ほしづくよのドラゴンクエストX日記

画像は原則として株式会社スクウェア・エニックスさんにも著作権があるので転載しないで下さ~い。 初めてのかたには「傑作選」(https://hoshizukuyo.hatenablog.com/archive/category/傑作選)がオススメで~す。 コメントの掲載には時間がかかることも多いで~す。 無記名コメントは内容が優れていても不掲載としま~す。

冥獣王ネルゲルの異常な宣言「すべてを死に帰せし者ぉぉ」の問題点について

0.はじめに

 昨日の記事で「無視すべき」という評価を与えた冥獣王ネルゲルの「すべてを死に帰せし者ぉぉ」宣言について、問題点を解説しま~す。

f:id:hoshizukuyo:20170610113634j:plain

1.文法問題

 まず現代口語の文法では「帰せし」という表現は説明ができませ~ん。そこで古典文法で解釈することになりま~す。

 サ行変格活用動詞「きす」の未然形「きせ」に、助動詞「き」の連体形「し」を接続させれば、「帰せし」という表現自体はありえま~す。助動詞「き」は原則として連用形に接続しますが、サ行変格活用動詞の未然形には連体形か已然形で接続することができま~す。

 でもサ行変格活用動詞「きす」は自動詞なので、使役の表現に頼らずに主語のネルゲルではない何かを死の状態に戻すことはできませ~ん。

 では「帰せし」を「かへせし」と読んだならばどうでしょうか?

 サ行四段活用動詞「かへす」ならばたしかに他動詞で~す。

 でもサ行四段活用動詞に対しては助動詞「き」は原則どおり連用形に対してのみ接続するので、この場合は「かへしし」としなければなりませ~ん。

2.時系列の問題

 前章の接続や使役の問題を「ちょっとした言い間違い」としてスルーしたとしても、まだ問題が残りま~す。

 「帰せし者」の「し」は助動詞「き」の連体形「し」であり、これは過去を意味しま~す。

 だからこの宣言は、「私は遠からず、世界中の全生物を殺します」という予告の意味ではなく、「私はかつて、世界中の全生物を殺したことがあるんですよ」という自慢気な脅しの意味だったことになってしまいま~す。

 有史以前から存在し活躍していたモンスターであればそういう業績を持っている可能性もありますが、若輩者のネルゲルにそんな業績があろうはずがありませ~ん。

 しかもこの宣言は「我は冥王ネルゲル!!」に続くものなので、なおのことおかしいで~す。冥王ネルゲルとしてならば全生物とまではいかなくともエテーネの村人を数多く殺した業績がありましたが、冥獣王の立場ではまだ一人も殺せていなかったはずで~す。

3.間違いの原因と真意を推察する

 前述のとおり、「帰せし」という表現自体は正しい文法の中にも存在していま~す。

 おそらくこの宣言を執筆したスタッフは、大昔にどこかで正しい用法の「帰せし」を見かけて、それを間違った形で流用してしまったのでしょう。

 なぜ間違えたかですが、前述の使役表現の欠如の問題と併せて考えるに、おそらく発音の似ている「せしむ」からの連想でしょうね~。

 「せしむ」はサ行変格活用動詞「す」の未然形に使役の助動詞「しむ」の終止形を接続させたものであり、「させる」の意味になりま~す。

 つまり「せしむ」の「しむ」の部分にこそ使役の意味があるのですが、そういったことを考えずに「「せしむ」は「させる」だ」ということだけ覚えて生きてきた人ならば、「せし」の部分に使役の意味があると誤解してもおかしくはありませ~ん。

 だから「きせし」を本来の意味である「帰った」ではなく「帰させる」と誤解してしまったのでしょう。

 ならばスタッフがここで本当に言わせたかった内容は、おそらく「すべてを死にきせしむる者ぉぉ」ですね。「きせしむる」は、「きす」の未然形に「しむ」の連体形を接続させて作りました。

 なおサ行四段活用動詞「かへす」のほうにこだわる場合は、単に連体形にして助動詞を削除して「すべてを死にかへす者ぉぉ」となりま~す。ただしこちらを採用すると、なぜスタッフが間違えて過去を意味する「し」なんてものを書きこんでしまったのかの説明が困難になるので、「すべてを死にきせしむる者ぉぉ」のほうが真意である確率が高いでしょう。

4.第二宣言との整合性は?

 前章では徹底的に好意的に「すべてを死に帰せし者ぉぉ」について「本当に言わせたかった内容」を考えてきましたが、仮に当該部分を「すべてを死にきせしむる者ぉぉ」と修正したところで、第二宣言が「我の前に 立つ者すべてにぃぃ 等しく 死を与えん!!」と第一宣言より後退している件の説明はなお困難で~す。

 主人公に光の足場が与えられたことにおそれおのののき、パクレ警部の「……と思ったが、今日は 機嫌がいいので 特別に 見逃してやるのである!!」*1とほぼ同じ意味を遠回しに語ったのだとすれば、ギリギリ整合性があることになりますが、それはかなり強引ですよね。

5.普段は文法に関してあまり騒ぎませ~ん

 文法の問題を告発すると、「通じればいいんだよ。大半の言語学者も「間違った日本語」なんて存在しないという立場だ。それにただの書き間違いかもしれない。だからあまり小うるさいこというな」などの反論が寄せられやすいので~す。そして実は原則として星月夜自身もそういう立場で~す。

