ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

アスタロト関連の予言を、昔より深く考えました。

1.アスタロト関連の予言とは

 バージョン1.4時代に登場したアスタロトには、「この世の終末に 地の底から アスタロトが大挙して現れ 世界を無に帰すという おそろしい言い伝えがある」という設定でした。

 本稿ではこれについて論じま~す。

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2.過去の説の確認

 3.2時代に書いた過去記事「印欧祖語"*h₂stḗr"から考える、「アストルティア」・「イシュタル島」・「アスタロト」・「エスターク」・「デスタムーア」・「エステラ」の関係」では、「星」を意味する印欧祖語"*h₂stḗr"から派生した単語の多くが『ドラゴンクエスト』シリーズではラスボス級の巨悪として描かれてきたことを指摘し、「「地の底から現れるアスタロト」は、ひょっとしたら「奈落の門の向こう側から現れるエステラ」が誤って伝えられたものかもしれません」という当時としては大胆な予想をしました。

 そして3.5では、3rdディスクのラスボスであるナドラガは神の器としてのエステラを核とする形で復活して、アストルティアを滅ぼしかけました*1

 予測が当たったと喜び誇り*2、その後しばらくはこの予言のことをほぼ忘れていました。

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3.「世界を無に帰す」

 ナドラガは長らく世界の支配を目指していた敵であり、最後に気が変わって滅ぼすことも少し考えたようですが、「世界を無に帰す」ことまでは考えていないように見えました。それが過去記事の問題点の一つでした。

 これについては「予言にありがちな不正確部分」と思っていたのですが、4.1で登場した、長年ナドラガと一体化していた魔瘴魂ナドラグル*3は「創生のチカラにより 創られしものの 一切の消滅」を目指していました。

 ナドラグルの発言によるとナドラガのほうがほぼ一方的にナドラグルの力を利用していたようですが、それでもナドラガの一部が「世界を無に帰す」ことまで目指していたのは事実ということになりま~す。

 アスタロト関連の予言は、ここまで見抜いていた可能性がありま~す。

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4.「地の底から」「大挙して現れ」

 それでも「地の底から」というのは「奈落の門の向こう」の比喩的な表現に過ぎず、「大挙して現れ」は全然再現されませんでした。

 しかし4.4で、ナドラガの創世の力の25%を受け継いだ増殖獣バイロゴーグが登場しました。

 バイロゴーグの本拠地となる終焉の繭は、ネロスゴーグ・ゾンテドール・ザルボーグとともに登場したときには空中に浮いていたというのに、このときだけはプクランド大陸の地の底に鎮座しました。

 そして本来の歴史でのバイロゴーグは分裂を繰り返して大挙して現れることで、アストルティアを滅ぼすことに成功していました。

 これはドラクエシリーズには珍しい世界の滅亡の成功例であり、かつその成功者が個体の優秀性ではなく数の暴力によって勝利したという点では、おそらく唯一の事例かと思いま~す。

 これも広い意味ではナドラガ復活と一連一体の事件だったわけですから、予言はここまで見抜いていた可能性もありま~す。

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5.「異界」「邪神」

 魔瘴魂のことまで予言していたとするなら、その元締めのジャゴヌバのことも考えなければなりませ~ん。

 ジャゴヌバは地の底である滅星の深淵にいて、世界を無に帰そうとしていました*4

 しかも元々は暗鉄神ネクロジームやその加護を受けたアストロンと同じく、生物を鉱物化する力を持っていました。

 かつ「星」という単語と馴染み深い宇宙からやってきました。

 さらに彼は長年封印されていた自分の子である邪神たちを復活させていましたので、「大挙して現れ」ることも決して不可能ではなさそうで~す。

 さらにアスタロトを倒すと称号「異界邪神ハンター」をもらえるので、アスタロトは異界邪神ということになりま~す。「七柱の邪神を産んだ異界滅神」と誤解されても、決しておかしくはないで~す。

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6.竜王城の決戦も予言?

