ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

季節外れとの批判の強いウールコートセットは、防寒の役にもあまり立ちませんでした。

 こんにちは~、あと約一ヶ月間ゲームをする時間のほとんどない時期が続く星月夜で~す。

 でもなるべく公式イベントには一瞬でもいいから参加しようと思い、本日のおきがえリポちゃんからウールコートセットを借りました。

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 このセット、上半身が厚手すぎて、春のイベントには不向きだとの批判も強いですね~。

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 でも下半身はこのとおり、かなり寒そうですね~。かなり使える季節が限定されそうですね~。

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 これを着て「寒さならまかせなさ~い」とか強がっても…、

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 多分こうなるのがオチですね~。

普通名詞としての羅睺羅の影響を受けたのはラゴス一族。では固有名詞としての羅睺羅の影響を受けたキャラは…?

0.はじめに

 昨日の記事で、「羅睺羅」という単語を扱いました。

 この単語は普通名詞としては「障害」という意味にもなり、そう解釈する限りではおおむね悪でありま~す。

 そういう普通名詞としての悪い「羅睺羅」の影響を受けて創作されたのが、先祖のラゴウ・ラゴラを含めたラゴス一族であるというのが、昨日の記事の主張でした。

 しかし一方で、仏教で「羅睺羅」を固有名詞として扱う場合には、これはおおむね善い存在なので~す。

 「羅睺羅」と名づけられた釈迦の息子は、父が出家者であるため実家に置き去りにされたような立場でした。しかしやがて釈迦が悟りをひらくと、自分もまた出家をして個人の資格でその一弟子となり、師弟の立場で釈迦と関係を再構築しま~す。そして血縁に頼らずして釈迦の十大弟子の一人という地位を得たので~す。

 『ドラゴンクエストX』には、この固有名詞としての善い意味の「羅睺羅」の影響を受けたキャラもいるのではないかと考えて、探してみました。

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1.ラグアス王子

 そして発見したのが、ラグアス王子でした。早口だと容易には「ラゴス」と区別できない、あのキャラで~す。

 最初にして最大の根拠はやはり発音の類似性ですが、「出家」というか「家出」をして偽フォステイルとなってから個人の立場で父に会いにいったりと、人生上の類似点も多々ありま~す。

2.両者の父も似ている

 そしてその「父」ですが、ラグアスの父であるプーポッパン王の設定は、羅睺羅の父である釈迦の影響が感じられま~す。

 星月夜の説では、「仏陀」をもっとも色濃く反映したキャラはスキルマスターであるのですが*1*2、プーポッパン王にも釈迦の設定の一部が色濃く反映されていると思うので~す。

 以下、共通点を強調してこの二名の紹介文を書いてみましょう。

※釈迦

 釈迦は本来は贅沢ができる王子であったが、出家をした。

 邪魔な息子との縁も一度は切った。

 その後は無駄に苦行をして体をボロボロにした。

 しかし苦しいだけの修行が間違いだと気づき、悟った。

 悟った後は息子と関係を再構築した。

 「死」や「愛別離苦」などの苦しみは諦めるしかないなどの思想を後世に伝えた。

 祖国の滅亡は阻止しきれなかった。

 彼の唱導した思想を体現した図は、八方向に輻が広がり回転する法輪である。宗派によっては八葉の蓮華も使われる。

※プーポッパン王

 プーポッパン王は本来は贅沢ができる王であったが、自らを犠牲にして魔瘴の調査をした。

 息子との縁も一度は切れた。

 その後は無駄に魔瘴を浴びて体をボロボロにした。

 しかしイッドの言いなりの魔瘴対策が間違いだと気づき、反省した。

 反省した後は息子と関係を再構築した。

 「尽きた命を 呼びもどすなど 天の理に反することを してはならん」という思想を遺した。

 祖国の滅亡は彼自身の手では阻止しきれなかった。

 彼がその自己犠牲の思想を実践しようとした場は、八方向に葉が広がり回転するキラキラ大風車塔である。

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「ラゴウ隊長はラゴスの先祖」説を発表しま~す。 余談として、改変後版のアストルティア博物館設立秘話およびメガロダインの誕生秘話も。

