ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

ドワーフたちは空を怖れる。そしてそれは杞憂にあらず。

0.はじめに

 本稿ではドワーフたちが空を怖れていることを立証した上で、その恐怖の本質を考察しま~す。

1.三国時代ドワチャッカで見た、ドワーフたちの空への恐怖

 今でこそドワーフは岳都ガタラのような空が広く見える構造の町も作って住んでいますが、三国時代にはまるで空から来る何かから逃げるかのように地下に住んでいました。

 ウルベアは国名に「地下帝国」と入っているほど地下にこだわっていましたし、ガテリアもまた本拠地は現在の「最果ての地下遺跡」でした。また当時のドルワームは、NPCのトコイの情報によると「城ごと砂に埋もれて 隠れ住んでい」たそうで~す。

 いくら当時は文明が進んでいたといっても、三国とも予算の観点では無意味なほど地下にこだわっていたことになりま~す。

 これらは「空から来る何かに怯えていた」と考えると説明がつきま~す。

f:id:hoshizukuyo:20200714032513j:plain

2.現代のドワチャッカでも空は怖れられている

 現代のドワチャッカでは三国時代ほど空は怖れられていませんが、やはり空への恐怖心のようなものは見られま~す。

 その最たる例が岳都ガタラであり、北部にはウルベア・ガテリアの遺跡のダンジョンによく似た構造の豪華な通路がありま~す。

 採掘ギルドや展望台に行くためだけならば普通に屋外に階段を作ったほうが安上がりでしょうに、わざわざ出入り口が二つもある豪華な屋内通路を維持していま~す。

 とりわけ町が灰塵の竜鱗兵団に襲われるようになってからは*1、あの二つの出入り口のせめて一方だけでも塞いだほうが防衛軍が勝利する可能性も高まるでしょうに、一向に閉鎖しようという動きがありませ~ん。

 やはりガタラ住民は灰塵の竜鱗兵団以上に「空から来る何か」のほうを怖れていて、シェルターとその入り口を手放せないのでしょうね~。

f:id:hoshizukuyo:20200714033246j:plain

3.高出力ビーム砲とも辻褄が合う

 『週刊ウルベア魔神兵 第5巻』やその周辺情報によれば、ウルベアの財務大臣「戦費抑制の目的で」魔神兵の脚部をなくす提案をしたため、グルヤンラシュに睨まれて失脚し死んでしまったようでした。

 この脚部が近接戦闘の役には立つことは、以前別の記事で検証したとおりで~す。

 しかし不思議なことに、対ガテリア戦では脚部以上に浪費となる武器については、財務大臣はそうした提案をした形跡がないので~す。

 その武器とは『第2巻』によると「右腕に」「取りつけられている」高出力ビーム砲で~す。

 このビーム砲は月にクレーターを作れるほどのものらしいのですが、その割には大量破壊兵器としての描写がありませ~ん。

 対ガテリア戦で大量破壊兵器として活躍できたのは、「圧倒的なチカラに 熱狂した」「大型魔神機開発部」によってリミッターを解除されたあとの「ウルベア大魔神」と、漫画版の「イシュ・ヤンカル」だけでした。

 もしも一般の魔神兵の一体一体の右腕が大量破壊兵器であったならば、わざわざエネルギー効率の悪い大魔神や不完全なイシュ・ヤンカルを使うまでもなかったはずで~す。

 つまりこの右腕の高出力ビーム砲は、「月まで届くほど威力が強い」のではなく、「月まで届くほど収束率が高い」のだと考えるべきでしょう。祝砲には使えても戦場では無駄に高性能な部位といわざるをえませんね。

 しかも『第3巻』によると、「左腕」のオノは「ビーム砲にも アタッチメント可能」であり、こちらの弱出力ビーム砲については「援護射撃」用との記述があるので、戦場でしっかり活躍できたようで~す。

 ならばなおのこと左腕にオノを持たせ、右腕は援護射撃用の弱出力ビーム砲などに改造するのが、戦争の合理的な遂行という目的にはかなっているわけで~す。

 実際に主人公が今までのメインストーリーで戦ってきた魔神兵たちは、自国の施設の屋内で戦うことを想定してか、右腕が高出力ビームから「暗黒魔力砲」に換装されていま~す。

 それでも財務大臣がこの月まで届くほど収束率が高いビーム砲を無駄だと思わなかったのは、「高高度から攻めてくる敵を迎え撃つ準備が、対ガテリア戦争以上に重要だったから」ぐらいしか理由が思い浮かびませ~ん。

f:id:hoshizukuyo:20180930051329j:plain

4.ドワチャッカを集中的に襲う空からの使者たち

 アストルティアにはザグバン丘陵にのみ流星群が降り注いだ歴史があり、また現在でもザグバン丘陵でのみ謎の飛行物体が観測できま~す*2

 さらにはまめちしきによると「魔天より飛来した」といわれるクァバルナは、ドルワームを長年苦しめてきました。

 ドワーフだけが空を怖れるのは、決して杞憂ではありませ~ん。

f:id:hoshizukuyo:20171105070532j:plain

5.空の脅威の根源は?