 異界からの侵略によって世界が滅びかけた例としては、他にも3.3から何度も繰り返されているイベント「竜王城の決戦」がありました。

 竜王イシュタル島の地の底に住んでいま~す。

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7.予言の原型の再構成

 以上から、予言の原型を再構成しました。

 「この世の終末の首班は、異界イシュタル島の地の底に住む竜王か、またはエステラという女性を核として復活して「地の底への門」を意味する奈落の門の向こう側からやってくるナドラガである。

 ナドラガ本人にその気が無くとも、その体内に宿っていた魔瘴魂ナドラグルが、世界を無に帰す

 その脅威を回避しても、ナドラガの力を受け継いだバイロゴーグが地底から大挙して現れ、世界を滅ぼす。

 その脅威を回避しても、かつてアストロ界(宇宙)からやってきてその当時はアストロンの力も持っていたとされる異界と、その部下の邪神たちが大挙して現れ、世界を無に帰す」

 こういう複雑な内容の予言が、長年の伝言ゲームの中で徐々に簡略化されたり誤解されたりした結果、異界邪神アスタロトこそが世界滅亡の首班という誤った予言が出来上がったのではないかと考えました。

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8.6.1でもまだ予言は完結していない?

 6thディスクの敵組織は、ジャゴヌバがかつて所持していた鉱物化の能力と深い関係があることが、6.0の内容および6.1で解放されたユーライザの部屋の本棚で示唆されました*5

 鉱石化の力、すなわちアストロンの力には、まだ世界を滅亡させる機会が残っているようで~す。よってアスタロトの予言は、まだ完結していないのかもしれませ~ん。

 「その異界滅神と部下の邪神の脅威を回避しても、かつて異界滅神から失われたアストロンの力が、この世界を滅ぼすであろう」

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(10月26日追記)

 6.3でも世界の終末の危機に大量のアスタロトが出現しました。

(2023年6月23日追記)

 6.3で大量のアスタロトに見えた連中は、ジア化したセルゲイナスでした。

 ただし、星月夜が見間違えたように予言者もまた見間違えたという可能性がありま~す。

「第11回 アストルティア・クイーン総選挙 大予選会」の人選の感想

 今回も大予選会の出場者48名の人選について感想を述べま~す。

1.前回の本選出場者枠 5名

 この人たちが予選に出場すべきなのは当然で~す。不満なし。

2.初登場枠 10名

2-1.前回以降の新登場者 7名

 前回の大予選会*1以降に新登場した7名について不満がないのは当然で~す。

2-2.前回以降の活躍者 2名

 ジルドラーナとリズティは、前回の大予選会以降にサブストーリーで活躍がありました*2*3。不満なし。

2-3.形式上の初登場者 1名

 残り1名は前回24位になった怪盗ポイックリンの正体で~す。

 24位というのは、後述するように31位以上という理由により、不満はありませ~ん。

 しかも6.1メインストーリーではチリとしての立場で活躍していました*4。よって「前回以降の活躍者」としても不満がありませ~ん。

3.復活枠 2名

 キャスランと女王ディオーレは、二人とも最近またメインストーリーで出番が多かった人たちで~す*5。不満なし。

4.前回予選出場者枠 31名

4-0.総論

 前回予選出場者枠は、原則として前回の成績に従うのが望ましいで~す。

 前回の1位と2位は本選のシードに行き、24位は初出場者枠にいったので、具体的には24位を除く3位~34位の31人を登場させるのが望ましいで~す。

 しかし35位以下でもこの1年間に目立った活躍があったなら、事実上の復活枠として受け入れたいで~す。

4-1.事実上の復活枠 3名

 前回35位以下だったのに出場したのは、37位の賢者ルシェンダ・39位リリオル・40位シャーリーの3人で~す。

 この一年間を見ると、リリオルはリオーネという形ですがメインストーリーで活躍し*6、シャーリーは登場イベントの再演がありました*7。なので不満なしで~す。

 しかし賢者ルシェンダはここ一年間ほぼ活躍していませ~ん。それどころか「後方支援が得意な長命の女賢者」という立場を賢者マリーンに譲ってしまい、存在感が弱まっていたところでした*8。「ミナデイン」には協力したかもしれませんが、これは他のモブだって参加したのですから、独自の業績とはみなせませ~ん。これだけは不満がありました。

4-2.残りの28名

 本来34位まで出場できるところを「事実上の復活者枠」で3名減らされたのなら、犠牲者は32~34位から出るべきということになりま~す。

 そして実際に残り28名は、全員31位以上でした。不満なし。

5.結論

 今回の人選にはほぼ不満がなく、37位の賢者ルシェンダがなぜか復活して32位のルビーが消されたことだけが問題だと感じました。

おきがえリポちゃん ~ 飛行士のシャツセット ~

 25日12時~26日12時にインできる可能性が低く、「今月はリポちゃんに会えないかな?」と思っていたのですが、ありがたいことに17時20分ごろ、数分だけインできました。