※本説の概要

 4.5前期メインストーリーの後日談*1で紹介したとおり、5000年前の大エテーネ島の住人は、島ごと一気に5000年後に来た人々と、他の地に移住した人々とに分かれました。

 移住組は東の小エテーネ島に渡った自由人の集落の先発隊が主流派であり、そしておそらくは浮島の住民たちの多くもそこに加わったものと思われま~す。

 自由人でも浮島の住民でもないのに珍しく小エテーネ島に移住できた人物としては、夜逃げをしたラゴウ隊長がいました。

 本日は「このラゴウ隊長こそがラゴスの先祖となった」という説を発表しま~す。

 根拠は以下に記載しま~す。

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※根拠1.名前が一族ぐるみで似ている。

 「ラゴウ」と「ラゴス」、単に名前が似ているだけでもそこそこの根拠にはなりま~す。

 ただし「ドミネウス」の子が「クオード」であるなど、親子でまったく違った名前をつける家系もあるので、これだけではかなり浅い根拠で~す。

 この点、ラゴウ隊長の甥は「ラゴラ」であり、一族ぐるみで似た名前を名乗る家系である可能性が高いで~す。

 これで格段に強い根拠となりま~す。

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※根拠2.仏教面でのつながり

 以前、「サブストーリー「大盗賊の伝説」の解釈 その2 「"the illusion of self"としてのリルグレイド」説 これでリルグレイドの設定・カンダタの特技・漆黒のノートの意義を全部まとめて説明できちゃいました」という記事を書きました。

 要約すると、「カンダタは元ネタの"Karma A Story of Buddhist Ethics"では仏教の「無我」を理解できずに苦しんだ人物でしたが、『ドラゴンクエストX』においてはそれをほぼ乗り越えた人物として描かれており、元ネタ版のカンダタの非仏教的側面はラゴスが演じている」という内容のものでした。

 この記事では、「そして「ラゴス」の語源には諸説ありますが、もしも漢訳仏典における「羅睺羅」であった場合、その本来の意味である「釈迦の成道の障壁」が全力で発揮されたといえま~す」と書きました。羅睺羅とは釈迦の息子の名前でもありますが、これは息子の存在が修行の邪魔であることからきているともいわれておりま~す。

 また「クエスト「奇妙奇天烈な武器」、かなり簡単に終わりました」という記事では、「「ラゴラ」といえば、釈迦の息子「ラーフラ」の漢訳「羅睺羅」の日本語読みですね~。でもそういうネタは一切ありませんでした」と書いてしまいました。今思えば、本稿の説はこの時点で思いつくべきでした。

 「ドラゴンクエストXラゴスは、仏教における失敗例を象徴」・「漢訳仏典の羅睺羅は仏教における障壁も意味する」・「「羅睺羅」は日本語では「らごら」と発音する」・「ラゴラはラゴウの甥」というこの四つの命題をつなげると、「ラゴウ隊長はラゴスの先祖」説につながりま~す。

※根拠3.不要物マニアという共通点

 ラゴスは、風車のカギなんていう、直接的には金にならないものを盗んでいました。しかもそれを使って次は社会的に価値のあるガンガン電池を入手して売ったりとかもせず、ずっと手元に置いておいたせいで、結局取り返されてしまいました*2

 カンダタにとって世界の100大秘宝が大事であるように、ラゴスには風車のカギとかがなぜか大事なのでしょう。

 ラゴウ隊長も「わくわくコレクション」で、妙な不要物を集めていましたね~。

 ラゴラも多少はその血をもっているのか、役立たずとされた武器に強い関心を示していました。

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※根拠4.筆まめという共通点

 若き日のラゴスは全13章という膨大な内容の漆黒のノートを綴っており、それが後々の敗因にもなりました。

 ラゴウ隊長も王都に大量の手紙を送っていました。

※根拠5.「大盗賊の伝説」の主要キャラたちの法則

 「大盗賊の伝説」の主要キャラたちは、先祖または過去の自分と強い因縁を持っていました。

 カンダタは先祖のジンダタの偉業を再演し、リルグレイドは過去の自分と同じくアストルティアからの援軍に敗北し、カグヤ=ムーンは先祖と似たような目に遭い、ペリポンは先祖のプロッペの作品を改造しました。