 過去の助動詞「き」がカ行変格活用動詞とサ行変格活用動詞以外の動詞に対しては連用形に接続しなければならないという問題は、擬古文で間違いを見つけるたびに一々告発していたのではキリがありませ~ん。

 たとえば同じムービーの中にすら、他にも光輪の創り手からのメッセージに「私の創りだせし 光輪の上を」という部分がありました。

 まず「つくり」はラ行四段活用の他動詞「つくる」の連用形で~す。

 つぎに「だ」ですが、文脈上現代語の「出す」の意味を込めたかったのはわかるのですが、これは古語では「いだす」と発音するのが原則で~す。

 「いだす」は前述の「かへす」と同じくサ行四段活用なので、過去の助動詞「き」を接続したいのであれば、「いだし」と連用形にしなければなりませ~ん。

 よって「創り出した」を本当に古語調で表現したかったのなら「私の創りし 光輪の上を」というべきだったということになりま~す。

 でもこの程度なら実際に伝えたかった意味を瞬時に把握できるので、告発する必要性はほとんどないと思っていま~す。

 文法のミスに甘い星月夜が重い腰を上げて例外的にネルゲルのいかれた宣言を批判したのは、接続の問題のみならず、「過去なのか」や「使役なのか」や「直後の第二宣言との整合性はあるのか」といった問題が複雑怪奇に絡み合い、とことん意味が不明になっていたからなので~す。

6.結論

 つまり冥獣王ネルゲルの意味不明な第一宣言なんかよりも、ウバダバの発言のほうがずっとまともだというわけで~す*2

 可能なら今すぐ修正してほしいで~す。

 どうしても修正したくないなら、せめて未来永劫、声優さんにこんなふざけた文章を読ませるという暴挙だけは避けてほしいもので~す。

f:id:hoshizukuyo:20200619132902j:plain

(2022年9月24日追記)

 クラウスさんからの情報で~す。

 オフライン版ではこのネルゲルの異常なセリフが修正されないまま、ボイスまでついてしまったようで~す*3

 ついに怖れていた事態に突入してしまいました。

実はラスボス級の大きな期待を寄せられていた魔鳥の頭目。再登場を希望! & 有力ボスたちの目標の危険性の比較

f:id:hoshizukuyo:20200704143759j:plain

0.魔鳥の頭目の再登場を希望!

 星月夜はクエスト「終わりを告げる者」のボス「魔鳥の頭目」の再登場を希望しま~す!

 これは、星月夜が個人的に彼の先祖を尊敬していること*1*2*3*4とは、まったく無関係で~す。純粋に以下の三つの理由からの待望で~す。

1.第一の理由「ボス再登場の機運」

 天魔クァバルナが強ボスとは別の形で復活してきたり、怪獣プスゴンが強ボスの「覚醒プスゴン」とは別に「怒りのプスゴン」としてリベンジしてきたりといった例が、1stディスク時代にはありましたが、この種の再登場はしばらく自重の時代が続きました。

 でもここ最近また、強ボスシステムとは別の形で再登場するボスが増えてきたように感じま~す。

 スパーキー*5本人がキングスパーキー*6としてリベンジしてきたり、バルザック本人がバルザックゾンビ*7としてリベンジしてきたり、大地の竜バウギア*8本人が大地の怒竜バウギア*9としてリベンジしてきたりしていま~す。

 ならばこの流れで魔鳥の頭目が再登場しても不思議ではありませ~ん

2.第二の理由「本人の宣言」

 これは単純明快で~す。

 敗北後の本人が「もっと チカラをつけて この地に 舞い戻ってやろうぜええ!!」と宣言していたのですから、続きが気になるわけで~す。

3.第三の理由「伸びしろはラスボス級」

 こちらは少し話が長くなりま~す。

 魔鳥の頭目こそ、物語中でラスボス級の期待を寄せられて登場したモンスターであり、期待通りにしっかり成長した場合には世界の脅威として再登場しても不自然ではない好敵手だったので~す。

 魔鳥たちは「この世のすべてを 終わらせる…… あの お方」を召喚する儀式をし、それが成功したために魔鳥の頭目が出現していました。

 ただし、召喚された魔鳥の頭目の当座の目標はドワチャッカ大陸を 恐怖のドン底に 突き落と」すという、いささか地味なものでした。そして戦闘能力も地味でした。

 この二点の「地味さ」は、「魔鳥の頭目は重要な敵」という星月夜の説の弱点であるかのようにも見えま~す。

 しかしこの召喚の儀式を主導していたみずたまドラゴンは、儀式を邪魔された直後の場面で、頭目の飛来の時期をほぼ正確に言い当てていました。さらには戦いの敗北者という立場になりながらも、勝者側のビャン・ダオを理屈で鎮静化させていました。そういう切れ者の彼が、大物を召喚しようとして小物を召喚してしまったマヌケな失敗者であるという可能性はかなり低いで~す。

 世界規模の影響力のあったレイダメテスの儀式から生まれたあのネルゲルとて、活動開始直後はかなり弱く、レンダーシア大陸を恐怖のドン底に突き落とす程度のことしかできていませんでした。また田舎の村一つを滅ぼすのにも大魔王から戦力を借りなければならない弱弱しい存在であったことも、偽の魔幻宮殿で判明しました。