 今月は「飛行士のシャツセット」で~す。

 「そろそろ「空」関連が売れる」と想定しているんでしょうね~。

 そして決して忘れてはならないのが、この人で~す。

ロシアによるウクライナ侵攻を運営は予言していた。「ルクスガルン大空洞」の第二の語源と「自由地区」。

1.「ルクスガルン大空洞」の第一の語源の復習

 「ルクスガルン大空洞」の語源については、ツイートで語った内容過去記事で紹介しました。

 一応ここでも復習しておくと"lux"はラテン語由来でヨーロッパに広く流通している「光」の意味、”garn”は北欧諸国における「糸」。だから「光の糸」の意味で~す。

 デンマークにはそのまま"luxgarn"という編み物関連の商売をしている企業があり*1、そこでは日本の近畿編針株式会社*2のブランドの竹編針"Seeknit"*3も扱われているので、日本とも縁が深いといえま~す。

 星月夜はこの第一の意味を発見して安心し、そのまま放置していました。

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2.最近発見した第二の語源

 最近になって、半ば強制的に第二の語原かもしれないものを発見することになりました。

 それは最近のロシア対ウクライナの軍事衝突で急に知名度が向上した"Луганская"(ルガンスク)で~す。「ルハンスク」のロシア語読みの日本語表記である「ルガンスク」は、「ル」を二度使って並びかえると「ルクスガルン」になりま~す。

 しかも物語としても似ていま~す。

 「魔界は過去にアストルティアから切り離された世界であり、魔界の住民たちはアストルティアに無意識の郷愁を抱きつつ、かつて戦禍の邪神が開通したルクスガルン大空洞を通過して攻め込んでくる」という設定でした。

 同じくロシア人は現在でこそウクライナとは別の国の住民ですが、かつての都のキーウ(キエフ)に郷愁を抱きつつ、ルハンスク州(ルガンスク人民共和国)などを経由して攻め込みました。

 「ルクスガルン大門」の名前が登場したバージョン5.3は2020年9月16日に配信が始まったものなので、当時はまだ2022年2月24日にロシアがウクライナに攻め込むことは完全には予測できなかったことになりま~す。

 しかし2014年のクリミア占領の時点で、「ロシアは数年以内にウクライナに対してもう一度似たようなことをするだろう。次に狙われるのはクリミアと同じくロシア系住民が多いルハンスク州の可能性が高い。そしてルハンスクはロシア語ではルガンスクと発音される」ぐらいまで考えることは、世界情勢に通じていれば不可能ではなかったと思いま~す。

 以上により「ルクスガルン」と「ルガンスク」が似ているのは、偶然でなく運営の意図的な語源選択であった可能性が高いと考えました。

雨月「やるのう、運営。でも「近未来にウクライナが東西に分断されて戦場になる」という予言のゲームなら、2019年2月28日発売フロントミッションシリーズ『LEFT ALIVE』のほうが、2020年9月16日配信のバージョン5.3よりさらに先やで~」

星月夜「ところが運営はもっと昔から予言していた可能性が高いんだな~。次章を読むがよい」

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3.「エテーネ王国 VS 自由人の集落」もその証拠

 運営が「ロシア VS ウクライナ」の構図に昔から注目していたということのもう一つの証拠が、2017年11月16日配信のバージョン4.0で~す。

 まず4.0メインストーリーの「エテーネ王国 VS 自由人の集落」の構図が「ソビエト連邦 VS ウクライナの自由地区」を模していました。これは過去記事「「無政府主義対マルクス主義」を表現した、「自由人の集落対エテーネ王国」という構図」で書いたとおりで~す。

 さらにサブストーリーの「エテーネ王国軍人たるもの」*4では、そのエテーネ王国のイデオロギーをベルマ以上に教条的に信じている過激派として「ルクス」という兵士が登場していました。

 よって運営は5.0どころか4.0の時点で「ロシアのウクライナ侵攻は2014年のクリミア併合にとどまらず、ルガンスクを鉄砲玉とする形でもう一度行われるだろう」と予測し、時事ネタを盛り込んでいたのだと思いました。

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4.過去の類例も根拠

 こうしたロシア対ウクライナという構図が物語中に表現されていることが、単なる偶然ではなく運営の意図的なふるまいであるということの根拠が、「運営は過去にも複数回近未来の歴史的事件を時見して物語に盛り込んだことがある」で~す。

 過去記事「3.3メインストーリー その9 キリスト教的原罪論が漂う冥闇の塔を攻略し、メシアとなりました」では、「2016年5月27日のオバマ大統領の広島訪問にちなんだ可能性の高い物語を、同年同月25日に3.3メインストーリーとして配信した」という前例を紹介しました。