 そうなるとラゴスにも何か強い祖先との因縁があった可能性が高いで~す。

 この根拠は薄弱なので単独ではほぼ無意味かもしれませんが、他の強い証拠にさらにもう一つ積み重ねる分には、多少の意味があると思いま~す。

※根拠6.不自然な逃亡劇

 ラゴウ隊長は嫌われキャラで、新たな隊長代行のローベルは好かれキャラなので、ラゴウ隊長が地位を失いローベルが後継者になる物語を後日談に入れること自体は、プレイヤーを楽しませる要素として自然で~す。

 しかし、隕石が百年後に墜落するが「直ちに影響はない」という状況下で、海流のせいで外部との連絡も困難な謎の未開の島の開拓団の、それも先発隊のほうにいきなり加わるというのは、臆病者という設定にしては少々不自然で~す。

 また仮に本当に隕石をとことん怖れていたならば、東の島なんかよりもレンダーシア大陸本土の内陸部にまで逃げるべきでしょう。

 よってこれはおそらく、物語内においても、運営の決断というメタ的な意味においても、「歴史の復元力」が作動したのでしょう。

 「ラゴウ隊長またはラゴラがラゴスの先祖」という裏設定が物語内にあって、運営内部でもそれが共有されていたのに、4.5前期メインストーリーが大エテーネ島ごと住民が現代に来るという話になったので、ラゴウ隊長とラゴラの少なくとも一方を島の外に行かせる物語が必要になったのでしょう。

 歴史の復元力によって脳を汚染されたラゴウ隊長は、自分では臆病者の自分に似つかわしい行動をしているつもりでいながら、実は勇敢な行動をしてしまっていたというわけで~す。

 これに似た例が、改変後の歴史におけるアストルティア博物館の設立で~す。

 自分の見た悪夢の内容を展示した博物館を作ってしまうだなんて、芸術家や非常識な権力者ならともかく、良識ある政治家である普段のラグアス王子ならば到底やらない行為で~す。これも、改変前の歴史では常識的な理由で同じ展示の博物館を建てていたので、歴史の復元力の力を受けてしまい、非常識な行動をとってしまったのでしょう。

 この種の例を見せつけられた後だと、以前批判したヨンゲ所長の「メガロダインを開発して脱走されてしまった」という行為*3も、エテーネの歴代の諸王の数々の歴史改変のせいであって、本人の自由意志によるものではない可能性が高いと思うようになりました。

 みなさんのそばにも、急に説明のつかない愚行を始めた人、いませんか? ひょっとしたらそれは、どこかで誰かが歴史を変えたせいかもしれませ~ん。

4.5時代にウェナのふくびきに追加されたしぐさをコンプリートしました~。

 4.5時代にウェナのふくびきに追加されたしぐさをコンプリートしました~。

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 演奏フルート。

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 ネオンスター。

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 ネオンスピカ。スターとかなり内容が被ってますね。

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 ネオンビーム。

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 ネオンフラッシュ。

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 ネオンハート。

キュロノスが、現代を自身と発展強化型ヘルゲゴーグの主な活躍場所にした理由

0.問題提起

 本日の記事は前回の記事の続編的色彩が濃いので、まずそちらをお読みくださ~い。

 さて、前回はキュロノスの三大プランを紹介しましたが、どのプランにおいても少し奇妙だったのが、現代を羽化の時代として選んだことで~す。

 とりわけ第二プラン、すなわち四体の発展強化型ヘルゲゴーグを修行させてエネルギー不足を補うプランにおいては、現代という時代は最悪に近いで~す。何しろ、勇者と盟友なんていう厄介な敵がいましたからね~。

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 『アストルティア創世記』25ページの設定によれば、魔王が外部からアストルティアに侵入すると勇者と盟友が覚醒するらしいので、本来なら勇者のいない時代を拠点としたほうが楽だったでしょう。

 そして実際にも、発展強化型ヘルゲゴーグの修行は盟友によってことごとく邪魔されました。とりわけネロスゴーグは修行させるつもりがかえって弱くなってしまったという件は、前回紹介したとおりで~す。