 でも設定上は死者の魂を食らって徐々に強くなっていく存在であったことは、ホーローが語ってくれました。

 そういう類例もあるのですから、1.0時点での実力だけを見て魔鳥の頭目の真のスペックを軽視すべきではないと思いま~す。

 よって、出現したばかりの時期の魔鳥の頭目がせいぜい一大陸を恐怖させる程度の力量であったとしても、しっかり「チカラをつけ」れば予定通り「この世のすべてを 終わらせる」能力まで手にする可能性が高いと考えるべきで~す。

 そこまで成長した姿ならば、能力といい話のスケールといい、5.3以降で再登場させても同時代の他の有力なボスたちにひけをとらないで~す。

4.カルサドラ発のこの脅威と他の脅威の比較

 本章は前章の補足のようなもので~す。

 ここでアストルティア全体の脅威となった有力ボスたちの目標の危険度と、魔鳥軍団の目標の危険度とを、比較してみま~す。

 なおあくまで目標の比較なので、その目標を達成できる確率などは考慮していませ~ん。

 「独断と偏見」が多いのはご容赦くださ~い。

※危険度1 大魔王マデサゴーラ

 世界全体を偽の世界で塗りつぶそうとしました。

 ただしその偽の世界は原作をかなり尊重したものでした。

 また塗りつぶされた側の世界の住民が絶滅する可能性は低そうで~す。「ねじれたる異形の大地」に塗りつぶされたソーラリア峡谷は、偽の世界で生息モンスターから宝箱までそっくりそのまま存続できていました。

※危険度2 冥(獣)王ネルゲル

 冥王いわく「全世界を闇の封印に落とすという 大望がある」そうで~す。

 「闇の封印に落とす」というのは話が抽象的でわかりにくいですが、「滅ぼす」とか「消し尽くす」とかよりかは穏健そうな雰囲気が伝わってきますね。

 とりあえず字面と業績から考えて一番近そうなのは、レンダーシアを覆わせた迷いの霧と同じものを他の五大陸にも散布する」ぐらいでしょうね。

 中の住民は大陸間移動には難儀する設定ですが、一応は生存できそうで~す。

 さらに、この大望を実行するための手段として冥獣王に変身したあとの発言も聞いてみました。

 冥獣王になると「すべてを死に帰せし者ぉぉ」と宣言しま~す。ここでキュロノスに似た願望の持ち主と思ってしまったかたも多いかと思いま~す。

 しかし文法的にも文脈的にもこの宣言はおかしいので~す。文法の問題の解説を始めると長くなりすぎるので別稿に譲りま~す。とりあえずここでは、「冥獣王の第一宣言は単なる言い間違いとして無視すべきものだ」とだけ書いておきま~す。

 この無視すべき無意味な第一の宣言の直後に、ありがたいことに意味のある宣言もしれくれるので、本稿ではこの第二の宣言のほうを最大限重視して話を進めま~す。

 その第二の宣言とは、「我の前に 立つ者すべてにぃぃ 等しく 死を与えん!!」で~す。殺害の対象を限定しているので、ネルゲルは前に立たなければ自然死まで待ってくれたり殺害を後回しにしてくれたりする可能性が非常に高いので~す。

 以上、「抵抗しなかったものはほとんど殺されない。世界ごと封印されるが、住民たちはその内側でなんとかやっていける。少なくとも先に封印されたナドラガンドのようなことにはならない」という点では前項のマデサゴーラの危険性に酷似していま~す。

 でもマデサゴーラによって偽の世界に封印されたアストルティアは、その後は誰からの標的にもなりませ~ん。

 対してネルゲルに迷いの霧で封印されたアストルティアは、その後も魔界からの侵略に苦しみ続けま~す。

 なので危険度を1段階上げてみました。

※危険度3 ナドラガ神(死の寸前以外)

 再生時の本人いわく「呪わしきアストルティアを 破壊しつくし 竜の世界に 創りかえる神なるぞ」とのことで~す。また虚空の神ナドラガは「地上の民 すべてをほろぼす瘴気……解き放つ」といっていました。

 この計画が実行された場合、アストルティアの生物の大半は殺されそうですが、長時間の飛行で瘴気を避け切ったドラゴン系モンスターなどは生存を許される可能性が高そうですね~。ましてそれが竜化した竜族の里の住民だった場合は、確実に保護されることでしょう。

※危険度4 時限神キュロノス

 彼は例外なくしっかり全生物を滅ぼし尽くしました。

 ただし「終末の風景」では原型を保った建物の残骸が残っていたので、生物以外にはあまり興味がないようで~す。

 だから月などで生き延びていた者が何らかの手段でリベンジに成功した場合、復興に利用できる技術や施設が世界中にある程度残っている可能性が高いので~す。

※危険度5 災厄の王

 本能のまま何でも破壊し続けるので、地面や建物なども標的でしょうね。

 一応五大陸にも大陸それ自体や「ふたりめの王者」の石碑*10など残ったものもありますが、やはり目標自体は一切の破壊といえましょう。

 ただし物理的に破壊できるものは所詮は一定以上の大きさの固体ばかりであるので、本能的な破壊という目標を完全に達成したあとも、海などは残るでしょう。また建物だったものも粉塵という形で世界内に存続できるでしょう。

