ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

10周年記念クエスト「天を超えてゆけ」第5話「時の車掌と滅びの運命」の内容と問題点

1.クエスト内容紹介

 エルジュは多少回復したようでした。元々不治の病で体が動かなくなっており破邪舟を動かす要領で自分を動かしていたらしく、蘇りしラズバーン戦で破邪舟を使ったことでしばらくそれができなくなっていたのが、寝込んだ原因のようでした。

 エルジュは新生レイダメテス攻略を依頼してきました。クエスト「時の車掌と滅びの運命」で~す。

 新生レイダメテスはネルゲルが帰還したあとも一ヶ所で輝くだけで、500年前と違って気候変動などの活動をしていませんでした。

 でもいつ活動を開始するかもしれないので、放置するわけにもいきませ~ん。

 そこでフルッカの破邪舟で内部に乗り込もうとしましたが、防衛機能が強くて追い返されてしまいました。

 ここでフルッカの祖母で先代破邪舟師でもあるハルッカの話題が切り札として出ました。若いころに錬金術師と破邪舟を強化する秘術を研究していたそうで~す。

 さっそくハルッカに会いに行きました。

 こちらがハルッカ。奥にいるのがその息子にしてフルッカの父であるヒルッキ。

 ちなみにこのハルッカの家は6.3で追加されたマップのようで~す。本棚の本には「24時間」を一つの単位とすることを前提とした記述があり、「日」という単位の研究が久々に進みました。過去記事「単位「日」の研究」に久々に追記をしました。

 ここでハルッカの共同研究者が60年前のナルビアに住んでいたイッショウだと判明しました。ちょうどハルッカヒルッキを妊娠している期間に、イッショウはバルザックに力を奪われ、しかもレシピまで家を襲撃した何者かに焼かれてしまったようでした。

 60年前のナルビアの話題が急に出てきたのは、今はなきオフラインモード後半のセルフオマージュだと思いま~す。

 そこでエルジュは星月夜と協力して時渡りをしました。この時渡りは絆で結ばれた破邪舟師とエテーネ人とが協力してやっと可能になるタイプのものであり、かつ時間制限が厳しいそうで~す。

 60年前のナルビアに着きました。

 ここではジャネット(レベル18戦士)・ミミナ(レベル14魔法使い)・アイギス(レベル18僧侶)・シエン(レベル14武闘家)・セレネア(レベル6戦士)が兄との冒険をきっかけに仲良くなったという後日談を聞けました。

 イッショウ宅は兄の留守中に「ラズバーンの手下」らしきモンスターに襲撃されていました。このモンスターは「俺らの王の復活の 妨げになるモンは ひとつ残らず 消しちまうのが 俺の 役目さァ!」と語っていました。

 『アストルティア秘聞録』の26ページによるとネルゲルはこのシーンの40年前に海底の棺から誕生しているので、ここでいう「復活」を「棺からの誕生の比喩表現」と解釈することは不可能で~す。よってラズバーン軍にとってネルゲルが一度敗死することは既定路線であり、その復活から先が本番だったのでしょう。

 このモンスターを倒すと、エルジュの病気がメラゾ熱であることを見抜いたイッショウ親子が「メラゾ熱のクスリ」を分けてくれたので、エルジュは復活しました。

 イッショウは「破邪の紋章のレシピ」も気前よくくれました。「共同研究者のハルッカへの配慮はどうした?」という批判的な感情が一瞬だけ浮かびましたが、これは「このレシピは以後少なくとも60年間存在しない」が歴史の確定事項だった場合、その復元のための人格の一時的な改変だった可能性もありま~す。

 ここで時渡りが時間切れになって現代に戻されました。兄がもうすぐ帰宅するという時点で起きた現象だったので、これも「兄視点での最初の再会は3051年前のウルベア地下帝国の技術庁」という設定*1が歴史の確定事項だったこととも関係しているのかもしれませ~ん。

夕月夜「メインストーリーが4thディスクの最中の段階でキュルルの助力を得たならば、もっと時間制限の弱い時渡りができたのでは?」

暁月夜「どうかな~。高性能だからこそ逆に「そんな自由自在な時渡りをしたら、兄と確実に遭遇してしまう」という理由で歴史の復元力が作用し、時渡り自体が失敗に終わるかも?」

 ハルッカによると、イッショウは500年前の破邪舟師が遺した古文書をもとに破邪の紋章のレシピを考えついたのだそうで~す。ハルッカはその古文書がこの破邪の紋章のレシピを元に遺されたのではないかと推測し、「循環説」に陥っていました。

 この「循環説」が正しい可能性もありますが、過去記事「「4.3メインストーリーでの主人公による介入前のキュルルは、どのようにして生まれたのか?」を考えました。二つ仮説を思いつきました」同様、それ以外の可能性もありま~す。むしろ改変前の歴史のエルジュはメラゾ熱が治らず若くして死んだらしいので、ますます循環の可能性は低いで~す。