 なのでキュロノスがなぜこのような「ハードモード」を選んだのかについては、以前研究した大魔王マデサゴーラがあえて「ハードモード」を選んだ件*1と同じく、しっかり研究すべき対象だと考えました。

 とりあえず「勇者姫没後」というイージーモードを採用しなかった理由はほぼ自由かつ無数に考えられそうなので、「勇者姫覚醒以前」というイージーモードを採用しなかった理由から考えてみました。

1.単独では不合格になった仮説集

 この章で紹介するのは、決して「棄却仮説集」ではなく、その一言で終わらせるわけにはいかないアイディア集で~す。後述の結論と決して矛盾するわけではありませ~ん。

※「キュロノスは勇者姫と盟友を舐め切っていたせいで、むしろ程好い敵がいてレベル上げに最適な時代だと誤解したから」

 初手であるネロスゴーグの修行についてだけは、この仮説で合格点がもらえるかもしれませんね。でもその後もこの失敗から何も学ばなかったのは流石に無能すぎますね。だから、この仮説だけで話を終わらせるのは自己採点では不合格となりました。

※「ゾンガロンがジーガンフを一時的に堕落させる歴史が、覆せない確定事項だったから」

 これも要因の一つかもしれないと、今でも思っていま~す。でもこれだけでは、「修行の時間帯をずらしてやる配慮も可能だったかもしれない」とか「それが無理でもジーガンフ事件の直後に活動を開始すれば、勇者姫は覚醒前で盟友は覚醒直後のヒヨッコだった」などの反論に潰されてしまいま~す。

※マローネがファラスを約5012年後に送ったので、生物の全滅という事業を一回で終わらせるには、その時代あたりにまで行くしかなかった」

 これもやはり要因の一つかもしれませ~ん。でも先程のジーガンフ仮説と同様、自分の最後の事業は5012年後の世界でやるとしても、発展強化型ヘルゲゴーグの修行の時期までそれに合わせる必要性は乏しそうで~す。

2.実は時渡りが苦手だった時獄獣キュロノス

 ここで時元神キュロノスの「まめちしき」を読んでみましょう。

 まず「時獄獣の肉体を滅ぼすことで 自身の能力に最適化した形態に 構成しなおすことこそが キュロノスの真の狙いだった」とありま~す。時獄獣の状態だと、本来の能力が発揮できなかったようですね~。では肉体が足枷となって発揮できなかった能力とは何でしょうか?

 その回答もここに書かれていました。「時元神に進化したキュロノスは 肉体の制約に縛られることなく 時渡りのチカラを自在に使う 神にも等しい存在へと至った」とありま~す。なーんと、時獄獣の肉体のせいで制約されていた能力は時渡りでした~。

 時獄獣は、時見の源泉から製造されたキュロノスが中核となっても時渡りが苦手なので~す。だから肉体部分の材料であった「発展強化型ヘルゲゴーグ4体」ときたら、時渡りは苦手中の苦手であったことでしょう。

 この設定が最大のヒントである気がしたので、これを研究の糸口にしました。

3.4.0以前の時代を選ばなかった理由

 時獄獣の素材である「発展強化型ヘルゲゴーグ4体」のそのまた素材となった「特別な 魔獣」が原獣プレゴーグであり、これが竜神の心臓のエネルギーで孵化したことは、これまでの記事で語ってきたとおりで~す。

 そしてその「竜神の心臓」がキュロノスの手に落ちたのは、3rdディスクの最終決戦の直後であり、心臓自体の正当な時間軸は現代ということになりま~す。

 ならば、「時渡りが苦手であり、かつ現代の心臓の力で孵化した」という設定を持つプレゴーグたちには、「本籍時が現代」という体質が強く刻み込まれ、「他の時代に行きにくい」とか「行けたとしても現代滞在中のフォステイルのようにMPの消費が激しい」といった設定が生じた可能性がありま~す。

 こう考えると、「勇者姫の覚醒より前の時代でがんばる」というタイプのイージーモードが選択不能だったことまでは説明ができま~す。

4.勇者姫没後の時代を選ばなかった理由の推測集

 では逆に、「勇者姫没後の時代でがんばる」というもう一つのイージーモードを選ばなかった理由はなぜでしょうか?