 ゴフェル計画などで一時的に逃げた者たちには、荒廃しきっているとはいえ帰還の可能性のある星が残されていま~す。

※危険度6 魔鳥軍団

 「この世のすべてを 終わらせる」という目標で~す。

 「終わらせる」は「壊す」よりも徹底している雰囲気があるので、災厄の王の目標よりも危険としました。とはいえ、かなり近いところに位置しました。

 災厄の王軍に魔鳥の頭目の先祖のジャミラスが参加しているのも、一族の目標が災厄の王の目標とほぼ一致しているからなのかもしれませ~ん。

※危険度7 狂乱の破壊神

 本人いわく「こんな世界! ぜんぶ消えて なくなってしまえば いいんだよッ!」で~す。

 この宣言は「この世のすべてを 終わらせる」と似ていますが、語調から考えると世界そのものを終わらせるつもりだった可能性は、狂乱の破壊神のほうが強そうで~す。

 魔鳥軍団が本気で世界そのものを終わらせたかったなら「この世を 終わらせる」といえばすむわけで~す。そこに「のすべて」を入れたのには、この世という枠組み自体は維持するという限定の雰囲気がありま~す。

 一方狂乱の破壊神の場合、「世界」の直後で一度感嘆符がついているので、世界そのものこそが標的であり、「ぜんぶ」とは「その内側の全部だけで勘弁しておく」という限定的意味よりは、無限定であることの強調として解釈するほうが自然で~す。

 ただし太陽や月やナドラガンドや魔界は、消去の対象外であった可能性が高いで~す。

※危険度8 死の寸前のナドラガ

 気が変わったらしく、アストルティアも ナドラガンドも 滅ぼしてやろうぞォォオォッ!!」と宣言しま~す。

 単にアストルティアを「滅ぼす」だけなら危険度は4前後ですが、世界を二つ滅ぼすというスケールは大きいで~す。

 もう片方の世界に亡命して生き延びるという手段が使えないので、危険性は単純な二倍ではすみませ~ん。

※危険度9 魔瘴魂ナドラグル

 本人いわく「創生のチカラにより 創られしものの 一切の消滅」なので、アストルティアのみならずルティアナ製の太陽や月やナドラガンドや魔界も、最終的には消し去る予定だったようで~す。

 太陽と月もルティアナ製であることは『アストルティア創世記』の20ページ典拠があり、ナドラガンドと魔界がアストルティアの一部であったことはメインストーリー中に典拠がありま~す。

 なお魔瘴魂の本体である異界滅神ジャゴヌバの目標も、魔瘴魂と同じである可能性が高いで~す。

※危険度10 ダークドレアム

 あまたのパラレルワールドを滅ぼしてきた最強の破壊神で~す。

 2017年の第5回アストルティア・ナイト総選挙の予選で、カンダタにはロトゼタシアなどのパラレルワールドに行く能力があるというのが公式設定になりましたが、そういう体質の持ち主たちにとってすら、一回逃げ切ればそれで安心というわけにはいかない相手で~す。

f:id:hoshizukuyo:20200704144619j:plain

※2024年3月1日追記

 この記事の価値自体は失われていないという立場ですが、念のため「魔鳥の頭目へのこの高すぎる期待は、そもそも魔鳥軍団の誤解であった場合」についても考えました。

 詳細は本日の記事にて。

ドラゴンクエストX アストルティア創世記 (SE-MOOK)

ドラゴンクエストX アストルティア創世記 (SE-MOOK)

  • 発売日: 2016/01/30
  • メディア: 大型本
 

武闘魔ガウラドの記憶力の不自然な低さこそ、5.2で魔仙卿が明かした魔界の設定の予告だったのかもしれませ~ん。

0.はじめに

 武闘家の職業クエストで登場した武闘魔ガウラドは、魔界からの使者であったため、魔界には彼の前日譚に関する情報が存在するのではないかという期待がもたれていました。

 しかし後発のどうぐ使いの職業クエストで登場したデルクロア関連の情報は5.0の時点で早々と入手できたのに対し、ガウラド関連の情報は5.2になっても入ってきませ~ん。

 そこでそろそろ既存の情報を元にガウラドについて考えてみることにしました。

1.不自然に低い記憶力の問題

 武闘魔ガウラドを倒すと、「貴様には わかるまい……。 魔界に生きる者に 課せられた使命の重さを。 だが……。だが なぜ私は その使命を果たさねば ならなかったのか……。 今となっては もう覚えておらぬ……。 いつからか 私は 理由もなく ただ 与えられた使命を果たすためだけに 生きてきたように思える……」と語りま~す。

 これは発表当時の常識では、ツッコミ所だらけの発言に思えたことでしょう。

 ガウラドは自己の大切な使命の理由を、長めに見積もってもせいぜい数十年で忘れてしまい、それなのにその使命をアイデンティティにまでしてしまっていたのですから。

 しかも同じ魔界の出身者のザイガスが1.0時点で十五年間を「ほんの ひと眠り」とみなしていたのですから。

 しかし後述するように、5.2の終盤で魔仙卿が明かした魔界の設定を知ってからガウラドの末期の発言を読みなおすと、まことに味わい深い伏線だったという気がしてくるので~す。