 また過去記事「すぎやんたちのゲーム音楽が使用されたオリンピック開会式は、承安四年九月の今様合の現代版。そして新生ライトニング・デスの地球版」では、「2021年7月23日の東京オリンピックの開会式にちなんだ可能性の高い物語を、同年同月8日にサブストーリーとして配信した」という前例を紹介しました。

注.なお本稿はウクライナとロシアのどちらか一方に味方する記事ではありませ~ん。

「ファラリスの雄牛」がファラリスブルに与えた諸影響の考察

0.ファラリスの雄牛

 「ファラリスの雄牛」という処刑道具がかつて存在しました。

 現在はイタリア領であるシチリア島は、紀元前六世紀ごろはギリシア人が住んでいてシケリアと呼ばれていました。"Φάλαρις"ファラリス)とはそのシケリア島の"Ἀκράγας"(アクラガス)の支配者であり、雄牛の形をした処刑道具を作らせました。中に死刑囚を入れて外から火で炙ると、焼け死んでいく死刑囚から雄牛のような大声が発せられたそうで~す。

 星月夜はこの「ファラリスの雄牛」がファラリスブルの元ネタだと考えていま~す。以下、諸影響を挙げていきま~す。

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1.名称への影響

 「ファラリスの雄牛」を英語に訳すと"bull of Phalaris"(ブル・オブ・ファラリス)で~す。

 「ファラリスブル」と、相当似ていますね。

2.初登場時の立場への影響

 ファラリスブルは3.5前期の新作モンスターであり、翠嵐の聖塔の最初の試練の内容としてデビューしました*1

 翠嵐の聖塔のラスボスは本来は嵐魔ウェンリルですが、主人公が体験する物語では黒蛇鬼アクラガレナももう一体のラスボスとして参戦しま~す。

 すなわちアクラガスで作られたファラリスの雄牛を元ネタとするモンスターが、アクラガレナの前座という立場で登場したということになりま~す。

 影響関係は明らかで~す。

3.仕事への影響

 ファラリスブルは「荒野の死刑執行人として 恐れられる獣人」で~す。

 「シケリアの死刑執行用品として 恐れられる獣型器具」であるファラリスの雄牛と、何と似ていることでしょうか?

4.「獣」設定への影響

 前章で引用した文にあったとおり、ファラリスブルはまめちしきによると「人」で~す。

 そしてファラリスの雄牛は型器具で~す。

 ファラリスブルは獣系ではなく怪人系であり、外見も獣の印象が弱いで~す。そして色違いのネクロバルサも魔創兵ゲゾラも武闘魔ガウラドもバリクナジャもバリクナジャ強も凶将バリクナジャもファラオ・ナジャもみんなまめちしきには「獣」の字がないで~す。それなのにファラリスブルが「人」とされたのは、やはりファラリスの雄牛からの強い影響があったからだと考えるのが自然で~す。

5.特技への影響

 ファラリスブルは「おたけび」を使ってきま~す。

 ファラリスの雄牛も、雄牛のような大声を発しま~す。

6.呪文への影響

 ファラリスブルはジゴデインを使ってきま~す。

 対してファラリスの雄牛による死刑囚への攻撃は火属性で~す。

 ゆえに一見すると呪文は元ネタと違っているかのようにも見えま~す。

 しかしファラリスブルの色違いのネクロバルサは、「かつて 禁断の呪文 ジゴデインを 神から盗みだした」せいで「神の怒りを買い怪物にされた 哀れな英雄」で~す。この元ネタはギリシア神話神から火を盗んで半永久的な責め苦を与えられた"Προμηθεύς"(プロメーテウス)であると考えられま~す。

 よって「このゲームにおけるネクロバルサ型モンスターのジゴデインは、古代ギリシアにおける火だ」というメッセージは、1.0の時点で運営から与えられていたというわけで~す。

 それを勘案すれば「ファラリスブルは古代ギリシアにおける火に相当するジゴデインで攻撃をしてくる。ファラリスの雄牛は古代ギリシアにおいて火で攻撃をしていた」ということになり、やはり影響関係はほぼ確実といえましょう。

(翌日追記)

 旧第3章を、新3章と新4章に分割し、大幅に加筆しました。

ゼルメライト考(ネクロジームの話題もあるよ)

.「ゼルメライト」とは何か?