 これについては、前述の通り理由はかなり自由に考えられるので、中でもまともそうなものを集約し、軽く紹介するにとどめま~す。

※「重要物の寿命に関連する事情のせい」

 竜神の心臓の本来の時間に縛られるとしても、時獄の迷宮に籠城した上で、自然の時間の流れに任せて勇者姫の老衰を待つという手もあったはずで~す。

 でも発展強化型ヘルゲゴーグの寿命が短いとすれば、先に籠城側のほうが滅んでしまいますね~。

 あと剥き出しになった後の竜神の心臓にも寿命があったとすれば、「心臓を100年放置してから孵化させ、プレゴーグの本籍時をナドラガの死後100年ごろとする」という手も使えませ~ん。

※「現代以後は時獄獣の育成がますます困難になることが時見でわかっていた」

 ビャン・ダオ皇子の研究院入りや天才プクラスの誕生により、アストルティアの科学技術は今後急速に進歩しそうですね。かつて量産されていた旧式砲台と最新の砲台とでは数十倍の性能差があることも、公式設定で~す*2

 今後どんどん七種族が力をつけてくれば、空中に浮かぶ繭なんかミサイルでイチコロになるのかもしれませ~ん。

 あるいは逆に第三勢力である異界滅神ジャゴヌバの天下となり、やはり発展強化型ヘルゲゴーグの修行どころではない時代になっていた可能性もありま~す。

 4.5前期の後日談では、現代のさらに1000年後もまだジャゴヌバの天下になっていませんでしたが*3、あれはあくまでバイロゴーグの細胞を回収したりゾンガロン問題が完全解決したりした歴史の延長線上の話ですから、この仮説が正解である可能性も十分ありま~す。

※キューブが他者を時渡りさせるには縁が必要であり、キュロノス所属の部下や施設は5012年後の世界までしか行けなかった。

 エテーネルキューブのキュルルが他者を時渡りさせるには、行きたい時代と場所に何らかの縁があることが必要だという設定は、散々聞かされてきました。

 そしてこの設定がキュロノスにもあったならば、5012年後から来た主人公がエテーネ王宮を歩き回った痕跡やナドラガの心臓を元に異形獣や繭を5012年後の世界に送ることはできても、それ以上の未来には当初から送れなかったと考えることも可能で~す。

 現にキュロノスは、アルウェーンの戦いで主人公らと引き分けかけたとき*4、4.1ラストのとき*5のように追加の異形獣を投入するのではなく、大人しく撤退していきました。

 それまではほぼ引き分けだったので、あそこで援軍を少し投入すれば圧勝できていたかもしれませ~ん。それをしなかったのは、そもそも「できなかった」と考えるのが自然で~す。

 この説は、「勇者姫覚醒以前のイージーモード不選択」のほうの説明にも使えそうですね~。

無限動力炉の原理は増殖獣バイロゴーグに由来しますが、バイロゴーグの力は無限動力炉由来ではありませ~ん。その証明をかねて、キュロノスの第一・第二・第三プランの変遷も推測してみました。

0.はじめに

 「バイロゴーグの力は無限動力炉由来」とし、「だから無限動力炉の原理の根源は無限ループする」とする説がありま~す。本日はこれについて批判をしま~す。

 この説は根が深く、4.5前期以後に更新された大辞典の「増殖獣バイロゴーグ」の項目の記述でも、まだこの記事を書いている段階では無限ループ説が採用されているようでした。

 星月夜は当初からそんな循環はあり得ないと考え、バイロゴーグとの戦いを描いた記事の中でも「4.1や4.2のときとは逆に、魔獣のほうがその前のボスの素材になったモンスターだった」と書きました。

 でも念には念を入れて4.5前期の公開を待っていたところ、ありがたいことに無限ループ説を完全に否定する内容が込められていました。

1.4.4までに公開されていた情報からの分析

 第一に言いたいのは、もし無限ループが本当に可能でバイロゴーグ製造の原理をバイロゴーグ自身の遺産から得たかったのであれば、研究により別物にされてしまったものよりも、研究に利用された「バイロゴーグの細胞」それ自体を持ち帰ったほうが便利だということで~す。