2.魔仙卿の明かした魔界の設定の復習

 ここで魔仙卿の語った魔界の設定を復習しておきましょう。

 魔界は魔瘴に汚染された地域がルティアナによってアストルティアから切り離されて成立した世界で~す。

 魔界にはその切り離しのさいに見捨てられた者たちの絶望と無念が満ちているため、当時の記憶が失われたあとですら、住民の魂にアストルティアへの憎悪の炎が宿っていま~す。

 その記憶に基づかない本能的な憎悪こそ、大魔王を中心とした度重なるアストルティア侵攻の原因となったので~す。

3.魔界の設定で読み解くガウラドの発言

 前章で確認した魔界の設定を使い、ガウラドの一見奇妙だった発言を解読してみま~す。

※「魔界に生きる者に 課せられた使命の重さ」

 任務へのこだわりを語るならば、「我が軍の鉄の規律」などを話題に出すほうが自然であるのに、いきなり魔界の全住民が一律に重い使命を課せられているかのように語ってきました。

 そしてこの魔界住民の使命とやらが「大魔王への絶対服従」なんかではなかったことは、5.0で明らかになりました。ヴァレリアは大魔王の権威を軽視していましたし、バリクナジャが時には逆らった上司のネロドスが大魔王であったことも月明かりの家にて判明しました。

 つまりここでガウラドが語った魔界の全住民が一律に背負っている重い使命とは、5.2で判明した、魂に刻印されたアストルティアへの復讐心だったというわけで~す。

※「貴様には わかるまい……」

 やっと正直に遺言をする段階になったのに、いきなりヤーンを馬鹿にしすぎなようにも思えた発言で~す。

 しかしアストルティアへの憎悪の原因となった事件の記憶は完全に失われ、いわば本能的な理由で憎悪しているのであるとするならば、「理屈では理解してもらえない」という事実をなるべく誠実かつ簡潔に伝えたセリフに見えてきま~す。

※「なぜ私は その使命を果たさねば ならなかったのか……。 今となっては もう覚えておらぬ」

 一番馬鹿っぽく見えた部分で~す。

 しかし「昔は覚えていた」という認識のほうがアストルティアの常識に汚染されたがゆえの錯覚であり、本能的な衝動のみがアストルティア侵攻の使命の理由だとすれば、こういうセリフを吐いてしまうのも自然で~す。

※「いつからか 私は 理由もなく ただ 与えられた使命を果たすためだけに 生きてきたように思える……」

 その続きで、これもかなり馬鹿っぽい部分で~す。

 でも魔界の設定を知ってから読むと、「いつからか」の答えが「最初から」であることに気づいていない以外は、自分が本能的な憎悪に騙されて動かされてきたことに死の間際になってようやく気づきかけた人の発言という感がありま~す。

4.前日譚の記録は今後も登場しないかも

 ガウラドが上司の命令で行動していた可能性もゼロではありませんが、前章で解読した遺言の内容を見るに、仮にそんな命令があったとしてもそれは短期間で忘れてしまう程度の形式的で軽い命令だったのでしょう。そしてそもそも上司なんかいなかった可能性のほうが高そうで~す。

 つまり、テロリズム関連の専門用語でいうなれば彼は「ローンウルフ」だった可能性が高いので~す。どの過激組織にも所属していなかったものの漠然と社会に不満を持っていた者が、過激組織の活躍ぶりを見ているうちに自身も過激化し、個人の判断で急にテロを始めるというケースで~す。

 おそらく「マデサゴーラ様もがんばっているんだから、自分もできる範囲でがんばらないと」とか、勝手に決意してしまったのでしょう。

 この場合、ガウラドなんて魔界ではただの行方不明者で~す。

 ザイガスやラズバーンの情報を魔界で聞けない件については、地理を扱った過去の記事でプレイヤーの見ているマップの外側が本籍地なのではないかという説をたてました。

 でもガウラドの場合、仮に既存のマップの出身者だったとしても、記録に残らないほうが自然だというわけで~す。

f:id:hoshizukuyo:20200703063554j:plain

リンベリィぬいぐるみ・バズズカプセル・ふわふわフラフの箱を買いたたきました。

 1.リンベリィぬいぐるみ

※10日ぐらい前の我がタウンの出来事

星月夜「60万ゴールド以上払って、ようやくリンベリィのぬいぐるみを入手したよ~。さてさてどの家に置こうかな?」

f:id:hoshizukuyo:20200712151300j:plain

暁月夜「リンベリィはエルフっぽい。エルフといえば和風。だから私の住む一番地の和風の屋敷で暮らすべきだ」

f:id:hoshizukuyo:20200712151421j:plain

夕月夜「リンベリィちゃんはゼクレスの貴族。だからヨーロッパの貴族文化をリスペクトした二番地のお城で、私と暮らすべきです」

f:id:hoshizukuyo:20200712151636j:plain

雨月「リンベリィはんはスライムのぬいぐるみが大好きや。だから三番地のキングスライムハウスで、スライムと雨月に囲まれて暮らすのが一番や」

星月夜「もう、みんな喧嘩しないで~」

暁月夜「じゃあ喧嘩にならないよう、いっそのこともう二体買って全部の家に置いてくれ」

星月夜「ぬわーっ!! 破産しちゃうよ~」

※約9日経過

f:id:hoshizukuyo:20200716071321j:plain

 結局自分用も含めて四体入手しました。

夕月夜「倹約家の御姉様がどうした風の吹き回し?」

星月夜「「魔犬レオパルドリリース記念5大キャンペーン」*1のおかげで、ふくびきの景品の値段が暴落中なのよね~。星月夜もこの流れに乗って、景品を買いたたいたというわけよ~」