 星月夜が考えるに、「遺した」といっても本人が書いたとは限らないですし、仮に本人が書いたものでもどこまで具体的であったかは不明で~す。改変後の歴史ではエルジュが意識的に遺産とした文書とほぼ同じ内容のものが、改変前も自然な形で遺産とされていた可能性は非常に高いで~す。

 なお現代に戻ったあと実験的にイッショウ親子に会いに行ったのですが、予想通り60年前の話題は出ませんでした。そこで「現代と当時では自分は他人から異なる種族に見えた可能性が50%以上」と考え、その立場で過去記事「最近また強調された「主人公の外見は時代・世界ごとに決まる」設定の再確認と、その例外ルールについて」の第4章に第8節を追加しました。

 さて破邪の紋章のレシピによると、グレン領西のゴーレムが落とす「天岩石」とキュララナ海岸のタコメットが落とす「天海のかぶと」とを持って、時の車掌ゼーベスに会えばいいそうでした。

 グレン領西の特別に弱いゴーレムはクエスト「ダーマの試練」の標的でしたし、タコメットは古参プレイヤーにとってはレベル上げの標的として懐かしい敵で~す。だからこそセルフオマージュとして彼らが標的として選ばれたのでしょう。

 またダーマ神は他の『ドラゴンクエスト』シリーズにも出演している偉大な神ですし、キュララナ海岸は過去記事「キュララナ海岸の語源はおそらく「スキュラ」。ただしキュルルとの関係もまだ完全には否定しきれませ~ん」で書いたように今回のテーマの一つである「時間」と深い関係がありま~す。そういう観点からも標的に彼らが選ばれたのかもしれませ~ん。

 「時なき駅」でゼーベスと会いました。

 ゼーベスの指示通りにこの天翼のエンブレムに天岩石と天海のかぶとを捧げると、破邪の紋章の製造が開始されたようで~す。

 なおこの「時の円環より 外れたる地」以外で作ろうとすると、なんと星の寿命に匹敵するほどの時間がかかるそうで~す。そしてここで作る場合ですら「しばらく」かかるようなので、とりあえずクエストはこれで終了となりました。

 ところで地球の諸文化における「時」の把握の仕方は、「円環」的なものと「直線」的なものとがありま~す。「円環」的時間観は「永遠」と相性がよく、「直線」的時間観は「有限」と相性がいいで~す。

 『ドラゴンクエストX』においては、時間をある程度操れる民族が自らを「永遠」に因んで「エテーネ」と名乗ったり「永久時環」などというものを作ったりしていることから、「円環」のイメージのほうが尊重されていることが示唆されてきました。

 でも「時」の真の専門家から「円環」設定を明言されたのは、これが初だと思いま~す。

 ちなみにアストルティアでは「空間」についても「円環」が尊重されていることは、過去記事「アストルティアの原理ともいうべきウロボロスのフラクタル構造の考察。そしてそこから神都フォーリオンの指導者の行末を推測」で書いたとおりで~す。そして空間と時間が一体のものであることは、過去記事「時間の流れを変える技術に関する考察」で書いたとおりで~す。

夕月夜「理論が美しくつながりましたね~」

2.問題点

 エルジュはイッショウから土産にもらったメラゾ熱のクスリを、ヒルッキに押し付けて去っていったそうで~す。

 「エルジュ・メラゾ熱のクスリ・ヴェリナード城下町の民家」の三点セットは、クエスト「そうびぶくろ超整理術」の「エンジュ・メラゾ熱のワクチン・ヴェリナード城下町の教会」の三点セットのセルフオマージュかもしれないと思いました。

 配信は「そうびぶくろ超整理術」のほうが数年早かったわけですが、今後はプレイスタイルによっては「時の車掌と滅びの運命」から先にクリアする冒険者も多いことでしょう。

 そこで実験的に「時の車掌と滅びの運命」クリア後に「そうびぶくろ超整理術」をリプレイし、パッポルとともにメラゾ熱に罹患するところまで話を進めました。

 こういう状態になった場合、エンジュがどこかに隠したワクチンを発見することを最終的には目指しつつも、まずは応急処置としてエルジュがヒルッキに押し付けたメラゾ熱のクスリで治ってしまうべきでしょう。

 ところがこのメラゾ熱罹患状態でヒルッキに話しかけても、普段と同じく薬を押し付けられたという愚痴を聞かされるだけで交渉は一切進みませんでした。これは残念!

 「レムオルの粉」のときも指摘したことですが*2、このようなプレイ順をプレイヤーが選べる二つのクエストで同じ話題を使いまわすときは細心の注意が必要で~す。