 しかしそうではなく「無限動力炉のチカラ」のほうを欲したということは、やはり無限ループなんて不可能なのでしょう。

 そしてこの時点でキュロノスが求めていたのは、バイロゴーグの発明に必要な原理なんかではなく、大量のエネルギーのほうなのでしょう。

 「無限動力炉のチカラ」を得る様子を見ても、システム全体を奪っていくのではなく、装置の中のエネルギーやその中核部分だけをパドレに吸収させていく雰囲気でした。

 加えて、無限動力炉のチカラを入手した直後のセリフで「これで 必要なものは すべて そろった」と語っていました。ここからさらにバイロゴーグを開発しなければならないような勢力の発言とは到底思えませんよね。

 無限ループ説に傾倒した人の中には、「無限増殖なんていう凄い能力は、無限ループのような無茶でもしないと手に入らないだろう」とか思い込んでしまったというケースも多いかと思われますが、無限増殖能力自体は1.0からいた雑魚モンスターのヒートギズモですら持っていま~す。

 ヒートギズモのまめちしきには、「ある程度大きくなると 身体が ふたつに分裂する。 元の意思は受け継がれるので ある意味 永遠の命といえる」と、はっきり書かれていま~す。

2.パドレの回顧談の分析

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 4.5前期メインストーリー冒頭で、パドレの回顧談が聞けま~す*1

 途中「話しておかねばなるまいな。 無限獣ネロスゴーグ 喪心獣ゾンテドール 憑依獣ザルボーグ 増殖獣バイロゴーグ…… 4体の魔獣とは何だったのかを。 かつて 俺は 神墟ナドラグラムで 竜神の心臓を奪取した。 王立アルケミアに隠されていた 特殊な 魔獣の卵を孵化させるため 竜神の心臓に宿る 莫大なエネルギーを 必要としていたからだ。 そうして生まれた 魔獣たちに 俺は アストルティアの歴史に その名を刻む 恐るべき魔物たちの能力を 与えた」という部分がありま~す。

 ここでいう孵化に竜神の心臓が必要だった「特殊な 魔獣」とは、「生まれたてながら その強さは 上級ヘルゲゴーグを上回る」という設定の原獣プレゴーグでしょうね~。通常のヘルゲゴーグならば、孵化どころかまた卵に戻すことすら、ヨンゲ所長ですら簡単にできる設定でしたし。

 つまりここで話題になっている「4体の魔獣」の一匹であるバイロゴーグは、原獣プレゴーグに有名な魔物の能力を与えて作られたのであって、無限動力炉という魔物ではない存在の能力を与えて作られたのではないということになりま~す。

 そしてネロスゴーグとゾンテドールについては加えられた能力の元の持ち主が判明したものの、ザルボーグとバイロゴーグについては不明なまま終わったということでしょう。

 そういえば「紫獅鬼バイロゼオ」なんてのもいましたが*2、多分別物ですね~。バイロゼオは能力も外見も関連性がなく、名を刻むほどの業績もなく、まめちしきには「常に孤高をつらぬいていた」という設定もあるので「ぶんれつ」とはむしろ逆の雰囲気がありました。

 「その名を刻む」とか言われているのに叡智の冠でも元ネタを思い浮かべられなかったということは、ひょっとしたら第一次ゴフェル計画以前に有名だった魔物たちだったのかもしれませ~ん。

3.では無限動力炉のチカラの用途は?

 では、「4体の魔獣」をすでに計画通り作れていたキュロノスが、さらに無限動力炉のチカラまで欲した理由は何でしょうか?