雨月「それ自体はおめでたいけど、そうなると先週に焦って今の倍の値段で買った一体目がもったいないな~」

星月夜「そうね~、この種のキャンペーンは次回の迷宮コインボス以降も慣例として続くことを前提に消費行動をしておいたほうがよさそうね~」

暁月夜「ほかにも1等景品を廉価で買いたたいたんだろ。見せろよ~」

星月夜「はいはい」

2.ついてクンのバズズ

f:id:hoshizukuyo:20200716081227j:plain

 バズズカプセルも買い、バズズのついてクンを入手しました~。

f:id:hoshizukuyo:20200716083909j:plain

 やはり大魔王の部下には悪霊の神々がふさわしいですよね~。ベリアルもはやく導入されるといいな~。

f:id:hoshizukuyo:20200716081304j:plain

 跪いて大魔王の靴を舐めるバズズ

3.ふわふわフラフ

f:id:hoshizukuyo:20200716231502j:plain

 勢いに乗ってふわふわフラフの箱も買いましたとも。

4.アスバルの杖は?

 現在の便利ツール独自のふくびきの1等には他にも「アスバルの杖」がありますが、あれはあんまり興味がないので入手しませんでした。

5.ゆめのかけらが余った

 今回の爆買いのせいで、今の1等の景品たちとのちのち交換する予定だった「ゆめのかけら」が大量に余ってしまいました。

 近々古い景品の中から、かつては「どちらかというとほしい」程度の評価だったものを見なおし、それらに使ってみようと思いま~す。

魔犬レオパルドを倒し、5.2時代の迷宮ボスをコンプリート。有翼魔犬キラーの称号と魔犬の仮面も入手。

f:id:hoshizukuyo:20200716091208j:plain

 魔犬レオパルドが迷宮のボスに追加されましたね。

 まずは練習札で倒し、5.2時代の迷宮ボスをコンプリートしました~。

f:id:hoshizukuyo:20200716184021j:plain

 その後はレオパルドのコインを1枚だけふくびきで入手し、「持ち寄り」をするために職や装備を考えました。

 ブレス・呪文・毒・おびえへの耐性が大事ですが、ブレスガードが100なら「おびえ」や「氷」対策は不要となりま~す。

 星月夜はカテドラルローブセットでブレスガード100を実現できるのと*1、そのセットが多少は呪文も防げることと、体下自由枠で毒ガード100も容易であることから*2、これらを装備した賢者で行きました。

 呪文対策が若干心配でしたが、賢者はマホステもあるのでなんとかなると考えました。

 あまり大事ではない混乱・呪いへの耐性は、不用意に近づかなければ不要で~す。賢者はレオパルドに近づく必要がありませ~ん。しかも自分の頭装備には自然に混乱100もありました。

 よし、耐性はこれでほぼ完璧ですね。

 持ち寄りをしたところ、無事に倒せて「有翼魔犬キラー」の称号を得ました。

 ただし魔犬の仮面の現物は残念ながら出ませんでした。

 でも無償配布されていたクローバーのカギのおかげで、ヴェリナードで1個だけ作ることができました。

 当然ながらそこに悪霊の仮面の伝承合成もしました。必殺チャージ率は今までと同じで、他の能力が微増しました。

f:id:hoshizukuyo:20200716191841j:plain

 悪霊の仮面は金策目的で弱者と戦うときの盗賊でしか使ってこなかったので、この魔犬の仮面もそういう運命になることでしょう。

 だから大急ぎで合成するつもりはないで~す。本格的に育てるのは秋以降としま~す。

「バルディスタ要塞」建国以前から「バルディア山岳地帯」の名前が存在していたと考えられる、これだけの理由

0.はじめに

 「バルディスタ」という固有名詞が建国王のかつての戦友である「バニト」・「ルチオ」・「ディセル」・「スーゴ」・「タチアナ」の頭文字からとられたであろうことは、ほぼ明白な事実といっていいでしょう。

 そうなると「バルディア山岳地帯」とは「バルディスタ」からの派生語だと思いがちになりますが、星月夜は「バルディア」の名前の歴史はバルディスタより古いのではないかと疑っていました。そしてその思いは5.2で一層強くなりました。

 本日はそのように考えた理由を列挙していきま~す。

1.バルディジニアの存在

 ネロドスの死後に成立したバルディスタの歴史は、たかが数百年で~す。これは魔界の歴史から見ればそんなに長いものではありませ~ん。

 そうであるのに、5.0メインストーリーで登場した花であるバルディジニアには、「バルディ」の名が入っていました。

 ものすごく珍しい花でここ数百年の間にやっと発見された新種であれば、歴史の浅いバルディスタ要塞に由来する名前をつけられる可能性もありま~す。

 でもかつては発見されにくいような珍しい花ではなかったことが、月明かりの家の孤児の証言で判明しておりま~す。

 だから、新語である「バルディスタ」ではなく、古くからある「バルディア」に由来する名前だと考えるべきですね~。

f:id:hoshizukuyo:20191111042451j:plain

2.ゼクレスにおけるバルディジニアの扱い

 5.2サブストーリーのクエスト「甘い言葉をささやいて」で登場した『ゼクレス歌集』には、「キミの髪は バルディジニアの花のように 香り」という文章がありました*1

 バルディスタを蛮族と見なしてとことん軽蔑しているゼクレスにおいて、バルディスタの名に由来する花の名前を愛おしい女性を褒める文脈で歌の中に入れたりするはずがありませ~ん。