 『ドラゴンクエストIX』から登場したスライムマデュラは、「マデュライトビーム」を使用してきま~す。シリーズにおけるデザインの担当者の経歴やマデュライトの設定を総合的に勘案するに、『ドラゴンボール』の「アクマイト光線」のセルフオマージュであると星月夜は考えておりま~す。

 そして本作では、スライムマデュラの色違いの海溝の煌玉がマデュライトビームそっくりの「ゼルメライトビーム」を発射してきま~す。

 この「ゼルメライト」とは何なのかですが、最初のヒントは「マデュライトに似た何か」ということになりま~す。

 そして地球で鉱物を命名する際に、由来となる語源に古典ギリシア語で石を意味する"λίθος"(リトス)に由来する"-ite"(アイト)"-lite"(ライト)をつけるというのは非常に一般的な手法でして、アストルティアにもその傾向が見られま~す。前述のマデュライトだけでなく、「メダライト」・「ナドラダイト鉱石」・「アストライト鉱石」・「ゲフェンダイト」・「暗鉄鉱ネクロダイト」は確実にこの命名法則が適用されていま~す。鉱物かどうか不明ですが「ゼレスタイト」「レグナライト」もその一つかもしれませ~ん。

 以上により、ゼルメライトもほぼ確実に「ゼルメアに因んだ鉱物」なのでしょうね~。

 以下、それを前提に記述をしま~す。

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2.接尾辞問題

2-1.問題の所在

 ゼルメライトのように日本語表記で「ライト」で終わる鉱物の名前は、"l"または"r"で終わる語源に"-ite"をつけたものである場合と、語源に"-lite"をつけただけの場合とがありま~す。

 たとえば「アレキサンドライト」は「アレキサンドル」に"-ite"をつけたものである一方、「スギライト」は「杉」に"-lite"をつけたもので~す。

 ここでゼルメライトの接尾辞が"-ite"なのか"-lite"なのかが問題となりま~す。

2-2."-lite"説の根拠

 「ゼルメア」の発音や綴りが日本語の表記どおり"zerumea"だった場合は、"-ite"を付しても語尾は「ライト」にはなりませ~ん。この場合は正解は"-lite"説で決まりで~す。

2-3."-ite"説の根拠

 『ドラゴンクエストX』の架空のカタカナ語は、地球のアルファベットに対応した種族文字で綴るとき、単純な日本語のローマ字表記とは異なる場合も多いで~す。例えば「グレン」は"Guren"でなく"Glen"で~す。

 さらに『ドラゴンクエストX』では、架空のアルファベット語の架空の関連語を作る際に、日本語表記における行をずらした例もありま~す。四文字目がザ行の「ネクロジーム」の関連語は、四文字目がダ行の「ネクロディア」や「ネクロダイト」であり、日本語表記だと四文字目の行がすれていま~す。よってこの単語は、地球の"radium"(ラジウム)などと同じく、"necrodium"とでも綴るのでしょう。

 そして英語の"ɪər"音で終わる単語が日本語で「eア」と表記されるのはよくあることで~す。たとえば「テロメ」は日本語表記では後半に"l"音も"r"音も存在しないかに見えますが英語では"telomere"と表記されま~す。そしてそれを語源とする酵素"telomerase"は、日本語でも"r"音が復活して四文字目がア行ではなくラ行になり「テロメーゼ」と表記・発音されま~す。

 だからもし例えば「ゼルメア」の表記が"zelumere"で発音が「ゼルmɪər」とかならば、この場合は正解は"-ite"説で決まりで~す。

3.接尾辞問題に対する星月夜の立場

 この接尾辞問題については、現状では星月夜はほぼ五分五分の立場で~す。強いていえば51%ぐらいで"-ite"説で~す。

 「ゼルメライトと共通点の多い鉱物である「マデュライト」の接尾辞は、「スライムマデュラ」が一つの意味である以上、ほぼ確実に"-ite"である」という事実は、"-ite"説に若干有利といえましょう。

 しかしこれは、「ゼルメア」の正しい綴りが配信されたら一瞬で消し飛ぶ程度の優位性でしかありませ~ん。

余談

暁月夜「そもそも運営はそこまで考えてないと思うぞ。「ナドラガ」を語源として鉱石の名前を作るなら「ナドラガイト」になるはずなのに、「ナドラダイト」と命名してるんだから」

星月夜「あの鉱石の名前は、「ナドラガ」の名前すら忘れられたのちのアストルティアの方言だと考えれば、しっくりくるんじゃない?」

暁月夜「そこまで運営を信じていいのか? 『コードギアス』に出てきた、「桜」を語源とするのにどこからともなく"d"が加わって名前が「サクライト」になったあの鉱物と、同じ匂いがするな~」