 これについてもしっかり答えてこそ、ループ派のみなさんも本当の意味で納得していただけるのではないかと思いま~す。

 実はこれについても、パドレの回顧談に事実上の答えがありました。以下の引用は、先程の引用部分の直後の部分で~す。

 「魔獣の能力を成長させ その絶頂期を見計らい 魔獣ごと 終焉の繭に吸収させるのが 時見の箱……キュロノスの 計画だったのだ。 その計画も お前の活躍により 完璧なものにはならなかったが……魔獣の肉体を 吸収し 繭の中の生命体は 着実に 完成しつつある

 元の計画は少し失敗したのに、目指していた結果には近づいているということは、星月夜の「活躍」により失われた部分を別の何かで補ったということになりますね~。

 つまり「成長するはずだった分の能力」が、「当初の計画より足りない部分その1」で~す。

 「当初の計画より足りない部分その2」は、不死の力で~す。

 ネロスゴーグだけは不死の力も完全に破壊したので、繭が吸収できたのはネロドスの他の技だけでした*3

 ネロドスの不死の力が完全に破壊されキュロノスが入手できなかったことの証明としては、「最終決戦直後に時元神キュロノスが再生しようとしていたとき、時渡りの力を破壊するだけで完勝できた。もしもあのときキュロノスに不死の力まであって、それも破壊していたのならば、4.1で明かされた設定により、主人公は発狂していたはずだ」という論理で十分でしょう。

 4thディスクでは勇者姫があまり活躍しなかったと嘆いている人も多いですが、不死の力の破壊は最大級の大手柄で~す。

 この二点を別の形で補うため、未来の動力が作ったエネルギーに手を出したのでしょう。

4.キュロノスの目標において、質と量の互換性があることの証明

 それでも納得がいかないという人は、おそらく「魔獣の能力」という「質」をエネルギーという「量」で補うことに、違和感があるからだと思いま~す。

 でもキュロノスは元来そういうキャラなので~す。

 冒険者でも、「ロストブレイクIIIという技を一つ覚えようが、被ダメージ軽減10というタフさに回そうが、どちらでもいいのでとにかく「ゆうかん」のスキルポイントを180にしたい!」というのを当座の目標にすることがあるでしょう。

 それと同じような感じで、「特技の内容と素のステータスを総合考慮して一定の戦闘力になった時点で目標達成」というキャラなので~す。

 その証拠に、キュロノスの計画修正は実は今回が二度目であり、一度目は今回とは逆に「エネルギーが不足したから魔獣の能力を成長させてそれを補う」というものでした。

 「4.0で歴史の改変をしなければ、4.1で繭がグランゼドーラ上空に現れることもなかった」というのが、キュルルの語る公式設定で~す。

 この原因については、以前の記事でも軽く考察をしましたが、当時は伏線だと思った重力波で王宮の底が割れた件が伏線ではなかったりしたので、もう一度ここで纏めなおしま~す。

 改変後の歴史では、改変前と比べてキュロノスが収集したエネルギーが少なかったで~す。確認できただけでも、ソルパ・イガラ・ディークの三人分のエネルギーの詰まったツノを回収し損ねて「わくわくコレクション」にされていました。おそらくはもっと集め損ねたことでしょう。

 さらに改変後の歴史においてのみ、ドミネウス王が時見の箱のエネルギーを二度も浪費していました*4

 つまり改変前のエネルギーが潤沢な歴史では、キュロノスは自分の体の元となる魔獣に対し、回収不能となる危険を冒してまで修行をさせなかったので~す。

 歴史の改変によりエネルギーが枯渇したので、仕方なく魔獣に危険な修行をさせたのが第二プランであり、これがパドレの回顧録の内容となりま~す。

 そしてこの修行計画も失敗続きであり、目標達成が困難に思えたものの、バイロゴーグを開発したとたんに、そのバイロゴーグの力を最大限に活かした無限動力炉が作られるという未来も構築されたので、今度は第一プランの精神に半ば戻って、特技の成長不足を無限動力炉がもたらすエネルギーで補うことにしたのでしょう。これこそが第三プランで~す。

5.まとめ

 「証明したい内容の証拠の証明」という具合に話がどんどん遡っていったので、少しややこしくなりましたね。そこで以下において、因果関係順に話をまとめ直しま~す。

 キュロノスの目標では、四体の魔獣の修行の量と備蓄エネルギーの総合得点が一定値になればよく、そのために柔軟に計画を変更し続けた。その証拠は、4.0ラストのキュルルの発言や4.4終盤の本人らの発言や物語の内容などであり、4.4時点ですでにほぼ揃っていた。

