/17/200000