 もしも植物の名前が正式名称しか存在しないような世界であるならば、苦渋の決断としてそういうことをする可能性もあるかもしれませ~ん。

 でも正式名称が「アルキニカアマストラム」である植物を「トコトコ草」と呼んでもよい世界であることは、イルーシャの絵の解説から判明しておりま~す*2

 やはりこの花は「バルディスタの花」ではなく「バルディア山岳の花」なのでしょう。

f:id:hoshizukuyo:20200611140745j:plain

3.バルディアメタルの存在

 やはり同じく5.2サブストーリーのクエスト「バルディスタの為政者」では、5000年前のエテーネ王国領で目的の金属を入手した場合でも、それは「バルディアメタル」と表記されま~す*3

 前述の植物の話と同じく、それなりに有用性が高くしかもそれなりに入手しやすい金属が、ほんの千年前まで無名だったという可能性は非常に低いでしょう。

 しかも百歩譲って仮に魔界で無名だったならば、錬金術に秀でたエテーネ人が別の名称を先につけたことでしょう。

 よって「バルディアという地名は魔界で5000年以上前から存在しており、そこで産出される金属は古くからバルディアメタルと呼ばれ、ドラゴンソルジャーの中には宝物として持ち運ぶ個体も多かった。エテーネ人もモンスターたちからその名称を教わった」と考えるのが一番自然でしょう。

 王族が4000年以上の時渡りをしてその金属がのちの魔界でどう呼ばれるかを調査しにいった可能性もゼロではありませんが、ほぼゼロで~す。

 なお5000年前のエテーネでも一部のモンスターと意思疎通が可能だったことは、魔法生物の飼育が禁じられたのちもモンスター酒場が存在していたことから明らかで~す。

f:id:hoshizukuyo:20200618203831j:plain

4.「バルディスタ」命名の経緯

 以上により、ヴァレリアがかつての戦友の名から「バルディスタ」という単語を作ったのは事実だとしても、それはゼロからの命名ではなく、既存の「バルディ」を大いに参考にしたのだと星月夜は考えま~す。

 つまり偶然にも「バニト」・「ルチオ」・「ディセル」までが古来からの地名と一致したので、語尾を「スーゴ」・「タチアナ」からとったのだと思うので~す。

 一説には、織田信長の「岐阜」命名は、縁起の良さだけが理由なのではなく、ある程度の元ネタがすでに現地に存在していたともいわれていま~す。この説に似たような経緯だと思えばいいかもしれませ~ん。

 それにもしも完全にゼロからの命名であったならば、スーゴやタチアナのためにも、要塞周辺の山岳名も「バルディスタ」になるよう努力したと思うんですよね~。

 バルディスタ城の書斎で調査をしたところ、スーゴについてはたしかに何の長所もない弱小メンバーだった可能性があったのですが、タチアナは弱かったころのヴァレリアを勇気づけていた有力な戦友だったようなので~す。

f:id:hoshizukuyo:20200619073139j:plain

5.以上の研究成果が過去の研究成果へもたらした影響

 こうして「バルディスタ」は「バルディ」までが本来の呼称である可能性が高まりました。

 これにより、「カジノオーナーのフォン・バルディ氏に、マデサゴーラとの通謀疑惑」という記事で主張した「フォン・バルディとはマデサゴーラに任命された新バルディスタ王を意味する」という仮説が正解である可能性が、さらに少し高まりました。

卯の花月夜「二日連続でその話がオチかよ*4

f:id:hoshizukuyo:20200406115703j:plain

魔仙卿のカギが必要な扉の配置の偏りに込められたメッセージとは?

0.はじめに

 5.2メインストーリーの冒頭では、魔仙卿が「魔仙卿のカギ」をくれま~す。

 これを使うと、それまでは開けられなかった謎の9枚の扉を開けることができ、その奥には必ず重要物の入った黒宝箱が2個ずつ配置されていま~す。

 本稿ではこの9枚の扉の配置には不自然なところがあると考え、そこに込められた運営からのメッセージを解読しました。

1.9枚の扉の配置エリアの内訳

 魔仙卿のカギの必要な9枚の扉については、すでに多くの攻略ブログで位置が紹介されていま~す。

 その内訳を公式用語のエリア別に分けると、「魔界辺境エリア」に2枚、「ファラザードエリア」に4枚、「ゴーラエリア」に1枚、「ネクロデアエリア」に2枚で~す。

 この機械的な内訳をした時点で、すでにファラザードが随分と贔屓されているように見えま~す。

 しかも物語内の設定を考慮すると、5.1中盤までネクロデアエリアに出入りできたのはファラザードの有力者のみなので、実質的に9枚中6枚がファラザードの管理下にあったといえま~す。