 この空の脅威の主たる根源ですが、「宇宙」という可能性は低いですね~。

 まず常識的に考えて、宇宙からの脅威ならばどの大陸も平等のはずで~す。

 例外的に5000年前にメガロダインによって地脈エネルギーを減らされたエテーネ王国が大隕石に狙い撃ちされたこともありましたが*3ドワチャッカ大陸の地脈エネルギーがグルヤンラシュに大量に奪われる前からドワーフは地下を好んでいました。

 さらには「異星からの侵略軍」は、オーグリード大陸の獅子門ばかり襲ってきま~す。

 よって宇宙人から見てドワチャッカが特別魅力的であったり特別着陸しやすかったりということは、なさそうで~す。

 以上により、宇宙もまたドワチャッカの空の脅威の一部である可能性ならそれなりにありますが、宇宙こそが主因という可能性はかなり低そうで~す。

 そうなるとやはり、「クァバルナの故郷である「魔天」という異世界が存在し、そこへの巨大なゲートがドワチャッカの上空にあり、それこそがドワーフが空を怖れる最大の理由だ」と考えたほうがよさそうで~す。

f:id:hoshizukuyo:20180401171026j:plain

6.魔天と不思議の魔塔の関係

6-1.不思議の魔塔のボスたちの名称と不死性

 不思議の魔塔のボスたちは、全員の名前の最初の二文字が「魔天」で~す。しかもネロドスの配下であったなどの設定が見られないのに、まるでクァバルナのように何度倒してもよみがえってきま~す。

6-2.一見不自然な建築家探し

 『錬金術師ゾーネスの栄光 第4章』によれば、錬金術師ゾーネスは「神の知識を手に入れる」手段として不思議の魔塔の建築を目指したようですが、そのために必要な「才能ある建築家」は当初からドワチャッカ大陸で見つけると決めていたようで~す。

 いくらドワーフ族が一般的に器用だといっても、生涯を賭けた大事業の請負人を探すにしては、これは常識的に考えて当てずっぽうすぎますよね。

 しかし「この魔塔の建築は、魔天とドワチャッカ大陸の対立の一環でもあった」と考えるならば、非常に自然で~す。

 「これは魔天の脅威を探ったり弱めたりするための事業なんですよ」とドワチャッカ大陸の建築家に伝えれば、他の大陸出身の建築家を相手にするよりも交渉が楽になりそうで~す。またゾーネスが知らない魔天対策のノウハウをドワチャッカ人ならば持っている可能性が高いので~す。

6-3.アギロ経由での魔天の勇者との縁

 さらに不思議の魔塔の建っているデフェル荒野一帯は、ゲーム内の地図では「アラハギーロエリア」の一部とされていま~す。

 「アラハギーロ」は名称や星空といった点で「アギロ」とつながっており*4、アギロは公式イベントで「魔天の勇者」とつながりがありました*5

6-4.小結

 以上により、デフェル荒野上空にもドワチャッカ大陸上空ほどではないにせよ小規模なゲートがあり、不思議の魔塔はそこをピンポイントで狙った施設である可能性が非常に高いので~す。

f:id:hoshizukuyo:20161219211402j:plain

7.なぜ地下に逃げ、他の大陸には逃げないのか?

 「神の知識を手に入れる」手段として魔天と縁の深い不思議の魔塔が建てられたのですから、魔天からもたらされるものは悪ばかりではなさそうで~す。

 また3000年前の世界でドワーフ文明だけが急速に進歩したのも、異世界からもたらされた叡知のせいだと考えるのが一番自然で~す。

 だからこそドワーフ族は、エクゼリアの民のように他の大陸に集団移住するのではなく、シェルターを建設したり対空兵器を開発したり不思議の魔塔の建築を手伝ったりしてなるべく魔天からの不利益を回避し、利益の部分だけを享受しようと工夫しているのでしょうね~。

f:id:hoshizukuyo:20181031060508j:plain

8.パクレも気づいていたかも

 ナドラガンドや魔界はアストルティアと似たような生物だけが住んでいるので、ネロドス軍団という例外を除けば不死のチカラを持った者などいませ~ん。『亡国の記憶 ~ネロディオス覇王国~』はその証左で~す。

 しかしクァバルナや不思議の魔塔のボスの復活能力を見るに、魔天出身のモンスターはそうもいかなそうで~す。

 そのことをパクレも気づいていたからこそ、「異世界出身なので通常の手段では倒せない」変異ケダモン*6の住処を、ドワチャッカ大陸に設定したのかもしれませ~ん。

f:id:hoshizukuyo:20190120031340j:plain

9.御礼

 この記事の発想は、ツイッターで会話をしている最中に偶然思い浮かびました*7。関係各位に感謝で~す。

(2021年11月30日追記)

 6.0から「6-1」の説得力がさらに少しだけ増しました。詳細は本日の記事にて。

(2024年3月23日追記)

 近々記事にしますが、7.0からはアストルティア防衛軍の戦場が実物に似せた別の場所である可能性が高まりました。

 ただしその場合でも模擬戦でガタラの弱点が判明し続けていることにはなるので、本稿第2章はそのままにしておきま~す。