 よって魔獣四体を作り終えた後に無限動力炉のエネルギーを狙ったのは、自己の元々のプランに半ば立ち戻ったからであり、かつてドミネウスに浪費された備蓄エネルギーを回復するという正当な動機があった。

 さらにトドメの一撃として4.5前期で明かされた設定によれば、四体の魔獣の能力の元ネタは、歴史上の有名な魔物である。

 よってバイロゴーグを元に作られた無限動力炉を元にバイロゴーグが作られたなどという無限ループ説は成り立たない。無限自己増殖の力は「アストルティアの歴史上のある有名な魔物 → バイロゴーグ → 時獄獣キュロノスとパルミオ2世」と承継され、無限動力炉のエネルギーは「無限動力炉 → パドレ → 時獄獣キュロノス」と承継された。

パクレの五つの意味から、時空監察機関の元ネタを推測

 「パクレ警部の事件簿」に登場した時空監察機関は、パクレ警部の夢想だというのが公式で明言された設定でした*1

 元々の設定でも、パクレは警察がまだ存在しない世界で警察機構を夢想する構想力とその構成員に成りきって行動する実行力の持ち主ですから、これを「単なる夢落ち」として批判するのは間違いでしょう。

 一般論として夢落ちが駄落ちだとしても、主役にパクレを選んだ時点で夢落ちの中ではマシな部類であるといえましょう。

 さてこのパクレの自身が所属したい機関についての夢想の能力についてですが、警察に関しては、以前の記事で書いたとおりその原型的存在がアストルティアにも存在していたので、一流の思想家であれば思いつくのは困難ではないでしょう。

 しかしSF小説のようなものも流通していない世界で、時空監察機関などというものを詳細な設定つきで思いつき、現実世界に干渉するほどの強い夢想を抱くというのは、才能がありすぎる気がしますね~。何かこれも原型があるのではないでしょうか?

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 しっかり思い出してみたところ、いましたよ~。自身が時間も空間も超えられて、危険な敵は時空の狭間送りにもできるという、時空監察機関のエージェントじみた英雄が。

 そう、パドレで~す。

 アストルティアでは自分の目標とする存在に似た名前を称する文化があるということは、このブログで何度も指摘してきました*2*3。挙げてきた例の中にはあくまで類推の範囲内のものもありましたが、パクレ警部の宿敵の「ダンダダ団」の名称が「カンダタ」を元ネタにして考案されたことは、クエスト「大盗賊登場」*4のムービー中で語られた完全な公式設定で~す。

 「パクレ」がパドレにあやかった変名である可能性があるのみならず、仮に変名でなかったとしても、カンダタにあやかったダンダダ団と戦い続けているうちに、パドレに深い縁を感じたという可能性もかなりあるといえましょう。

 そしてパクレは「P890」や「パッキュレイ神父」という変名を見るに、自己の「ク」を数字の「9」と強く結びつけているようですね~。

 パドレの「ド」は「10」と結びつけることが可能なので、両者は単なる「一字違い」なんかではなく、「一違い」でもあったことになりま~す。

 こうなると、「パクレ」には「伝説のエージェントのパドレに一歩及ばない」という意味が込められていた可能性が非常に高いといえましょう。福田定一さんが「司馬遷に遼かに及ばない」という意味を込めて「司馬遼太郎」と名乗るようなもので~す。

 さらにはパクレの「クレ」がパッキュレイ神父モードでは「キュレイ」と変化していることに着目するなら、パドレの力の源泉が宗教的権威でもあったキュレクスにあったことも見抜いていた可能性がありま~す。

 パッキュレイが「パラ・キュレクス」の転であった場合、その意味は「準キュレクス」になりま~す。

 以上により星月夜は、「パクレ警部の「時空監察機関」という夢想の元ネタは、パドレである」という仮説を主張しま~す。

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 「続・パクレ警部の総合研究」という記事で、「パクレ」の名には、「メグレ似」・「逮捕しろ」・「真似しろ」の三つの意味があるという説を提唱しましたが、こうして「パドレの後輩」・「準キュレクス」というさらに二つの意味を思いついてしまいました。

 つい数日前に「ラン」さんに四種類の意味があることに驚きましたが*5、もうそれを超えてしまいました。