 対してゼクレスとバルディスタは0枚という、非常に極端な配置で~す。

 これを純粋に一つの世界で複数のアイテムを探し回るゲームとした場合、配置が不自然すぎて落第点で~す。

 よってこれは単純な宝探しなんかではなく、運営からの物語解釈にまつわるメッセージとみなすべきなので~す。

2.特におかしなファラザードの集合住宅の扉

 扉の枚数以外にも魔仙卿のカギがらみでもう一点、奇妙なファラザード贔屓の形跡がありま~す。

 以下の写真のように、集合住宅には魔仙卿のカギが必要そうに見える扉がありま~す。

f:id:hoshizukuyo:20200616134153j:plain

 でも開けて中に入ると、そこは密室ではありませんでした。

f:id:hoshizukuyo:20200616134227j:plain

 塵も積もっていませんし、照明は煌々と焚かれており、普段から掃除夫などが出入りしているようですね。

f:id:hoshizukuyo:20200715045237j:plain

 なんと鉢植えまであり、花も元気で~す。

 鉢植えを跨いだりできるNPCならば、王宮方向の通路と自由に往来できそうですね~。

f:id:hoshizukuyo:20200616134604j:plain

 ここから上を見ると集合住宅のベランダがあんなに近くにありま~す。縄梯子などで簡単に降りてこられそうですね。

f:id:hoshizukuyo:20200616134728j:plain

 こちらは逆に集合住宅からあの空間を見下ろした図。

f:id:hoshizukuyo:20200616134348j:plain

 そしてこの無施錠の扉を開けると…、

f:id:hoshizukuyo:20200616134417j:plain

 そのまま黒宝箱2個とご対面で~す。黒宝箱なのでさすがに一般市民は手が出せないでしょうが、国家権力ならば中身まで占有しているも同然で~す。

3.ファラザード贔屓をできたのは誰か?

 これらの扉が9枚とも一人の人物によって設置されたというわけではない可能性もありま~す。しかし扉の設置者が複数人であったとしても、魔仙卿のカギを自由に扱えた立場の何者かが現在のファラザード贔屓の状況を作ったのはまず間違いないでしょう。

 そして前章で確認したとおり、ここ200年以内に旧ザード遺跡とは別の場所に建てられた新興のファラザードの集合住宅にまで扉があったので、この時期に魔界にいた人物に限定されま~す。

 なおゴーラのマデサゴーラの自室にあった扉は、マデサゴーラの生前から設置されていたものであると思いま~す。仮にこの扉がマデサゴーラの死後に魔仙卿の命令で設置したものであれば、その命令のさいに大魔王の覇印の返還命令も出ているはずなのに、5.1のヌブロ長老には先代が覇印を借りっぱなしだったという話題は初耳だったようでしたから。

 よってマデサゴーラも自室に出入りするために魔仙卿のカギを使っていた人物であり、かつ専用の扉を新たに設置する能力と権限を持っていた可能性が高いといえましょう。

 そうなると現状のファラザード贔屓の偏った扉の配置を作ったのは、魔仙卿本人か、マデサゴーラかの、どちらかということになりそうで~す。

f:id:hoshizukuyo:20200611105001j:plain

4.ファラザード贔屓をしたのは誰か?

 では魔仙卿とマデサゴーラのどちらがファラザードを贔屓したのかですが、三魔王にほぼ同等の評価を与えていた魔仙卿には動機のようなものがありませ~ん。

 一方マデサゴーラは、三国のイデオロギーのうち「混沌」にもっとも高い評価を与えていました。これは「偽の魔幻宮殿のマデサゴーラの作品群の紹介と考察」という記事が参考になりま~す。

 さらに前述の個室にあった『出征の辞』というマデサゴーラの古い手記に「余に 万が一のことがあれば 古だぬきのゼクレスや 暴れ馬のバルディスタが 黙ってはいまい。魔界は再び 乱れるだろう」と書かれていましたが、ファラザードについては危険視していませんでした。

 そうした証拠のみならず、一般論である「遠交近攻」の理論からもゴーラが大切にすべきなのはファラザードということになりま~す。

 以上により、ファラザードを贔屓したのはマデサゴーラだと考えました。

5.ファラザードの置かれた立場

 おそらくマデサゴーラは「ファラザードには重要な物資の保管庫を無料で供出してもらうぞ」という命令のふりをして、事実上の支援をおこなったのでしょう。名目上の施錠は、支援であることを潜在敵国であるゼクレスとバルディスタに気取られないためでしょう。

 マデサゴーラ没後、ユシュカが魔仙卿のカギを借りられる立場になった場合、遺品である黒宝箱の回収作業をバルディスタやゼクレスは邪魔することができませ~ん。一方でゴーラには多少の交渉材料が残されていま~す。

 逆にバルディスタやゼクレスが魔仙卿のカギを借りられる立場になった場合、ユシュカは自国領の遺産を交渉材料にして妥協を勝ち取ったり、私物化して抵抗運動のための軍需物資にしてしまうことも可能だったというわけで~す。

6.以上の研究成果が過去の研究成果へもたらした影響

 以上により、マデサゴーラが強くファラザードに期待をして贔屓をしていた一方で、ゼクレスとバルディスタを非常に警戒していたことがわかっていただけたと思いま~す。

 これにより、「カジノオーナーのフォン・バルディ氏に、マデサゴーラとの通謀疑惑」という記事で主張した「マデサゴーラはバルディスタを警戒して新王にアストルティア出身の弱者を任命しようとしていた」という仮説が正解である可能性が、さらに少し高まりました。

f:id:hoshizukuyo:20200406115703j:plain